世界を支える魔王様っす
すみません遅れました。
『てメえほどノ力を持っていル相手に国盗りしたってノか!? 相手はどンなバケモンだ!?』
魔王様を超える存在……大魔王様とかっすか?
「ん〜宰相さんと〜四天王さんと〜各将軍さんと〜兵士さんたちが〜、みんなして怒っちゃって〜」
すごいっす。自分の認識が確かなら王様が国の中枢かつ主要な人達から追い出されてるっす……!
一体何したんすか!?
『そもそも魔王ハ実力主義だロ、どうすリゃ木っ端共に追い出さレンだよ』
「最近平和だったから〜もうそういうのはやめようかと思って〜お話で解決しようとしたのよ〜。でも〜私頭よくないし〜この通りのんびり話すでしょう〜? みんなイライラしてきちゃって〜」
それで追い出されちゃったんすか? 抵抗とかしなかったんすか?
「しないわよ〜せっかく魔王が三人まで減って無駄な争いがなくなったのだもの〜。私が暴れたら他の二人までそわそわしちゃうでしょう〜?」
『ちょっと待て! 魔王が三人に減っただと? 何がどうすリゃ四人もいなくなル?!』
輪っかさんが驚いてるっす。
四人魔王様がいなくなって、三人残ってるってことはもともと魔王様は七人いたんすね。
ああ、だから七天の魔王なんすね。
「う〜んとね〜、結構前に〜魔王同士の大規模な戦争が起こっちゃって〜。一人は途中でどこかに行ったきり帰ってこなくて〜二人は相討ちで〜最後の一人は〜勇者って子が殺してしまったわ〜」
おお勇者様! 実在するんすね!
「ええいるわよ〜、勇気があって〜勇ましい少年だったわ〜。私達の戦争で人の国まで被害が出そうだからって〜単身乗り込んできたのよ〜。すごいわよね〜」
のほほんと語ってるっすけど、お仲間を殺した敵じゃないんすか?
「いいえ〜言ったでしょう〜? 私達は戦争をしていたのよ〜魔王というのは〜仲良しグループでもお友達の集まりでもなくてね〜、たまたま天に見初められたり〜位階を上り詰めたり〜『それ』として生まれたりしたものなのよ〜。だから別に恨んだり仇討ちを考えることは少ないわ〜特にあの子は大戦争のきっかけになる程の困ったちゃんだったから〜。あの子がいなくなったから戦争が終わったようなものだし〜」
なんか思ったよりドライかつヘビーだったっす。
お姉さんは本当に何でもないことのように話してるっす。こういう話を聞くと自分がいたのは本当に平和な世界だったんだと思うっす。
そして意識を改めないといけないっすね。ここは隣人の命がいつ消えてもおかしくない場所だと肝に銘じるっす。
それこそが小さいお方を守ることに繋がるはずっすから。
「うふふふ〜あなたはきっと強くなるわね〜」
お姉さんが優しい笑みを浮かべて自分にそう言ってくれたっす。
魔王様のお墨付きっす! きっと小さいお方を守れるようになるっす!
『ンなこたどうでもいいンだよ! のラりくらリとはぐラかしやがって、七天魔王序列一位大力王! てメえラ魔王はその称号を賜った時点で使命を受け入レた筈だぞ、一体何年こノ世界を放置しやがった! 既存ノ奴らが消えたなラ新たな七天はどうした!』
輪っかさん急に怒鳴るのやめてほしいっす! びっくりするっす!
「あらあらあら〜うふふふ〜輪環の子はとても物知りなのね〜? とても耳が痛いわ〜そうね〜私は逃げ出したの〜。壊す事しか能のない女が〜国など治めるべきではなかったのよ〜。所詮私は抑止力であって〜いなくなったところで国が傾くこともないわ〜」
笑顔なのにお姉さんはとても悲しそうっす。
「チチー? チッチィチッチィー」
あれ?! 小さいお方!?
いつの間にか小さいお方がお姉さんの肩に乗ってほっぺを撫でてたっす。
「あらあら〜優しいのね〜。うふふふありがとう〜」
よかったっす。お姉さんはさっきと違ってちゃんと笑えてるみたいっす。
『……まさか、力場に頼らず独身で世界を支えてやがるのか……いや、てめえ確かここを私の領域っつってたな? こんななにもねえところを力場にしてやがんのか!? 馬鹿か?! 何年だ! 何年そんな無茶しやがった!』
「本当に物知りね〜。戦争が終わって二百年〜私が追い出されたのはその少し後、まだ百年も経ってないわ〜だから大丈夫よ〜予想ではあと二〜三百年は持つわ〜こう見えてお姉さん強いから〜」
さっきからお姉さんと輪っかさんだけわかり合ってるみたいな話は何なんすか? 輪っかさんが怒ってるのもそれが原因すよね?
『口で説明すルよリ見たほうが早えよ。そいつに開示を使ってみロ』
なんかよくわかんないっすけど、輪っかさんがテンション低いときはなんか大事な時っぽいっすね。
お姉さんすみませんっす。開示っす!
・名称:スティルエナ ・LV:92
・種族:牛鬼魔人
・称号:七天魔王 大力王
・牛鬼族の王。世界に存在する七柱の王。序列一位。
力に特化しており、壊せぬものは無いとされる。魔
王に進化した瞬間から不老となった。七柱の魔王は
世界の調停をする存在であり、それは神々から下賜
された使命である。
・備考:王たる使命を放棄したため、権能と能力に
制限がかけられ不老が解除されている。
権能によって支えていた世界を独力で補っている
ため対価として命が削られている。
なんすかこれ?




