小さいお方の食料と自分の煽り耐性が足りないっす
猿が騒ぐせいで長くなりました。
『誰が悪魔ダ! ンな野蛮ナもんと一緒にすルんジャねえヨ! 実際てメえラ魔物が強くなルにハ、そレが一番手っ取り早いンだヨ』
はぁ……って自分魔物なんすか?!
『ダかラさっきそう言ッただロうが! なンか反応薄いと思ったラ聞き流シてヤがッたな?! 石かラ生まレた猿が普通ノ生き物な訳ねぇだロ!』
いやーすみませんっす、小さいお方の話が気になって……ん? 輪っかさんなんで自分が石から出てきたこと知っているんすか? 自分話してないっすよね?
『知識を共有してンだ当たリ前だろ? オレ様ノ知識ハてメえの物、てメえノ知識はオレ様ノ物だ。まあ、そレもてメえの脳ミソがお猿サイズなせいデまともに機能してネぇけどナ! キヒャヒャ!』
え、何それ怖い。プライバシーの侵害っす!
『うるせえ! 猿畜生風情がプライバシーを語るな! 野生にそんな高尚なもんねぇよ! とにかく! てメえは魔物で、強くなるには他の生き物を喰らう必要がある! もうそれは納得しとけ、そういうもんなんだからうだうだ言っても仕方がねぇ。その上でこれからどうするかを考えろ』
むむむ、煮たり焼いたりしても平気っすかね? 流石に生で食べるのは気が引けるっす。
もともと自分達人間は他の命をいただいて生きてきたわけっすから、他の生き物を食べることにはそこまで抵抗はないっす。
強いて問題点を上げるなら、小さな虫以外の生き物を殺した記憶がないのでそれが出来るかっすかね。
『おう? なンだ思ったよリも前向きジャねえか』
当然っす。
何せ小さいお方の今後に関わるっすからね!
とりあえず、ここは安全ぽいっすし水もそこの湖から摂取できるっす。
外は大怪獣戦争してて危なそうっすし、しばらくはここで過ごしてもいいかもしれないっすね。
そんなことを考えていたら、小さくクゥって感じの音が鳴ったっす。
なんの音かわからず、何か危険な生物が近くにいるのかもしれないと思い一気に緊張したっす。
良く耳を澄ませて音の出所を探るため周囲を警戒していたら、またクゥって音が鳴ったっす。
そして愕然としたっす。
何とその音は、小さいお方のお腹の音だったんす!!
そう、小さいお方が、お腹を空かせていたんす!!!
一大事っす!
一刻も早くこんな何もない洞窟から出て食べ物を探すっす!
『てメえマジで滅茶苦茶だナおい。まあいいけどヨ、どうでもいいがこノ洞窟迷路みたいになッてるかラ闇雲に動くと出ラレなくナるぞ?』
マジっすか?! でも小さいお方は今お腹が空いているんす! 輪っかさんは出口までの道順わからないっすか? わかるなら教えて欲しいっす!
『わかルけどヨ、てメえもう判断基準がヤベえ奴だナ……ほレ、頭ン中に簡易マップ作ってやったかラそレ見て動け』
おお! 持つべきものは輪っかさんっすね! 大怪獣戦争がどうなったかはわからないっすけど、小さいお方の空腹の方が大事っす。
多分こっそりいけば見つからないっすよね?
小さいお方! ご飯探しに行きましょうっす!
お腹が空いて少し元気のなくなった小さいお方を背負って、自分は洞窟の外を目指すことにしたっす。
頭の中に地図が浮かぶのは変な感じっすけど、うーん、これ便利っすねー。
どこをどう走ってあの地底湖までたどり着いたのか全然覚えてなかったっすけど、この脳内ミニマップのお陰で出口までの道順が一発でわかるっす。
これがあったら二度と迷子にならないで済みそうっすね。
『てメえが猿じャなけレば、こノ世界すべての地理を頭に叩き込ンでヤレるんだけどなぁ……脳の要領がナぁ……ハあ、言ッても仕方ネえか』
なんか輪っかさんがぶつくさ言ってるっすけど、聞こえないっす。頭に直接響くっすけど、なんも聞こえないっすー!
あ、ほら! そんなこんなで外っすよ!
こっそり、こっそり外を見るっす。
あのジャイアントゴリラと大蛇っぽいトカゲもどきが居ないか確認っす。
そこには千切れた蛇トカゲもどきの下半分と、蛇トカゲもどきの上半分に噛みつかれたまま倒れているジャイアントゴリラがいたっす。
そ、壮絶すぎてリアクションがとれないっす……!
『おお、巨人種と亜竜種ジャねえか、あぁこいつラに巻き込まレて洞窟ノ中まで来たのか。相手の図体を見りゃ悪い考えじャねえけド洞窟ン中にも魔物が居たラ詰ンでたなキヒャヒャ!』
輪っかさん笑い事じゃないっす。
本当に死ぬかと思ったんすから……。
『今死ンでなけリャ全部笑い話に出来んダかラ笑っとけ笑ッとけキッヒャヒャヒャ! それよりも亜竜ノ方はもう駄目だが、巨人の方ハ今なら多少魔素が残ってルから喰えバ魂の昇格出来ルぜ?』
おお何だか格言ぽい良い言葉っすねってうぇ?! あの蛇トカゲもどきに噛みつかれて、牙が体を貫通しているのに蛇トカゲもどきを睨み付けたまま倒れている、あの! ジャイアントゴリラを食べろと?!
何だか近付いたら動き出しそうな程に力強い眼差しのあのジャイアントゴリラを?
『魔物の生命力が強いノハ魔素が潤沢に体内を流レているノが理由だ。魔素が多けりャ多いだけ魔物としてノ力は強くなル。そンな強い奴ノ魔素を取リ込むことができリャその分だけ強くなレるんだヨ。ホントは生きたままか死ンだ直後が望ましンだが……今のてメえにハ望めネぇし、何よリ手ッ取り早えぇだロ?』
いやでも生で食べるのはちょっと……。
『はぁあン? なンでぇ小猿のためなラ何でもすルみてぇな事言ッテた割には、手段選ンで強くなロうとかしてんノかヨ……覚悟のたかが知れるなぁ?』
よーし! 輪っかさん言ってくれやがったっすね!? そこまで言うなら自分の覚悟見せてやるっすよ!! 小さいお方の為ならあんなゴリラ齧るくらい余裕っす!
『おうそうかソうか! まあ一口でも喰えレば十分だしナぁ、小猿を守ルためノ手段があルのにヤラねぇ理由ハねえよなぁ?』
なんか……なんか乗せられた気もするっすけど! 自分にも矜持的なアレがあるっす!! やってやらぁっす!!!




