表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
そのオネェ、異世界でよろず屋を開業する  作者: S@Y@


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
46/48

第46話 お弁当泥棒の正体


 森の入り口。


 一行は少年に案内されながら歩いていた。


 ◇ ◇ ◇


「ここなんだ!」


 少年が指差す。


 大きな切り株の上だった。


 ◇ ◇ ◇


「ここにお弁当を置いて……」


「ちょっと川で手を洗って戻ったら、なくなってたんだ!」


 ◇ ◇ ◇


「ふむ」


 ガイルが周囲を見回す。


「争った跡はないな」


 ◇ ◇ ◇


 ニアはしゃがみ込み、地面を調べる。


「足跡がある」


 ◇ ◇ ◇


「人ですか?」


 レイモンドが尋ねる。


 ◇ ◇ ◇


「違う」


 ニアは首を振った。


「小さい」


 ◇ ◇ ◇


 ルミナも地面を見つめる。


「一匹じゃない」


 ◇ ◇ ◇


「あらぁ♡」


 レンちゃんが笑う。


「仲間がいるのねぇ♡」


 ◇ ◇ ◇


 その時。


 毛玉がふわりと飛び立った。


「ピィ!」


 ◇ ◇ ◇


「あっ、毛玉!」


 エリーが後を追う。


 ◇ ◇ ◇


 毛玉は木の枝へ飛び移る。


 さらにその先へ。


 ◇ ◇ ◇


「何か見つけたのか」


 ガイルも続く。


 ◇ ◇ ◇


 しばらく進むと。


 木の根元に、見覚えのある包みが落ちていた。


 ◇ ◇ ◇


「あっ!」


 少年が駆け寄る。


「僕のお弁当箱!」


 ◇ ◇ ◇


 蓋は開いている。


 中身は――


 きれいさっぱり空だった。


 ◇ ◇ ◇


「全部食べられてる……」


 少年が肩を落とす。


 ◇ ◇ ◇


 その時だった。


 ガサッ。


 ◇ ◇ ◇


 木の上から、小さな影が顔を出す。


 ◇ ◇ ◇


「キキッ!」


 ◇ ◇ ◇


「猿ですわ!」


 エリーが指差した。


 ◇ ◇ ◇


 一匹。


 二匹。


 三匹。


 次々と木の上に現れる。


 ◇ ◇ ◇


「犯人は君たちだったのねぇ♡」


 レンちゃんが笑う。


 ◇ ◇ ◇


 一匹の子猿がおずおずと降りてきた。


 手には、お弁当に入っていた卵焼きが握られている。


 ◇ ◇ ◇


「まだ残ってた!」


 少年が嬉しそうに声を上げる。


 ◇ ◇ ◇


 しかし。


 子猿は卵焼きを自分で食べず、後ろを振り返った。


 ◇ ◇ ◇


 そこには。


 まだ小さな赤ちゃん猿がいた。


 ◇ ◇ ◇


「キュッ」


 子猿は卵焼きを赤ちゃん猿に渡す。


 ◇ ◇ ◇


 赤ちゃん猿は嬉しそうに食べ始めた。


 ◇ ◇ ◇


「あ……」


 エリーが小さく息をのむ。


 ◇ ◇ ◇


「赤ちゃんのためだったんですの……」


 ◇ ◇ ◇


 レイモンドも頭をかく。


「怒れないですね……」


 ◇ ◇ ◇


 少年は少し考えてから笑った。


「いいよ!」


「お腹空いてたなら仕方ない!」


 ◇ ◇ ◇


 子猿たちは嬉しそうに鳴いた。


「キキッ!」


 ◇ ◇ ◇


「あらぁ♡」


 レンちゃんが微笑む。


「今度からは盗まないで、ちゃんとお願いするのよぉ♡」


 ◇ ◇ ◇


 子猿たちは何度も頷いていた。


 本当に分かったかは分からない。


 ◇ ◇ ◇


「依頼完了ですね!」


 エリーが笑顔になる。


 ◇ ◇ ◇


「今回は誰も殴らなかったな」


 ガイルが少しだけ残念そうに呟く。


 ◇ ◇ ◇


「殴る必要がなくて何よりです!」


 レイモンドが即座にツッコんだ。


 ◇ ◇ ◇


 笑い声が森に響く。


 平和な一日――。


 そう思われた、その時。


 森のさらに奥から。


 ズシン……。


 何かが歩くような重い音が、一度だけ響いた。


 ◇ ◇ ◇


 全員が音のした方を見る。


 しかし、姿は見えなかった。


 ◇ ◇ ◇


「……気のせい?」


 エリーが呟く。


 ◇ ◇ ◇


 ルミナだけが静かに森の奥を見つめていた。


「違う」


 その一言だけを残した

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ