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そのオネェ、異世界でよろず屋を開業する  作者: S@Y@


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45/48

第45話 森の主と呼ばれるもの


 翌朝。


 よろず屋オネェ。


 ◇ ◇ ◇


「おはようございまぁす♡」


 レンちゃんが店を開ける。


 その瞬間。


 店の前には見覚えのある顔が立っていた。


 ◇ ◇ ◇


「国王陛下?」


 エリーが驚く。


 ◇ ◇ ◇


「急ぎではない」


 国王は苦笑した。


「昨日の礼を言いに来ただけだ」


 ◇ ◇ ◇


「あらぁ♡」


「わざわざありがとうございますぅ♡」


 レンちゃんが頭を下げる。


 ◇ ◇ ◇


「それともう一つ」


 国王の表情が少し真面目になる。


 ◇ ◇ ◇


「昨日、庭師達から妙な話を聞いてな」


 ◇ ◇ ◇


「妙な話?」


 レイモンドが首を傾げる。


 ◇ ◇ ◇


「森で、お前達以外の誰かを見たという者がいる」


 ◇ ◇ ◇


 店内が静かになった。


 ◇ ◇ ◇


「昨日、レンちゃんも『誰かに見られている』と言っていましたわ」


 エリーが思い出したように言う。


 ◇ ◇ ◇


「気のせいじゃなかったのねぇ♡」


 レンちゃんが笑う。


 ◇ ◇ ◇


「相手は分からん」


 国王は腕を組む。


「ただ、昔からあの森には妙な噂があってな」


 ◇ ◇ ◇


「噂?」


 ◇ ◇ ◇


「森の主だ」


 ◇ ◇ ◇


「……主?」


 レイモンドが嫌な顔をする。


 ◇ ◇ ◇


「姿を見た者は少ない」


「だが森の動物達は皆、その主に逆らわないと言われている」


 ◇ ◇ ◇


「熊とかですか?」


 ◇ ◇ ◇


「分からん」


 国王は首を振る。


「誰も正体を知らんのだ」


 ◇ ◇ ◇


「面白そうねぇ♡」


 レンちゃんの目が輝く。


 ◇ ◇ ◇


「面白くないですよ!」


 レイモンドが即座にツッコむ。


「昨日やっと平和に終わったじゃないですか!」


 ◇ ◇ ◇


「依頼じゃない」


 ニアが冷静に言う。


「今はただの噂」


 ◇ ◇ ◇


「そうそう♡」


 レンちゃんも頷いた。


「今日は普通に営業よぉ♡」


 ◇ ◇ ◇


 レイモンドは胸をなで下ろした。


「よかった……」


 ◇ ◇ ◇


 しかし、その時だった。


 バンッ!


 店の扉が勢いよく開く。


 ◇ ◇ ◇


「大変だー!」


 一人の少年が飛び込んできた。


 ◇ ◇ ◇


「どうしたのぉ♡」


 レンちゃんが尋ねる。


 ◇ ◇ ◇


「森で遊んでたら!」


「僕のお弁当がなくなった!」


 ◇ ◇ ◇


 沈黙。


 ◇ ◇ ◇


「……お弁当?」


 レイモンドが聞き返す。


 ◇ ◇ ◇


「置いてたら、一瞬で消えたんだ!」


 ◇ ◇ ◇


 ガイルが腕を組む。


「動物か」


 ◇ ◇ ◇


「かもしれない」


 ニアも頷く。


 ◇ ◇ ◇


 レンちゃんは少年に優しく笑いかけた。


「じゃあ♡」


「そのお弁当、探しに行きましょうかぁ♡」


 ◇ ◇ ◇


「また森ですか……」


 レイモンドは遠い目をした。


 ◇ ◇ ◇


 こうして一行は、また森へ向かうことになった。


 もちろん、この時はまだ誰も知らなかった。


 そのお弁当泥棒が、思っていたよりずっと賢い相手だったことを。



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