第45話 森の主と呼ばれるもの
翌朝。
よろず屋オネェ。
◇ ◇ ◇
「おはようございまぁす♡」
レンちゃんが店を開ける。
その瞬間。
店の前には見覚えのある顔が立っていた。
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「国王陛下?」
エリーが驚く。
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「急ぎではない」
国王は苦笑した。
「昨日の礼を言いに来ただけだ」
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「あらぁ♡」
「わざわざありがとうございますぅ♡」
レンちゃんが頭を下げる。
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「それともう一つ」
国王の表情が少し真面目になる。
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「昨日、庭師達から妙な話を聞いてな」
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「妙な話?」
レイモンドが首を傾げる。
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「森で、お前達以外の誰かを見たという者がいる」
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店内が静かになった。
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「昨日、レンちゃんも『誰かに見られている』と言っていましたわ」
エリーが思い出したように言う。
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「気のせいじゃなかったのねぇ♡」
レンちゃんが笑う。
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「相手は分からん」
国王は腕を組む。
「ただ、昔からあの森には妙な噂があってな」
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「噂?」
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「森の主だ」
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「……主?」
レイモンドが嫌な顔をする。
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「姿を見た者は少ない」
「だが森の動物達は皆、その主に逆らわないと言われている」
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「熊とかですか?」
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「分からん」
国王は首を振る。
「誰も正体を知らんのだ」
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「面白そうねぇ♡」
レンちゃんの目が輝く。
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「面白くないですよ!」
レイモンドが即座にツッコむ。
「昨日やっと平和に終わったじゃないですか!」
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「依頼じゃない」
ニアが冷静に言う。
「今はただの噂」
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「そうそう♡」
レンちゃんも頷いた。
「今日は普通に営業よぉ♡」
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レイモンドは胸をなで下ろした。
「よかった……」
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しかし、その時だった。
バンッ!
店の扉が勢いよく開く。
◇ ◇ ◇
「大変だー!」
一人の少年が飛び込んできた。
◇ ◇ ◇
「どうしたのぉ♡」
レンちゃんが尋ねる。
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「森で遊んでたら!」
「僕のお弁当がなくなった!」
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沈黙。
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「……お弁当?」
レイモンドが聞き返す。
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「置いてたら、一瞬で消えたんだ!」
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ガイルが腕を組む。
「動物か」
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「かもしれない」
ニアも頷く。
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レンちゃんは少年に優しく笑いかけた。
「じゃあ♡」
「そのお弁当、探しに行きましょうかぁ♡」
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「また森ですか……」
レイモンドは遠い目をした。
◇ ◇ ◇
こうして一行は、また森へ向かうことになった。
もちろん、この時はまだ誰も知らなかった。
そのお弁当泥棒が、思っていたよりずっと賢い相手だったことを。




