第40話 帰ってきた巨大うさぎ
王宮庭園。
レンちゃん達は国王に案内され、庭園の奥へ向かって歩いていた。
◇ ◇ ◇
「確か、この辺りなのだが……」
国王がそう言った瞬間。
ガサガサッ。
茂みが大きく揺れた。
◇ ◇ ◇
「来るぞ」
ガイルが一歩前へ出る。
ニアも警戒する。
◇ ◇ ◇
次の瞬間。
茂みから飛び出してきたのは――
巨大な白いうさぎだった。
◇ ◇ ◇
「きゅう♡」
◇ ◇ ◇
「あっ!」
エリーが笑顔になる。
「森で助けたうさぎさんですわ!」
◇ ◇ ◇
「あらぁ♡」
レンちゃんも思わず笑う。
「久しぶりねぇ♡」
◇ ◇ ◇
「知り合いなんですか?」
レイモンドが驚く。
◇ ◇ ◇
「前に森で依頼を受けた時に出会った子よぉ♡」
レンちゃんが答える。
「怪我をしていたから助けたの♡」
◇ ◇ ◇
巨大うさぎは嬉しそうにレンちゃんへ近寄る。
「きゅう♪」
◇ ◇ ◇
国王は苦笑した。
「森へ帰ったと報告を受けて安心していたのだが……」
「数日前から庭園へ遊びに来るようになってな」
◇ ◇ ◇
「子ども達は?」
エリーが尋ねる。
◇ ◇ ◇
「安心して」
ルミナが微笑む。
「森で元気にしてる」
◇ ◇ ◇
「え?」
レイモンドが振り向く。
◇ ◇ ◇
「さっき少しだけ気配を見た」
ルミナは続ける。
「この子だけ遊びに来てるみたい」
◇ ◇ ◇
「あらぁ♡」
レンちゃんが巨大うさぎを撫でる。
「子ども達を置いて遊びに来ちゃったのねぇ♡」
◇ ◇ ◇
「きゅう♡」
巨大うさぎは嬉しそうに鳴いた。
否定はしなかった。
◇ ◇ ◇
「悪い子ではないのだ」
国王が苦笑する。
「兵士にも庭師にも懐いていてな」
◇ ◇ ◇
「なら問題ないんじゃ……」
レイモンドが言いかける。
◇ ◇ ◇
その瞬間。
巨大うさぎが庭師を見つけた。
「きゅう!!」
◇ ◇ ◇
ズシン。
ズシン。
ズシン。
◇ ◇ ◇
「お、おい待――」
◇ ◇ ◇
どすん。
◇ ◇ ◇
「ぐえぇぇ……」
庭師が下敷きになった。
◇ ◇ ◇
「きゅう♡」
巨大うさぎは満足そうだった。
◇ ◇ ◇
「……なるほど」
レイモンドが真顔になる。
「甘え方が豪快なんですね」
◇ ◇ ◇
「そういうことだ」
国王は深く頷いた。
「悪気はまったくない」
「だから余計に困っておる」
◇ ◇ ◇
ガイルが近付き、巨大うさぎをひょいと持ち上げる。
「庭師殿、大丈夫か」
「ありがとう……助かった」
庭師は涙目だった。
◇ ◇ ◇
その時。
「ピィ!」
毛玉がレンちゃんの肩から飛び立った。
◇ ◇ ◇
巨大うさぎは毛玉を見ると目を輝かせる。
「きゅう!」
◇ ◇ ◇
毛玉は巨大うさぎの頭へ。
ぽふっ。
◇ ◇ ◇
「ピィ♪」
「きゅう♪」
◇ ◇ ◇
仲良く寄り添う二匹を見て、エリーは微笑んだ。
「覚えていたんですわね」
◇ ◇ ◇
「あらぁ♡」
レンちゃんも優しく笑う。
「ちゃんとお友達だったのねぇ♡」
◇ ◇ ◇
しかし次の瞬間。
巨大うさぎはレンちゃんへ勢いよく飛びついた。
「きゅう♡」
◇ ◇ ◇
「レン殿!」
ガイルが声を上げる。
◇ ◇ ◇
どすん!
◇ ◇ ◇
レンちゃんは一歩も下がらず、その大きな体を受け止めた。
「あらぁ♡」
「久しぶりでも飛びつくのは禁止よぉ♡」
◇ ◇ ◇
「きゅぅ……」
巨大うさぎは耳をしょんぼり垂らした。
◇ ◇ ◇
レイモンドは空を見上げた。
「……普通って、何でしたっけ」




