第37話 犯人、たぶん毛玉じゃない
「なんでいるんですかぁぁぁ!!」
レイモンドの悲鳴が響いた。
◇ ◇ ◇
毛玉は首を傾げた。
「ピィ?」
◇ ◇ ◇
「ピィ?じゃありません!」
レイモンドは指を突き付けた。
「王宮にいるんじゃなかったんですか!?」
◇ ◇ ◇
エリーも驚いている。
「た、確かに昨日は王宮のお庭でお茶を飲んでいましたわ!」
◇ ◇ ◇
「毛玉が?」
ニアが聞く。
◇ ◇ ◇
「毛玉がですわ」
◇ ◇ ◇
沈黙。
◇ ◇ ◇
レイモンドは考えるのをやめた。
◇ ◇ ◇
「で?」
レンちゃんが毛玉を持ち上げた。
「アンタが歌ってるのぉ?」
◇ ◇ ◇
「ピィ!」
◇ ◇ ◇
元気よく鳴いた。
◇ ◇ ◇
「分からない!」
レイモンドが叫ぶ。
◇ ◇ ◇
ガイルが腕を組む。
「いや」
◇ ◇ ◇
「分かるんですか!?」
◇ ◇ ◇
「なんとなく」
◇ ◇ ◇
「そのなんとなくやめてください!」
◇ ◇ ◇
ガイルは真面目な顔をした。
「こいつは違う」
◇ ◇ ◇
「根拠は?」
ニアが聞く。
◇ ◇ ◇
「もっと音痴だ」
◇ ◇ ◇
沈黙。
◇ ◇ ◇
「ピィ!?」
毛玉が抗議した。
◇ ◇ ◇
「……確かに」
ルミナが頷いた。
◇ ◇ ◇
「納得しないでください!」
レイモンドはもう疲れていた。
◇ ◇ ◇
その時。
◇ ◇ ◇
「たまごはむっつー♪」
◇ ◇ ◇
また聞こえた。
◇ ◇ ◇
今度は。
屋根の上。
◇ ◇ ◇
全員が見上げる。
◇ ◇ ◇
誰もいない。
◇ ◇ ◇
「……見えない」
ニアが目を細める。
◇ ◇ ◇
「いるわねぇ♡」
レンちゃんは笑った。
◇ ◇ ◇
「見えるんですか?」
エリーが聞く。
◇ ◇ ◇
「見えないわぁ♡」
◇ ◇ ◇
「じゃあ何で!?」
◇ ◇ ◇
「勘♡」
◇ ◇ ◇
レイモンドは頭を抱えた。
◇ ◇ ◇
その時。
毛玉が突然飛び上がった。
◇ ◇ ◇
「ピィ!!」
◇ ◇ ◇
一直線に。
家の裏路地へ飛んでいく。
◇ ◇ ◇
「待ちなさい!」
レンちゃんが追う。
◇ ◇ ◇
「待ってください!」
レイモンドも追う。
◇ ◇ ◇
全員で裏路地に飛び込んだ。
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そこには。
◇ ◇ ◇
誰もいなかった。
◇ ◇ ◇
「逃げた?」
エリーが辺りを見回す。
◇ ◇ ◇
その時。
◇ ◇ ◇
「たまごはななつー♪」
◇ ◇ ◇
今度は。
レイモンドの真後ろから聞こえた。
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「ひっ!」
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振り返る。
◇ ◇ ◇
そこにいたのは。
◇ ◇ ◇
小さな。
羽の生えた。
卵だった。
◇ ◇ ◇
「……卵?」
レイモンドが呟いた。
◇ ◇ ◇
卵は歌った。
◇ ◇ ◇
「たまごはやっつー♪」
◇ ◇ ◇
そして。
羽ばたいて逃げた。
◇ ◇ ◇
「待ちなさぁぁい♡」
レンちゃんが笑顔で追いかけた。
◇ ◇ ◇
レイモンドは悟った。
◇ ◇ ◇
今日も。
平和ではない。




