第30話 もっと大きいのが来た
ズシン。
ズシン。
ズシン。
地面が揺れる。
木々が震える。
鳥が逃げる。
レイモンドも逃げたかった。
◇ ◇ ◇
「……来ますわ」
エリーが青い顔で呟く。
◇ ◇ ◇
森の奥。
巨大な影がゆっくりと近付いてきた。
大きい。
とにかく大きい。
今までの巨大猪や巨大熊が小さく見える。
◇ ◇ ◇
「山……?」
レイモンドが呟く。
◇ ◇ ◇
「違う」
ニアが首を振る。
◇ ◇ ◇
「あれ、動いてる」
◇ ◇ ◇
確かに。
山だと思ったものには足があった。
◇ ◇ ◇
「うわぁ……」
レイモンドは素直に引いた。
◇ ◇ ◇
やがて。
それが姿を現す。
巨大な亀だった。
◇ ◇ ◇
「亀ですわ!?」
エリーが叫ぶ。
◇ ◇ ◇
ただし。
普通の亀ではない。
甲羅の上に木が生えている。
しかも。
その木にもキノコが生えている。
◇ ◇ ◇
「キノコの親玉?」
ルミナが嫌そうな顔をした。
◇ ◇ ◇
巨大猪。
巨大熊。
巨大モグラ。
巨大ニワトリ。
全員が道を空ける。
◇ ◇ ◇
「……偉いの?」
ガイルが聞く。
◇ ◇ ◇
頭のキノコが光った。
ピカッ。
◇ ◇ ◇
「ああ」
ガイルが頷く。
◇ ◇ ◇
「すごく偉いらしい」
◇ ◇ ◇
「なんで分かるんですか!」
レイモンドが叫ぶ。
◇ ◇ ◇
「なんとなくだ」
◇ ◇ ◇
「キノコ怖い!」
◇ ◇ ◇
その時。
巨大亀がゆっくりと首を下ろした。
そして。
ガイルを見た。
◇ ◇ ◇
「……」
「……」
「……」
◇ ◇ ◇
長い沈黙。
◇ ◇ ◇
やがて。
巨大亀は。
◇ ◇ ◇
ぺこり。
◇ ◇ ◇
頭を下げた。
◇ ◇ ◇
「え?」
ガイルが固まる。
◇ ◇ ◇
巨大猪も頭を下げる。
巨大熊も。
巨大モグラも。
巨大ニワトリも。
巨大キノコ樹も。
◇ ◇ ◇
全員が。
ガイルに頭を下げていた。
◇ ◇ ◇
「……」
レイモンドは遠い目をした。
◇ ◇ ◇
「もう人間に戻れないのでは?」
◇ ◇ ◇
「戻すわよぉ♡」
レンちゃんが笑う。
◇ ◇ ◇
「その前に」
拳を鳴らした。
◇ ◇ ◇
「誰がガイルちゃんをこんなにしたのか、話を聞かせてもらおうかしらぁ♡」
◇ ◇ ◇
笑顔だった。
とても。
とても怖い笑顔だった。
◇ ◇ ◇
すると。
巨大亀が。
ぷるぷると震え始めた。
◇ ◇ ◇
「……え?」
エリーが目を丸くする。
◇ ◇ ◇
次の瞬間。
巨大亀は。
◇ ◇ ◇
ひっくり返った。
◇ ◇ ◇
ドゴォォォォン!!
◇ ◇ ◇
「怖がってるぅぅぅ!?」
レイモンドの悲鳴が森に響いた。




