第28話 ガイル、キノコになる
「笑い事じゃありません!」
レイモンドが叫ぶ。
◇ ◇ ◇
「ガイル! 頭にキノコが!」
エリーも慌てている。
◇ ◇ ◇
「何?」
ガイルが自分の頭を触る。
◇ ◇ ◇
ぷにっ。
◇ ◇ ◇
「……生えてるな」
◇ ◇ ◇
「冷静!?」
レイモンドのツッコミが響く。
◇ ◇ ◇
ガイルは生えたキノコを摘まむ。
◇ ◇ ◇
「取れば問題ない」
◇ ◇ ◇
「待っ――」
ルミナが止める。
◇ ◇ ◇
しかし遅かった。
◇ ◇ ◇
プチッ。
◇ ◇ ◇
キノコが取れる。
◇ ◇ ◇
そして。
◇ ◇ ◇
ポンッ。
◇ ◇ ◇
新しいキノコが生えた。
◇ ◇ ◇
「増えたぁぁぁ!!」
レイモンドが叫ぶ。
◇ ◇ ◇
「一本が二本になった」
ニアが冷静に報告した。
◇ ◇ ◇
「報告してる場合ですか!?」
◇ ◇ ◇
エリーは半泣きだった。
「ガイルがキノコに……」
◇ ◇ ◇
「俺はガイルだぞ?」
◇ ◇ ◇
「そこじゃありませんわ!」
◇ ◇ ◇
その時だった。
巨大熊が近付いてきた。
◇ ◇ ◇
のそり。
◇ ◇ ◇
ガイルの前で止まる。
◇ ◇ ◇
そして。
◇ ◇ ◇
ぺこり。
◇ ◇ ◇
頭を下げた。
◇ ◇ ◇
「……え?」
ガイルが固まる。
◇ ◇ ◇
続いて。
巨大猪。
巨大モグラ。
巨大ニワトリ。
◇ ◇ ◇
全員がガイルに頭を下げた。
◇ ◇ ◇
「何これ」
レイモンドが呟く。
◇ ◇ ◇
「昇進?」
ニアが言った。
◇ ◇ ◇
「何にですか!?」
◇ ◇ ◇
ルミナが嫌そうな顔をする。
「たぶん……」
◇ ◇ ◇
「たぶん?」
◇ ◇ ◇
「キノコ側に認識された」
◇ ◇ ◇
沈黙。
◇ ◇ ◇
「キノコ側?」
レイモンドが聞き返す。
◇ ◇ ◇
「キノコ側」
ルミナは真顔だった。
◇ ◇ ◇
「人間側じゃなくて?」
◇ ◇ ◇
「キノコ側」
◇ ◇ ◇
最悪だった。
◇ ◇ ◇
その時。
ガイルの頭。
二本目のキノコが。
◇ ◇ ◇
ピカッ。
◇ ◇ ◇
光った。
◇ ◇ ◇
「……ん?」
ガイルが首を傾げる。
◇ ◇ ◇
次の瞬間。
◇ ◇ ◇
「腹減った!」
◇ ◇ ◇
叫んだ。
◇ ◇ ◇
「は?」
◇ ◇ ◇
「肉が食いたい!」
◇ ◇ ◇
「いつもじゃないですか!」
レイモンドがツッコむ。
◇ ◇ ◇
「違う!」
ガイルが叫ぶ。
◇ ◇ ◇
「キノコが食いたい!」
◇ ◇ ◇
沈黙。
◇ ◇ ◇
ルミナが顔を覆った。
「あー……」
◇ ◇ ◇
「どうしたんですか!」
レイモンドが叫ぶ。
◇ ◇ ◇
「始まった」
◇ ◇ ◇
「何が!?」
◇ ◇ ◇
「キノコ化」
◇ ◇ ◇
「嫌ぁぁぁぁぁ!!」
◇ ◇ ◇
レイモンドの悲鳴が森に響く。
そして。
◇ ◇ ◇
「ピィ!」
◇ ◇ ◇
毛玉が。
なぜかガイルの肩に飛び乗った。
◇ ◇ ◇
まるで。
新しいボスが決まったかのように。




