第27話 説明しないなら殴られる
「殴りましょう♡」
レンちゃんは良い笑顔だった。
◇ ◇ ◇
「待ってください!」
レイモンドが全力で止める。
「説明を聞く努力をしてください!」
◇ ◇ ◇
「したわよぉ♡」
レンちゃんは毛玉を見る。
◇ ◇ ◇
「毛玉ちゃん♡」
「ピィ!」
「説明は?」
「ピィ!」
◇ ◇ ◇
「ほら♡」
◇ ◇ ◇
「何も分かってませんよね!?」
◇ ◇ ◇
正論だった。
◇ ◇ ◇
その時。
巨大な木がゆっくりと動く。
◇ ◇ ◇
ギギギギギ……
◇ ◇ ◇
枝が揺れる。
キノコが落ちる。
地面が震える。
◇ ◇ ◇
エリーが後ずさった。
「来ますの……?」
◇ ◇ ◇
だが。
攻撃はしてこない。
◇ ◇ ◇
巨大な木は毛玉を見ている。
ただひたすら見ている。
◇ ◇ ◇
「知り合い?」
ガイルが聞く。
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「ピィ?」
◇ ◇ ◇
毛玉は分かっていなかった。
◇ ◇ ◇
「本人が分かってない」
ニアが呆れる。
◇ ◇ ◇
すると。
巨大な木がゆっくり口を開いた。
◇ ◇ ◇
『……ォ……』
◇ ◇ ◇
「喋った!?」
レイモンドが飛び上がる。
◇ ◇ ◇
『……オ……ヤ……』
◇ ◇ ◇
全員が固まる。
◇ ◇ ◇
『オヤ……』
◇ ◇ ◇
毛玉が首を傾げた。
◇ ◇ ◇
「ピィ?」
◇ ◇ ◇
『オヤ……ダ……マ……』
◇ ◇ ◇
沈黙。
◇ ◇ ◇
「親玉?」
エリーが呟く。
◇ ◇ ◇
巨大熊も。
巨大猪も。
巨大モグラも。
巨大ニワトリも。
一斉に毛玉を見た。
◇ ◇ ◇
「ピィ?」
◇ ◇ ◇
本人だけが分かっていない。
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「まさか」
ルミナが嫌な顔をする。
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「この子、森の主だったりする?」
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「ピィ?」
◇ ◇ ◇
否定しているのか理解していないのか分からない。
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その時だった。
巨大な木の体が急に揺れる。
◇ ◇ ◇
ギシッ。
◇ ◇ ◇
ミシミシミシ……
◇ ◇ ◇
「ん?」
レンちゃんが眉をひそめる。
◇ ◇ ◇
木の表面。
そこに生えていた紫色のキノコが膨らみ始めた。
◇ ◇ ◇
「……嫌な予感」
ニアが呟く。
◇ ◇ ◇
ルミナの顔色が変わる。
「下がって!」
◇ ◇ ◇
次の瞬間。
◇ ◇ ◇
ボンッ!!
◇ ◇ ◇
キノコが破裂した。
◇ ◇ ◇
紫色の胞子が大量に舞う。
◇ ◇ ◇
「うわっ!」
レイモンドが口を押さえる。
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しかし。
遅かった。
◇ ◇ ◇
ふわり。
◇ ◇ ◇
一粒の胞子が。
ガイルの鼻先に付着する。
◇ ◇ ◇
全員の視線が集まる。
◇ ◇ ◇
「……?」
ガイルは瞬きをした。
◇ ◇ ◇
「何ともないぞ?」
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その一秒後。
◇ ◇ ◇
モコッ。
◇ ◇ ◇
ガイルの頭から。
小さな紫色のキノコが生えた。
◇ ◇ ◇
沈黙。
◇ ◇ ◇
「……」
「……」
「……」
◇ ◇ ◇
レイモンドが震える声で言う。
◇ ◇ ◇
「生えましたよね?」
◇ ◇ ◇
「生えたな」
ニアが頷く。
◇ ◇ ◇
「ガイル!」
エリーが悲鳴を上げる。
◇ ◇ ◇
ガイル本人だけが気付いていなかった。
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「何がだ?」
◇ ◇ ◇
レンちゃんは腹を抱えて笑い始めた。
「あはははははっ♡」
◇ ◇ ◇
「似合うじゃなぁい♡」




