第21話 巨大モグラと穴だらけの森
ドォォォン!!
巨大モグラが地面から飛び出した。
土が舞う。
木が倒れる。
レイモンドの精神が削られる。
◇ ◇ ◇
「またかぁぁぁ!!」
レイモンドの叫びが響く。
「最近それしか言ってませんわね」
エリーが言った。
「言わせてるのは誰ですか!」
◇ ◇ ◇
巨大モグラは一行を見た。
小さな目。
巨大な爪。
体長は五メートル近い。
◇ ◇ ◇
「でかいな!」
ガイルは少し嬉しそうだった。
「ガイルは嬉しそう」
ニアが呆れる。
◇ ◇ ◇
その時。
巨大モグラが鼻をヒクヒクさせた。
そして。
◇ ◇ ◇
キノコを食べた。
◇ ◇ ◇
「食べた」
ルミナが言う。
「食べたな」
ガイルも言う。
◇ ◇ ◇
モグモグ。
モグモグ。
◇ ◇ ◇
「……襲ってこない?」
エリーが首を傾げた。
◇ ◇ ◇
巨大モグラはひたすら食べていた。
紫キノコを。
夢中で。
◇ ◇ ◇
「犯人こいつじゃない?」
レイモンドが言う。
◇ ◇ ◇
周囲を見る。
地面は穴だらけ。
畑を荒らした跡とよく似ている。
◇ ◇ ◇
「可能性高い」
ニアが頷いた。
◇ ◇ ◇
「じゃあ依頼達成?」
ガイルが聞く。
◇ ◇ ◇
「待って」
ルミナが止めた。
珍しく真面目な顔だった。
◇ ◇ ◇
「何?」
レンちゃんが聞く。
◇ ◇ ◇
「このキノコ」
ルミナは一本摘まむ。
「増えてる」
◇ ◇ ◇
沈黙。
「増えるだろ」
ガイルが言う。
「キノコだから」
◇ ◇ ◇
「そうじゃない」
ルミナは首を振った。
「増える速度がおかしい」
◇ ◇ ◇
その瞬間。
一同の目の前で。
キノコが一本。
にょきっ。
◇ ◇ ◇
「……生えた」
レイモンドが言う。
◇ ◇ ◇
さらに。
にょき。
にょき。
にょき。
◇ ◇ ◇
「増えてるぅぅぅ!?」
◇ ◇ ◇
森のあちこちでキノコが生えていく。
あり得ない速度で。
◇ ◇ ◇
「原因これじゃない♡」
レンちゃんが笑った。
◇ ◇ ◇
「笑い事じゃないです!」
レイモンドは叫ぶ。
◇ ◇ ◇
その時だった。
毛玉が飛び出した。
「ピィ!」
◇ ◇ ◇
巨大モグラの前へ立つ。
◇ ◇ ◇
「危ない!」
エリーが声を上げる。
◇ ◇ ◇
だが。
巨大モグラは攻撃しなかった。
◇ ◇ ◇
むしろ。
毛玉を見るなり。
固まった。
◇ ◇ ◇
「ん?」
レンちゃんが首を傾げる。
◇ ◇ ◇
巨大モグラは慌てて後退する。
一歩。
二歩。
三歩。
◇ ◇ ◇
そして。
逃げた。
◇ ◇ ◇
「逃げた!?」
レイモンドが叫ぶ。
◇ ◇ ◇
巨大モグラは全力で穴を掘る。
逃げる。
本気で逃げる。
◇ ◇ ◇
「毛玉の方が強いの?」
エリーが聞く。
「分からない」
ニアも首を振った。
◇ ◇ ◇
だが。
毛玉は逃げるモグラを見て。
なぜか胸を張っていた。
◇ ◇ ◇
「ピィ!」
どや顔だった。
◇ ◇ ◇
その時。
ルミナがあることに気付く。
◇ ◇ ◇
「待って」
「どうしたのぉ♡」
◇ ◇ ◇
ルミナは毛玉を見る。
真剣な顔で。
◇ ◇ ◇
「もしかして」
◇ ◇ ◇
「この子、普通の生き物じゃない」
◇ ◇ ◇
全員の視線が毛玉へ集まった。
◇ ◇ ◇
「ピィ?」
本人だけは何も分かっていなかった。




