第20話 子ウサギ達の言い分
「犯人、お前らかぁぁぁ!!」
レイモンドの叫びが森に響く。
◇ ◇ ◇
固まる子ウサギ達。
口には野菜。
両手にも野菜。
背中にも野菜。
完全に現行犯だった。
◇ ◇ ◇
「証拠が完璧ですわ……」
エリーが呟く。
「完璧」
ニアも頷く。
「完璧だな!」
ガイルも頷く。
◇ ◇ ◇
子ウサギ達は顔を見合わせた。
そして。
一斉に野菜を隠した。
◇ ◇ ◇
「遅い」
ニアが即答した。
◇ ◇ ◇
「ピィ……」
毛玉が呆れたように鳴く。
◇ ◇ ◇
その時。
森の奥から巨大ウサギが現れた。
「あらぁ♡」
レンちゃんが手を振る。
◇ ◇ ◇
巨大ウサギは子ウサギ達を見る。
次に。
野菜を見る。
◇ ◇ ◇
そして。
頭を抱えた。
◇ ◇ ◇
「今、頭抱えたよな?」
レイモンドが聞く。
「抱えた」
ニアが答えた。
◇ ◇ ◇
巨大ウサギは子ウサギ達を並ばせる。
子ウサギ達はしょんぼりしている。
◇ ◇ ◇
「怒られてるわねぇ♡」
レンちゃんが笑う。
◇ ◇ ◇
しかし。
そこでエリーが気付いた。
「あれ?」
「どうした?」
ガイルが聞く。
◇ ◇ ◇
「子ウサギさん達、痩せてません?」
◇ ◇ ◇
全員が見る。
言われてみれば。
確かに細い。
◇ ◇ ◇
巨大ウサギも以前より痩せている気がする。
◇ ◇ ◇
「……食べ物不足?」
ルミナが呟く。
◇ ◇ ◇
巨大ウサギは静かに頷いた。
ように見えた。
◇ ◇ ◇
「なるほどねぇ♡」
レンちゃんが腕を組む。
「森の食べ物が減ってるのねぇ♡」
◇ ◇ ◇
ニアが周囲を見渡す。
「確かに少ない」
木の実も少ない。
草もまばらだ。
◇ ◇ ◇
「巨大猪」
ニアが言う。
「あ」
全員が納得した。
◇ ◇ ◇
巨大化した動物達が食べ尽くしたのだ。
◇ ◇ ◇
「つまり」
レイモンドが整理する。
「畑荒らしは悪意じゃなくて……」
◇ ◇ ◇
子ウサギ達。
「……」
◇ ◇ ◇
巨大ウサギ。
「……」
◇ ◇ ◇
全員。
お腹が空いていただけ。
◇ ◇ ◇
「うっ」
エリーの目が潤んだ。
「可哀想ですわ……」
◇ ◇ ◇
「だからって盗みはダメ」
ニアは冷静だった。
◇ ◇ ◇
子ウサギ達がしょんぼりする。
◇ ◇ ◇
「うっ」
今度はガイルがダメージを受けた。
「反省してるぞ……」
◇ ◇ ◇
「ガイルは甘い」
ニアが呆れる。
◇ ◇ ◇
その時だった。
毛玉が突然飛び上がった。
「ピィ!」
◇ ◇ ◇
森の奥を指差す。
必死に。
◇ ◇ ◇
「また何かあるの?」
ルミナが聞く。
◇ ◇ ◇
毛玉は何度も頷く。
そして走り出した。
◇ ◇ ◇
「追うわよぉ♡」
レンちゃんが歩き出す。
◇ ◇ ◇
数分後。
一行は森のさらに奥へ到着した。
◇ ◇ ◇
「……これは」
レイモンドが言葉を失う。
◇ ◇ ◇
そこには。
紫色に光るキノコが大量に生えていた。
◇ ◇ ◇
畑どころではない。
森一面。
紫色だった。
◇ ◇ ◇
「うわぁ……」
ルミナが引いた。
◇ ◇ ◇
その時。
キノコ畑の中央が盛り上がる。
モコッ。
◇ ◇ ◇
「ん?」
ガイルが見る。
◇ ◇ ◇
モコッ。
モコモコッ。
◇ ◇ ◇
何かいる。
しかも。
かなり大きい。
◇ ◇ ◇
「嫌な予感がします」
レイモンドが後退する。
◇ ◇ ◇
そして。
地面を突き破って現れたのは――
巨大なモグラだった。
◇ ◇ ◇
「またかぁぁぁ!!」
レイモンドの叫びが森に響いた。




