第19話 犯人は誰だ? 毛玉裁判、開廷
翌日。
王都郊外の畑。
◇ ◇ ◇
「ここです」
依頼人の農家が案内する。
一行は現場へ到着した。
◇ ◇ ◇
「うわぁ……」
エリーが声を漏らした。
畑は見事に荒らされていた。
野菜が抜かれている。
土も掘り返されている。
収穫直前だった作物まで倒れていた。
◇ ◇ ◇
「これは酷いわねぇ♡」
レンちゃんも眉をひそめる。
◇ ◇ ◇
「足跡」
ニアがしゃがみ込む。
地面を確認する。
「確かに小さい」
◇ ◇ ◇
レイモンドも覗き込んだ。
「本当ですね」
うさぎ程度の大きさ。
大きな獣ではない。
◇ ◇ ◇
そして。
全員の視線が向く。
◇ ◇ ◇
毛玉。
◇ ◇ ◇
「ピィ?」
毛玉は首を傾げた。
◇ ◇ ◇
「怪しい」
ニアが言う。
「怪しいな」
ガイルも言う。
「怪しいですわ」
エリーも言う。
◇ ◇ ◇
「だから犯人扱いするのやめてください!」
レイモンドが突っ込んだ。
◇ ◇ ◇
その時だった。
ルミナが何かを拾う。
「ん?」
◇ ◇ ◇
地面に落ちていたのは。
紫色の欠片。
◇ ◇ ◇
「あ」
キノコだ。
あの怪しい光るキノコ。
◇ ◇ ◇
「また出たわねぇ♡」
レンちゃんが受け取る。
◇ ◇ ◇
「つまり?」
エリーが聞く。
「まだ終わってない」
ニアが答えた。
◇ ◇ ◇
その瞬間。
毛玉が急に飛び出した。
「ピィ!」
◇ ◇ ◇
「おい!」
ガイルが呼ぶ。
だが止まらない。
毛玉は畑の奥へ一直線だった。
◇ ◇ ◇
「追うわよぉ♡」
レンちゃんが走り出す。
全員続いた。
◇ ◇ ◇
森の入口。
毛玉は立ち止まった。
「ピィ!」
必死に何かを訴えている。
◇ ◇ ◇
「何かあるの?」
エリーが聞く。
◇ ◇ ◇
その時。
ガサッ。
草むらが揺れた。
◇ ◇ ◇
「いる」
ニアが短く言う。
◇ ◇ ◇
次の瞬間。
飛び出してきた。
◇ ◇ ◇
「え?」
レイモンドが固まる。
◇ ◇ ◇
うさぎだった。
◇ ◇ ◇
一匹じゃない。
二匹でもない。
三匹でもない。
◇ ◇ ◇
十数匹。
◇ ◇ ◇
「うわぁ……」
◇ ◇ ◇
しかも全員。
昨日会った巨大ウサギの子供達だった。
◇ ◇ ◇
子ウサギ達は一斉に立ち止まる。
そして。
口元には。
野菜。
◇ ◇ ◇
沈黙。
◇ ◇ ◇
「……」
「……」
「……」
◇ ◇ ◇
毛玉が目を逸らした。
◇ ◇ ◇
「犯人、お前らかぁぁぁ!!」
レイモンドの叫びが森に響いた。




