表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百のスミレと千のユリ  作者: 水瀬 悠希
動け身体よ、身体よ動け
76/93

あなたはだあれ?

「そろそろ… だにゃ」


 今の時刻は午前3時半。しっぽがたくさん生えた狐の妖怪──友里さんに言わせれば地主神という、そこそこ力の強い神様──のアドバイスに従って、方向転換。

 高速道路を降り、国道を走っているのは、いざという時に逃げ道が無くなるから。


 時間は、そろそろ午前3時半…… は過ぎている。4時まであと10分ってとこかな。

 1桁番の国道とはいえ、さすがにこの時間の交通量は少ないな。時々、宅配荷物を積んだ大型トラックが走っているけど、そのくら… い?


「病院を出てから、ずーっとつけられていない?」


 かなり距離が離れているようだけど、あの亀の甲羅のような独特のシルエットは見間違いようもない。あれは重要人物を護送するMSV(Maximum Security Vehicle)だ。

 生存性を最優先に設計されているので、超合金フリートニウムで出来た強固な装甲を備えていながら、ホバー走行まで出来ちゃうという、バケモノのような車だ。

 さらにロケット砲まで積んでいる…… まるで戦車みたいなやつだよ。


 いや、戦車よりもタチが悪いかも。MSVの最高時速は300キロを超える。

 つまり、下手なフォーミュラーマシンよりもスピードが出るってことだ。

 そして戦車並みの装甲と武装をしているとくれば……


「ああ、あれなら私達の護衛だとも。最近は物騒な世の中だからねぇ」

「どこに行くにもああいうのが付いてくるのよねぇ~」


 ええと、山之谷博士と芹沢博士って。しょっとしないでもVIPか何かなの?


「そうですよ、冬夜くん。お二人とも、いくつかの博士号をお持ちですし、文部省から講書教授に任命されているんです。だから大博士とお呼びすべき人達なんです!」

「止めてくれたまえ」「それだけは、やめてねぇ」


 ……なんで嫌がるんだろ。それにしても、何か引っかかるなぁ。何となく聞き覚えがあるんだよ。その…山之谷博士って。


「それはねぇ、祖父が国連宇宙軍の創設に深く関わっているからかしらぁ」

「私も祖父が巨大な深海生物をやっつけるやら、異次元… いや、未来の地球との通路をこじ開けたりしたからなぁ」


 なるほどね。『あの人のお孫さん』扱いされるのは、嫌だ! ってやつか。

 その筋ではさぞかし強烈に輝く七光りなんだろうなぁ……


「ま、まあ… その話は止めてくれないか? それよりも、冬夜くん。そして美月くんに聞きたい事があるんだが」

「そうねぇ。私もお話ししたいんだけど、運転しているから無理なのよねぇ」


 うっく、き、急にふたりの雰囲気が変わったぞ。

 どうしたのさ、急に真面目な顔をしちゃって…… というより、真面目を通り越して何やら怖いんですけど。

 両隣に座っている岩本女史や友里さんには、何やら悲壮感が漂ってるし。


「なぁに、質問はひとつだけだから安心したまえ」


 いやいやいやいや。安心できませんって。

 何を、どうすれば、こんな悲壮感たっぷりの……


「……冬夜くん、そして美月くん。君たちは何者なんだい?」


 何者って… 僕は泉水 冬夜(いずみ とうや)。去年の春に高校に進学して、そのまま苛めにあって鉄道自殺を考えただけの、平々凡々……


「それが、おかしいのよねぇ」


 山之谷博士… そんなことを言われても困るんですけど。だって僕は僕だし、それ以上何を言えと仰るんで……


「私たちはね、細菌学と遺伝子工学は、かなりいい線まで進んでいるのだよ。私の場合、分子学や機械工学なんぞはオマケに過ぎないね」


 細菌学とか遺伝子工学…… それと僕にどんな関係があるのか分かりませんけど?


「前に冬夜くん、君の遺伝子解読をした事は知っているね? 美月くん、君からもサンプルを提供してもらったね」

「えー? そんなん出来るー? ……というかぁ…「待った!」……!?」

「美月くん。我々を『説得』しようとは考えないでくれたまえ。もしもやったら…… この車ごと自爆するからね」


 えっ? どゆこと? 自爆って……


「ふむ、じゃあ、こう言えば良いかな…… 冬夜くん。君の遺伝子解読の結果だが… 去年のデーターとの整合性は98.5パーセントしかないのだが、何故だろうねぇ」

「えっ?」


 いくら何でも、おかしくない? 去年のいつなのかは知らないけど、僕は遺伝子検査なんて…… いや、問題はそこじゃない。

 約1年という短い期間で遺伝子が大きく変化するはずがない。

 ひょっとして、芹沢博士が解読をミスったんじゃない?


「いいや、キミは忘れて… いや、知らないのかな? 君のような男性には精子提供義務があるってことを、ね」


 いやそれ初めて聞いたんですけど?

 なんなの、その義務って……

最近の研究では、現代人の遺伝子の互換性は、99.7パーセントだそうです。

世代交代のタイミングでの転写ミスや、突然変異などが原因だそうですが……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ