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百のスミレと千のユリ  作者: 水瀬 悠希
誰かが何処かで間違えた
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ポジティブに行こう!

 リーマ様の話だと、どうやらマイナスエネルギーを吸い取る機能は止まったみたいだ。そして、起爆装置に当たる部分も何とかなった。

 残るはマイナスエネルギーが溜まったタンクぽいものだけだ。


 じゃあ、それを抜き取ってくれれば、万事解決じゃないの?


「ところが、そう簡単なものじゃないのよねぇ」


 遠い目をしたラーリイがぽそりと言った。


「えーと、無理ってこと?」

「どれだけ溜まってると思ってるのよ。少なく見積もっても1000年分よ?」

「そうさねぇ。これだけの量のエネルギーを放出したら地上は大混乱さね」


 つまり、しばらく持っているしかないわけね。ぐっすし。

 うぐぐぐぐ…… 泣いても良いよね、僕。


「おにいにぃ、泣き顔って似合わないと思うケドぉ?」


 うっ… そうだ、美月の言うとおりだ。

 不幸を悲しんでいるだけなんて、僕らしくないな。

 僕のいちばんの友達は不幸じゃないか。これまで、そうして生きてきたんだ。

 吸い取り口と起爆装置が動かない今なら前よりはマシだと思うよ。


 うん、ポジティブに行こう!


「そうよ、それでこそ私の冬夜くんよぅ」「わぷっ!?」


 嬉しいけどそれ止めて。気持ちいいけど息ができな……


「ショッキングな話を聞かせちまったかね。坊や、今日はもうお休み」


 うん、そうする……



 その晩、僕は夢を見た。

 ここに来てから、夢を見たのは初めてかも知れない……



 気が付くと、僕はどこかに向かって進んでいた。

 火薬のいっぱい詰まった樽に乗って、ころころと。

 色とりどりの花の咲く草原を、どこまでも、どこまでも転がっていく夢だ。


 ふと樽を止めて、あたりを見回してみた。

 どっちを向いても地平線が広がっている。

 空を見上げれば…… 超巨大な樹が大きく枝を広げている。

 根本は見えない…… それが在るのは地平線の、はるか先。


 僕は、また樽を転がした。

 ころころと、ころころと。

 ころころと、ころころと。

 どこまでも、どこまでも。


「……おにい、おはよ。よく眠れたぁ?」「おはよ…… うぅううっ!?」


 目の前の… 息がかかりそうなところに美月の笑顔があるのはなぁ。

 埴輪たちは何をしてたんだろ。たしか昨夜は……


「おねえ達には、遠慮してもらったしぃ、埴輪なら庭に刺さってるケド?」

「刺さって? ああっ、お前たち!」


 障子を開けて外を見たら…… あいつら頭だけ出して地面に刺さってたよ。

 前に見たときは乱雑に刺さってたけど、今度は田植えのつもりかよ……

 地面への刺さり具合が規則正しすぎないか?


「おはよう坊や。よく眠れたようだねぇ」「おはようございます、リーマ様」


 うん、いつものリーマ様だ。

 思えば昨日のリーマ様って、どこか悲しそうだったんだよね。

 僕は大丈夫だから。一晩寝たら、なんか落ち着いたよ。

 諦めがついたというか。覚悟が決まったというか、


 結局のところ、爆薬の詰まった樽を抱えている事には間違いないけどね。

 だからと言って、泣き喚いていても、明るい明日は来ないんだ。

 それに不幸という名のマイナスエネルギーは、ずっと一緒だったんだ。


 だから…… ね?


「……ふふっ、坊やは… 強いねぇ」


 それだけを言うと、僕を抱きし…「冬夜くぅん、お着替えの時間よぉ!」


 すぱぁん! と音を立てて障子を開く音とともに、どやどやと入ってきたのはオオヌイ様、オヌイ様とフテミミ様の衣服の神様'sだ。

 あっという間につま先から頭のてっぺんまで、これでもかというくらいに……


 あれ、なんか普通に特撮ものの隊員服っぽくない?

神様とてTPOは心得ているのです。

でも彩根井寺は神界なので、趣味丸出しにして冬夜くんで遊んだけなのです。

しかぁし! いつまでも、コスっていこう! という訳にはいかないのです。

と、いう訳で隊員服です。

こういうものは昔から動きやすいデザインのものが多いですねぇ。

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