霜の柱が出来ちゃう日
僕は神の呪いを受けた、哀れな魂魄の持ち主というやつらしい。
呪われた理由? 何回も前の前世──転生前の僕がそこにいた。それだけ。
そんな理不尽な理由で、僕は人間爆弾にされてしまったんだそうだ。
爆弾と言っても、爆発するのは火薬とかじゃない。負の感情や陰の気と呼ばれている、マイナスのエネルギーだ。
僕が不幸とか災難に遭うと、そいつが魂魄に溜まっていく。
やがてそいつが満タンになったら、どっかーん!
爆発はブラックホールを吹き飛ばすくらいの時空崩壊を起こすらしい。
そんな物騒なものが僕の魂魄に仕掛けられていて……
「充填率は、ほぼ100パーセント。爆発したら、太陽系が半壊するねぇ」
「げっ!?」「もう少し時間をかければ、何とかなったかも知れないけど……」
……とはリーマ様の見立て。ラーリィ… 様が気が付いて、爆弾の起爆装置に当たる部分と、マイナスエネルギーを吸い込む… で、いいのかな。
その部分は動かないようにしてくれたそうだ。
「今のおにいはねぇ、理論上あり得る原子核反応爆弾がぁ、線香の煙に見えるようなチョー危険な不発弾を抱いているってワケ」
「話を聞いていると、次元爆弾って感じもするけどね」
ちなみに原子核反応爆弾については、イビム帝国で研究が進められていた時期があるんだ。研究所のあったところ、今では海の底だけど。
あそこは謎の天変地異という事で、いまでも時々ネットに上がることがある。
リーマ様なら何か知っているだろうと思って、聞いてみたことがあるけど……
『いんや、私らは何もしていないさね』
……だってさ。
原子核反応爆弾の話はどうでもいいや。話を元に戻そう。
こんな事をした犯人は分かっているそうだ。うん、正確には元・人間だね。
神々の王になろうと、色々と小細工をしては失敗… を繰り返している神様だそうだ。こいつこそ邪神じゃないかって思っちゃうよね。
「こいつの弟子が優秀すぎるのさ。断食と瞑想だけで悟りを開いたのさ。あれは師匠に似合わぬ優秀なオトコさね」
「しょっちゅう植木鉢に塩を投げ込むとか、果樹園から果物を盗んだとか、そういう事ばかりしているって話だしぃ」
「母様からよく言われたわ。あんなオトナになっちゃダメですよって」
リーマ様たちの話を聞き終わった僕は、心の奥底から何とも言いようのない感情が沸き上がってくるのを感じた。
そんな小物に… いや、小物以下のイタズラ小僧ぽい変な奴に目をつけられた挙句、呪いまでかけられるなんて……
「お弟子さんは、とても優秀な神様なんですけどね……」
「師匠の真似をして、髪型はパンチパーマだけど、あれさえなければねぇ」
悟りを開いた? パンチパーマの… 男の神様、だって?
……ふむ。
ぴこーん!
思いついちゃった。なんちゅーか、その……
最初に言っておくけど、笑わないでね? せめて失笑くらいなら……
「ん、坊や。どうしたんだい?」
「お釈迦さまって、実は白人だったりして」
「違うよ、おにい。もとは天竺人として生まれた人間だよぉ」
へぇ、そうなんだ。あのあたりは大昔から国境紛争の絶えない場所だから、どうかと思っていたんだけど… 天竺で合ってたのか。
でも、この場合は、これでいいのだ!
「……アングロ釈尊」
「なぁっ?」「ええと……」「あの、冬夜くん……」
ぬふふふふ。あまりの寒さで風邪をひいてしまえ。
神様だって病気になったりケガをする事は分かってる。
そうじゃなかったら、あんな湖みたいなお風呂は要らないだろ。
「……くっ」
おっ、さすがはリーマ様だ。立ち直ってしまったか。ラーリイや美月は身体中に霜がびっしりと付いているのにね、
……ダメかな。あまりにも下らない事を言ったから……
「ハハハハハ… 傑作さぁね。本人に聞かせたら、どんな顔をするか……」
リーマ様、おなかを抱えて爆笑してる……
神様の笑いのツボがどこにあるのか分からなくなってきた。
カビの生えたギャグですが、昭和レトロという事で……




