冬夜くん、お稽古です
服を脱がされて、両手両足を押さえつけられたまま、しばしの時が流れて。
からり、とふすまを開けてさっきの神様'S が戻ってきた。その手が抱えているものは白いTシャツぽいものと、紺色してるな。何だろう……
「さあ、出来ましてたよ」「試着してみてねぇ」
無理矢理に… 紐のようなパンツに驚いている隙に着せられたんだけどね。
これでもパンツか? そしてブラとか、白い半そで体操服とか。
紺色のは…… ブルマか。 考えなくても男子用じゃないよね、なんでだ?
「……解せぬ」
「よくお似合いですよ」「汗をかいてもべとつかないし、透けないんだよ」
「いやいや、僕は…」「冬夜くんは美少女!男子にゃよ」
多勢に無勢とは、まさにこの事かも。でもね、でもね……
「いやだから、いくらなんでもブルマは無いでしょ? 常識的に考えて!」
「標準型では不服だと?」「ハイレグの方が良かったの?」「違うぅうう!」
僕がいくらプロテストしても、これしか作ってくれないらしい。
わかった、分かりましたよ。嫌なら着るなって事なんだろ。
「坊や。着替えたら軽く走っておいで。そうさねえ、あそこの山あたりまで」
軽く? あそこの? 山まで…… デスカ?
「何を言う」「走り込みは体力作りの基本であるぞ」
「また神様がでたぁ!」
「スサノヲである」「我はタヂカラヲだ」
「「我らが鍛錬の手助けをしてやろう」」
うっ…… 前門の筋肉だるま、後門の性悪女神… ってか。
観念した僕が走り始めると、スサノヲ様が後ろをぴったり付いてきたんだ。
そして走るスピードが落ちたと見るや、腰に下げた水筒の中身を頭に……
タパタパタパ……「ぅわははははは!」「わあああ!」
なんでもサルノコシカケやスズメバチの巣とか、木の皮とかを、すんごく濃く煮出したものだそうで、味も臭いも最悪なシロモノだ。
「我のも分けてやろうぞ」「いやあぁあああ!」
走り込みを終えるた僕は、ぺたりとあお向けにひっくり返った。
わずか3日… いや、4日で僕の体力は──超回復スキルとお風呂の助けで、ぐんぐん回復してる。いまなら10キロくらいは駅伝選手並みのスピードで走り抜ける事が出来るんじゃないかな。
最後に整理運動を兼ねた筋トレ。お昼ご飯を食べたら勉強というのが、1日のルーティンだ。勉強と言っても、学問プラスアルファ…
「學而時習之、不亦説乎。有朋自遠方来、不亦樂乎」
誰だよ、この牛に乗ったヒゲ爺。うわぁあ、雷撃はいやぁああ!
……とか。
「んもぅ、駄目じゃなぁい。口紅、右側がズレてるじゃない。そんなんじゃ殿方は振り向いてくれないわよっ。はい、やり直し!」
タマヨリ様、僕は… 男の子です…… とか。
で、夕ご飯の時間がやってきた。今日のご飯はなんだろね。楽しみだなぁ。
「今日も坊やは頑張ったねぇ。今日は私が料理を作ってみたんだけど、どう?」
おぉおおお! やったぁ!
これは夢にまで見たインド人もビックリなアレですよ。
こっちの日本では薬膳料理の域を出ないけど、元の世界では国民食とまで言われた、黄金色をした……
「いっただっきma… ぶふぉおっ……」
はあはあ、ぜえぜえ…… ひとくち食べただけなのに身体が燃えるように熱い。
全身からカレーの匂いがする汗が…… 何よりも、お尻がいだい……
「リーマ様ぁ、おにいに何を食べさせたん?」
「ん? 天竺料理さぁね。ちょうど良い、折角だからサーリアも食べておいき」
「ちょっと待ってて? あーし、大勢で食べた方がいいとおm……」
がしっ。「……逃がさん」
うぐぐぐぐ…… カレーが辛すぎてむせる。
「おにい… 見逃がして?」
お前も! お前も! お前も! 喰え! 明日を生きる為に喰ええぇえ!
「あ、あは、あはははは……」「……そんなに辛いかねぇ」
リーマは、自分の皿にカレーをよそうと、ゆっくりとスプーンですくった。
そのままゆっくり味わっていたが、いやいやとばかりに小さく首を横に振った。
「ふむ、坊やのために甘口にしたけど、これはこれでなかなか… あら?」
リーマが見たのは、冬夜を担いで走り去るサーリアの姿だった。
ごめんなさい、鉄板ネタの塊になってしまいました。
出てきた神様は、後でまとめて解説しますです、はい。




