第三話 生きたい理由
1
陽陰「なぜこうなった…」
公認不登校の少年、天掴陽陰は今、教室にいた。なぜなら、今日は定期考査当日。本来、特殊カリキュラムの陽陰は別室で試験を受けるのだが、
担任「陽陰くん、せっかくだしクラスメイトの顔くらい見ときなよ〜」
という、担任のセリフのせいで数学の試験を教室で受ける事になった。なお、「数学の試験」とは、高校1年生の科目である数学Iと数学Aの両方を指し、つまり、しれっと本日のテスト全てを教室で受けることになってしまったのである。
現在やっと片方の試験が終わったところ。陽陰はかなり頭が良いので、この程度の試験は余裕だが、周りに人がいる中での試験が入試以来で、その時も推薦入試だったため、15人いるかどうかぐらいだったので、つまり何が言いたいかというと、周りに人が多すぎて集中できなかった。当然メンタルはズタボロである。
陽陰(本当になんでこうなるんだよ…あのク○教師…)
普段絶対に言わない暴言を心の中で担任に吐きつつ、教室を見渡す。
ふと、教室の後ろでいじめられている女子を発見した。名前は確か、鈴希花音___
陽陰(…どうでもいいか。どうせ関係ないし)
みつは「へぇ~、陽陰くん、彼女助けたいんじゃないんだ〜、ふ~ん?」
学校に見覚えしかないカミノコが現れた!!
2
急にみつはが現れたことで、陽陰のメンタルに限界が来た。その休み時間は寝過ごした。
みつは「ねぇ、何で寝ちゃうの〜!?話そうよ!?」
陽陰(試験で頭を回したいのでいま休ませます)
パーフェクトスルーされたみつはは、いわゆる七不思議的な物の怪を探すため(食べるため)に教室を出ていった。そのまま2限目、数学Aの試験が終わり、放課後になった。
担任「陽陰くん、どーでしたぁ?教室で試験。」
某教師に話しかけられた。直帰しようとしていた陽陰をなんとか引き止めたいらしい。
陽陰「精神的にきつかったです。もうやりたくないですね。」
担任「そう、そうですね。で?クラスメイトに関して気づいたことは?」
陽陰はすぐに、こっちが本題であることに気づいた。
陽陰「さあ、試験に集中するために寝てたんで、あまり見てないです。」
担任「本当は気づいてたでしょう?あのクラスで、何が起きてるのか。」
陽陰は口籠った。どうやら分かっていて聞いたらしい。性格が悪い。
担任「陽陰くん、彼女のことを頼めませんか?私は古いタイプの教師なのでね、最近の子にどんな言葉をかけて良いのやら分からんのですよ。」
3
某教師に話しかけられた後、陽陰は教室に戻ってきた。本当は来たくもない。だが、陽陰とて彼女を放ってはおけないのだ。
陽陰「すいません、鈴希さんどこかで見ませんでした?」
教室にいた女子2人に話しかけてみた。
女子「鈴希?知らねぇよ!みみっちは?」
「みみっち」と呼ばれたもう一人に振る。
女子「えっと、たしかさっき屋上の階段登ってたような…」
陽陰「っ!?ありがとう、二人とも!!」
返答を聞くやいなや、陽陰はお礼をしてすぐに駆け出した。陽陰は学校に来ることが少ない分、校則などもしっかり把握しているので気づいていた。この学校は屋上への立ち入りは教師の許可なくできない。なお、かなり切実な理由が無い限り教師は許可を出さない。その上、今教師は全員会議中だ。つまり…
陽陰(まずい…最悪の場合…!!)
屋上への階段を駆け上り、扉を開けた。
…そこには青空を背景に、一人の少女がいた。
4
花音「君、えっと…誰?」
わかってはいたが、花音は陽陰が誰か知らなかった。少しがっかりしつつ、話しかける。
陽陰「屋上は立ち入り禁止ですよ。何でここに?」
花音「…飛び込んだら、楽になれるかなって」
陽陰の予想は正しかった。彼女は自殺未遂のところまで来ていた。それはかつて、陽陰も来た道である。
陽陰「やめたほうが良いですよ。ろくなことないので。」
つまり、陽陰はそれがろくなことではないと分かっているのである。あの教師は、そのアドバイスが陽陰ならできると分かっていたから「彼女を頼む」と言ったのだ。
花音「君には分からないよ…私の気持ちは…」
何という典型セリフか、と思いながら反論する。
陽陰「勝手に決めつけないで下さい。僕なんか、そこから飛び込む予行演習ぐらいはしましたよ。」
花音はきょとんとする。そして、
花音「…たしかに決めつけだったかもね。でも、そこで踏みとどまったあなたに、やっぱり私の気持ちは分からないや。」
この屋上の立ち入り許可が厳しい理由は単純。柵がなく、少し足を滑らせるとすぐに落ちてしまうからだ。
陽陰「まって、早まらないで!!」
花音が駆け出し、屋上から飛び降りる。陽陰の静止も間に合わず、花音は…
…マットに着地し、事なきを得た。
5
ショートカットのため、陽陰が屋上から飛び降りる。当然マットに着地した。
陽陰 (まさか、人生で2回目の自殺予行演習があったとは…)
花音は、隣で俯いている。
花音「何で…?」
陽陰「友達に万が一に備えて用意してもらったんです。」
花音「違う!そこじゃない!!」
何故マットがあるかというのは解釈違いのようだ。ちなみに「友達に」と言ったところから隠れてみつはがめちゃくちゃ照れている。
花音「…なんで私を助けたの?」
陽陰「じゃあ聞いてみるけど予行演習やってみてどうでした?」
花音「…」
陽陰「これの本番なんて、頭おかしいにも限度があると思いません?」
花音「!!」
そう、陽陰が伝えたかったのは、「自殺」という行為の恐ろしさ、その行為が狂っているということである。彼はこれを小学6年生で実行し、「自殺なんてクソ食らえ」と自己解決した。
陽陰「なにか、やりたいことないんですか?」
少女は少し悩んで、
花音「…________(あまり言えないこと)」
陽陰はあまりのショックにフリーズした。
陽陰(えっ…えっ!?…ちょっと待って、今なんて?え?ちょっ、と…あー、そう来たかぁ
…!?)
頭の中で感情を整理してから、少し考えてから、みつはをチラッと見て返答することにした。ちなみにみつははてへぺろしてただけなので全く助けにならなかった。
陽陰「ま、まぁ…やりたいことがあるなら、まだ生きたい理由があるってこと。ならやりたいこと全部やってみてから、もう一度同じ気持ちか考えてみませんか?」
花音「…はい、そうします。やってみます。やりたいこと、全部!」
こうして、自殺予行演習しあった仲のクラスメイトができた。
陽陰(なんとかなった…。良い子はマネしないでください。悪い子もしないでください。)
みつは「いや~、一件落着!良かったね、陽陰くん!!」
協力者のカミノコが現れた!!
花音「誰?制服じゃないし…」
陽陰&みつは『!?』
どうやら花音にもみつはが見えるらしい。
そして(前回参照の)諸々の説明をして、マットを片付けた後、みつはと花音と駅で別れ、長い一日を終えた陽陰はやっと帰路についた。
良い子は、というか普通にマネしないで下さい。フィクションなので助かりましたが、物理的に助かる保証はできませんし、危ないです。覚悟ガン決まりの人もやらないで下さい。ろくなことないので。作品から学んで下さい。




