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ご胞子します!マイコニメイド  作者: 未羊


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第96話 騒動の翌日

 侵入者がやって来た翌日、モエが久しぶりのメイドとしての仕事を始めると、屋敷の中の様子に驚いていた。

「な、な、なによ、これーっ!!」

 さすがに昨日の戦闘は激しく、その戦いの跡が屋敷のあちこちに残っていたのだ。

 これには普段はすっかり落ち着いた女性となっていたモエも大声を張り上げてしまった。

「どうしたんだ、モエ」

 モエの声を聞いて、イジスがものすごい速さでやって来る。

 そこでイジスも、その酷い有様を目撃することとなった。

「おい、これはどういうことなんだ、説明してくれ」

 声を荒げて使用人たちを問い詰める。

 そこで代表して質問に答えたのは、獣人たちのまとめ役になっているビスだった。

「私がお答えしましょう」

「起こったことを全部ありのままに答えてくれ。これに気が付かなかったのは私の落ち度だ。決して怒らないから、正直に頼む」

「承知致しました」

 イジスの真剣な表情に、ビスもまた真剣な表情で向き合う。

 ビスは、イジスとモエに向かって、昨日の屋敷で起きたことをすべて話す。

「まあ……」

「私たちが書類を片付けている間に、そんなことがあったのか」

 仕事に一生懸命になっていた間に起きていた事件に、二人は驚きを隠すことができなかった。なにせその騒ぎのことを獣たちとの戯れだと思っていたのだから。

「ええ、その通りです。私たちはお二人の時間を邪魔しないように、決して部屋に近づけさせないように排除して回りました。すべては地下牢に閉じ込めてございますので、あとで確認なさってはいかがでしょうか」

「護衛にはあたしたちが付くにゃ」

 地下牢へ行くという話になって、キャロが満面の笑みで名乗りを上げている。

 普段はこんなに軽い感じではあるが、戦闘となるとその力をいかんなく発揮できる。それがキャラル族というものなのだ。

「もちろん私もついて行きます。私にはこの瞳の力がありますからね」

「瞳の力?」

「あー、知ってるにゃ。魔力を込めて見つめると、相手をいう通りに動かせちゃうんだにゃ」

「キャロ、とりあえず黙っててもらえませんか?」

「あ、はいにゃ……」

 キャロが騒いでいると、ビスからものすごい圧力の瞳を向けられる。さすがにキャラル族の危険察知能力。その身に危険を感じてキャロは黙り込んでしまった。

「では、メイド長、それでよろしいでしょうか」

 ビスもメイドの一人にすぎないので、最後はメイド長の許可を仰いでいる。キャロに比べればこういうところがしっかりしているのがビスなのだ。

 メイド長も、キャロとビスの二人が一緒ならと許可を出す。

 ひと通りの話が終わると、使用人たちは自分たちでできる応急処置を始めたのだった。


 キャロとビスの二人と一緒に、イジスとモエの二人は侵入者たちが捕まっている地下へとやって来る。

 暗くてじめじめとした空間に、モエは思わずイジスに寄り添ってしまう。

 その様子を見たキャロとビスは、小さく満足そうに微笑みを浮かべる。

 地下牢には明かりがともっていて、獣人と人間の看守が牢屋を見張っている。

「これはイジス様。いかなる用でこちらに」

 看守が用件を問い掛けている。

「昨日、屋敷に不審なものが入ったと聞いてね。それで様子を見に来たのだ」

「はっ、確かにこちらには昨日の侵入者を捕まえております。まさかご覧になりたいと仰るのですか?」

「その通りだ。そうでなければ、ここには来まい?」

「はっ、失礼致しました。食事を抜いてはおりますが、油断なさらないで下さい」

 看守は道を開け、イジスを奥へと通す。護衛としてビスとキャロの二人がいるので、看守たちはそのまま周囲の警戒を続けている。


 奥へと進み、牢屋へとやって来たイジス。

 そこには、身ぐるみをはがされ、着古したぼろ布に身をくるんだ連中が投獄されていた。

「……ずいぶんと多いな」

「二十人はいたかと思います。ですが、私たち獣人の敵ではありませんでしたよ」

 ぼそりとこぼした言葉に、ビスがしっかりと答えている。

 イジスの姿に気が付いた侵入者が、勢いよく立ち上がり、牢の鉄格子に突進してくる。

「イジス・ガーティス。くそっ、こんな姿じゃなきゃ、今すぐにでも……!」

「黙りなさい!」

 ビスが瞳力を発動する。

 すると飛び掛かってきた侵入者が静かになる。これがラビス族の魅惑の瞳力なのだ。

「そこのお前は見たことがあるな。学生時代に私と競い合っていたと思ったのだが、暗殺者の真似事とは落ちたものだな」

「くそっ……、イジス・ガーティスめ……」

 ギリッと歯を食いしばりながら、イジスを睨み付けている。

「えいにゃ!」

「ぐわあっ!」

 イジスを睨み付ける男に対して、キャロが人差し指と中指を勢いよく突く。その衝撃波が男の目に当たって、男はその場でもだえ苦しんでいた。

 これだけ一方的にやられると、他の侵入者たちはごくりと息を飲んでいた。完全に相手に自分たちの命運を握られてしまっているからだ。

「お前らが誰の命で来たかは大体見当がついている。だが、お前たちの口からはっきり聞かせてもらうために、ちょっとばかりつらい目に遭ってもらうとするぞ」

「はっ、そんな脅しで俺たちが屈するとでも?」

 侵入者の一人が強がっている。

「モエ、厨房へ行ってくれ」

 イジスがぼそりとモエに告げると、その意図を察したモエがキャロと一緒にその場を離れていく。

 一体イジスはモエにどんな指示を出したのだろうか。

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