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故郷に向けて

 リーフが故郷へと旅立っていった


昨日、一緒に過ごした時に聞いた話では


森の中を移動するだけなので


町に行く時ほど心配しないで欲しいと言っていた


暗くなる前には到着するし、


問題が無ければ明日か、明後日には戻ってくるそうだ


僕達は旅の準備を簡単に済ませて


フローラに少しだけ野営のコツを教わった


「大事な事は、まだ進めると思っても早めに準備することだ

 暗くなったら薪を集める事もできないから」


「なるほどね。後は?」


「飲み水の確保とか色々あるけど

 今回はリーフの知っている道だからね

 あまり心配しなくても平気かな

 あ、それと暗くなったら動かないのも大事」


「…暗いとちょっと怖いの…」


「焚火をするし、

 私が傍を離れないから大丈夫だよ

 ドーラは主くんをお願いね」


「任せるのじゃ」


フローラは説明を終えるとパンを作り出した


見ていると少しだけいつもと違う作り方だ


そうして焼きあがったパンを触るといつもより硬かった


「失敗じゃ?最初からカチカチなのじゃ」


「これは日持ちするようにわざと硬くしたんだ

 運ぶときも潰れにくい」


「…食べてみてもよいじゃ?」


「いいけど、

 ただ、時間が経つともっと硬くなるから

 その時、驚かないようにね」


僕とグラもパンを貰った


そのパンには砕いた木の実が混ざっていて、


確かに硬いけど、噛めば噛むほど味がして美味しかった




 二日後、リーフが無事に帰って来た


三匹の大走鳥を連れてきたので


里長の許可は取れたみたいだ


「主さん、ただいまです!

 ちゃんと寂しかったですか?」


「あはは、寂しかったよ

 それで、里の皆はなんて?」


「概ね受け入れてくれそうです

 …まぁ、ちょっと怖いかもって声もありましたけど…」


「そっか。少しくらいは仕方ないのかな」


「でもでも!里長はぜひ来てほしいって!」


夕食を食べながら詳細を聞くと


滞在するなら空いてる家も貸してくれて


いつ来ても、いつまで居てもいいそうだ


「あんまり里の人は火を使いませんけど

 竈がある家を用意してくれるって言ってました」


「それは助かるのじゃ」


「でもお風呂は流石に無くって…」


「まぁ仕方ないじゃろうな…

 いつ出発じゃ?」


「皆さんが良ければ

 明日、もう行きませんか?」


「わかったのじゃ」


そうして明日、出発することになった


しばらくお風呂に入れないという事で


その日は皆がゆっくりお風呂に浸かった


大樹を離れるのは初めてだけど、


ドーラや皆と一緒だと思うと、そこに不安は感じなかった




 翌日、てっきり朝一番に行くのかと思ってたのに


朝食を食べた後、フローラがお茶まで淹れだした


「こんなにゆっくりしてていいの?」


「本来は一日で着くからね

 早く行っても野宿の時間が増えるだけだよ?」


「…でも、早く出発したいな」


「ハハッ、そういうところは子供のようだね

 このお茶を飲んで、食器を洗ったらね」


行くと決まったなら楽しみで仕方なく、


出発が待ち遠しい


ドーラも同じ思いなのか


ソワソワと落ち着かない様子で窓から大走鳥を見たり、


部屋の中をウロウロとしている


「そうだ、ドーラは主くんと一緒に

 ピーちゃんに乗ってね」


「主と一緒じゃ!

 わしがピーちゃんでよいのじゃ?

 ピーちゃんはリーフが乗るんじゃないのじゃ?」


「ピーちゃんならドーラに慣れてるからね

 他の子もベテランだから逃げないけど

 乗せるとなると慣らせないとだから」


「わかったのじゃ

 …ちょっと、ピーちゃんに挨拶してくるのじゃ」


「あ、僕も一緒に行く

 木の実も持っていこうよ」


沢山の木の実を持ち、二人で外に出た


ピーちゃんに木の実を食べさせると


他の二匹もゆっくりと近づいてきた


もしかしてと思い、ドーラがそっと木の実を差し出すと


二匹共、ドーラの手から直接木の実を食べてくれた


「大樹を離れる日が来るなんてね」


「そんな日が来るなんて思わなかったのじゃ

 でも…本当は、主と一緒ならば場所は何処でもよい」


「何処に行こうと、ずっと一緒だよ」


ドーラは僕を見て満足そうに笑う


ドーラが笑ってくれるなら、


何処に行っても大丈夫だとそう思える




 それから間もなく、リーフの故郷を目指して出発した


先頭を走るのはリーフとグラの二人で


続いて僕とドーラ、最後はフローラだ


木々の間を大走鳥に乗って走るのは難しい


時折、枝を避ける為に頭を低くする必要がある


知っている場所なら枝の場所がなんとなくわかるけど


初めても場所だと勝手が違う


なおかつ、リーフ達を見失わないように気を付けないといけない


「主、あそこは頭を下げるのじゃ」


「うん、わかった」


慣れてくるとドーラと一緒に掛け声をして


徐々に避けるのも楽しくなってきた


問題なく進み、途中で水分補給の為に休憩を挟む


「森の移動はどうです?

 今の速度で大丈夫そうですか?」


「全然大丈夫じゃ

 もっと早くても良いくらいじゃ」


「いえ、このままで行きましょう

 万が一迷子になると大変ですからね

 後、皆さんトイレは平気ですか?

 次は野営する場所まで止まらないつもりですけど、

 何かあれば大声で教えてくださいね」


皆の安全の為、リーフはずっと神経を尖らせているようだ


身体を伸ばした後、再び大走鳥に乗って


また、木々の間を走っていく


…。

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