意外な答え
少しだけ重たい空気が流れる中、
意外にも口を開いたのは土竜だった
「…きっと、大丈夫だと思うの…」
「そー…、ですかね?」
「…さ、最初は怖がられるかもだけど…
…少しすればきっとわかってくれるの…」
正直、魔女が渋っている最中に
土竜が賛同してくれると思わなかった
「そうか、グラがそう言うなら
一度行ってみるのも悪くないね」
「…いいんですか?」
「騒ぎになったら帰ってくればいいさ
そしたら、大樹で真似事でもやろうよ
まぁドーラ達が頷いたらだけどね」
「二人とも、ありがとうございます!」
可能性が出てきただけで嬉しい
後は龍人が帰ってきたら頼んでみるだけだ
暗くなる直前に龍人達が帰って来た
龍人は彼の腕に抱き着いて、
かなり機嫌が良さそうに見える
今がチャンスかもしれない
「ねぇドーラさん
ちょっと相談があるんですけど…」
「ん?そういえば、昨日もそんな事を…
なんじゃ?」
「私の故郷に皆で行きません?」
「…なんじゃって?」
最初は首を捻っていた龍人も
結婚式の説明をすると興味を示した
それを皮切りに、
既に魔女と土竜も乗り気だと説明する
「ん~…
森から出ないんじゃろ?」
「此処の森と繋がってるからそれは大丈夫です!」
「ならまぁ、行ってもいいのじゃ」
「本当ですか!?
主さんもいいですよね!」
「…僕は、行かない方がいいと思う」
「…えっ…」
彼が拒むとは思ってなかった
龍人がすんなりと承諾して浮かれてたのに
急に頭が真っ白になってしまった
言葉がでない私に代わり
龍人が理由を聞いてくれた
「主は何が嫌なのじゃ?
結婚式、したくないじゃ?
わしは主と結婚式がしてみたいのじゃ」
「ううん、結婚式は素敵だと思うし、
皆と出来たらなって思ったよ」
「なら、なんでじゃ?」
「ドーラはいいの?
もし森人の皆が怖がったら、悲しくならない?」
彼が拒んだ理由は龍人の為を考えた結果だった
私が拒まれたわけじゃない
それだけ分かれば十分冷静になれた
「そこは私達でも意見が割れたんですよね…
だから、その辺を踏まえて
ドーラさんが少しでも嫌なら、やめようって」
「知ってしまったからにはしてみたいのじゃ
主、よいじゃろ?
わしなら何を言われても平気なのじゃ」
「…でも…」
「主さん、お願いします
故郷に行って、私が皆を説得してきます
無理そうなら、すぐ、諦めますから…だから…」
「…わかった、二人を信じるよ」
彼はまだ心配している様子だったけど
最後はそう言ってくれたので一安心だ
それから夕食を取り、
これからの段取りを話し合った
いきなり龍人を連れて行くわけにはいかず、
私が先行し、まずは里長に相談することになった
許可が取れたら大走鳥を二匹借りて、
皆で乗って移動すればいい
「私だけなら一日で着く距離なので
そんなに身構えなくて平気ですよ」
「リーフが確認に行っている間に
何か準備が必要じゃ?」
「特別なものはいりません
着替えと、数日分の食べ物があれば大丈夫です」
「そんなものでよいのじゃ?
用意しておくのじゃ」
故郷に辿り着ければ物資は現地調達できるし
私の実家もあるからなんとでもなる
残りの心配は
皆が長時間の移動に耐えられるかだった
魔女と相談した結果、
途中で野営をし、二日掛けて移動することに決めた
「…急げば一日で着きますけど、
やっぱり、二日掛けた方がいいですよね?」
「その方が安心だろうね
急ぎ過ぎてはぐれても困るし」
「確かにそれが一番怖いですね…
皆さん、はぐれたらその場を動かないでくださいね
…因みに野営の経験は?」
魔女も龍人も野営の経験はあった
彼は丘と湖で眠った程度しかなくて、
土竜は私達が見つけた時が初めてだった
「…あれも野営に入るの…?」
「微妙ですけど、あれも一応…?
でも見つけるのが遅かったら多分死んでましたよ?」
「…私、野宿できるかな…」
「私達が一緒だから大丈夫ですよ!
でも念の為に主さんとグラさんは
一人にならないように心掛けてくださいね」
これで大雑把な予定は決まった
細かい所は里長の返事次第で変わっていくから
今考えても仕方がない
後はいつ出発するかだけ
その気になれは明日の朝一でもいい
が、その前に解決してないことがある
「主さん、私、拒否されて傷つきました」
「ほんと?ごめんリーフ、
どうしたら許してくれる?」
「ドーラさんみたいな恰好で一緒に寝て、
明日も一日出掛けてくれたら許します!」
「…それだけでいいの?
ドーラ、いいかな?」
「ん~…、わしは主に心配して貰ったし…
気分が良いからよいのじゃ」
久しぶりにベッドで主導権を握れそうだ
明日も一日付き合ってもらい、
英気を養ってから故郷に帰れば
何もかも上手くいくような気がしてきた
…。




