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これからの毎日

 いつもと同じように目が覚めた


皆を起こさない様に


魔女さんと一緒に階段を降りて、


顔を洗って、歯を磨いて、


それから少しだけ掃除をした


あまりに普段と変わらないから


もしかして昨日の出来事が


本当に夢だったんじゃないかって不安になった


「ボーっとしているようだけど

 もしかして悩み事かな?」


「…魔女さん…

 …昨日の事、夢じゃないよね…?」


「え?ハハッ、面白い事を言うね

 ちゃんと主くんとキスしてたよ」


「…あぅ…」


夢じゃなくてよかった


確かに唇に触れると


まだ主さんの感触を思い出せた


それが耳まで熱くなるくらい恥ずかしかったの




 落ち着く前に足音が聞こえだした


まだ主さんと顔を合わせる勇気がでなくて、


慌てて、魔女さんの背中に隠れたの


「おはようじゃ

 …グラはそれで隠れてるつもりじゃ?」


「まだ照れてるんだよ

 そっとしといてあげて」


「ダメじゃ

 ほれグラ、ちょっとこっちにくるのじゃ」


ドーラさんは私を引っ張って


主さんの前に連れて行った


そして、そこで見せつけるように


目の前でキスをした


「照れてると損じゃぞ?」


「…う、うん…」


「それと、グラも一日に一回なら

 主とキスしてよいのじゃ」


「…一日、一回…してもいいの…?」


「そうじゃ

 …まぁ、リーフも魔女も守ってないんじゃけど…」


そんなドーラさんの説明に


リーフさんは目を背けて


魔女さんは苦笑いをしていたの




 改めてドーラさんとリーフさんに


昨日、背中を押してもらったお礼を伝えた


「…主さんに気持ちを伝えられたのは…

 …二人のおかげなの…

 …ほんとに、ありがとうなの…」


「諦めてしまいそうでヒヤヒヤしたのじゃ」


「頑張ってよかったですね!」


「…うん…よかったの…

 …でも、でもね…」


でも、まだ実感が沸かない


主さんの最後の一人になれたみたいだけど


本当に私でいいのかって、疑ってしまう




 それを相談すると


初めて、ドーラさんに怒られた


「主は嘘をつかないのじゃ」


「…ごめんなさい…」


「…まぁ急な話じゃったからなぁ…

 じゃが、グラが決めた事でもあるのじゃ」


主さんが魔女さんと会話しているのを


確認したドーラさんは、


私の両肩を掴んで、


真っ直ぐに見つめてきた


「よいか?

 グラにも協力して欲しいのじゃ

 主を幸せにしたいのじゃ」


「…協力…?」


「…もし、もしその覚悟がないんじゃったら

 今すぐ、自ら身を引いて欲しいのじゃ」


肩を掴む手に力がこもった


痛みはないけど、


本気で言ってるってわかった


「…私も頑張るの…

 …私に出来る事なら何でもして…

 …少しでも、幸せにしてあげたいの…」


「…よし、頼んだのじゃ!」


笑顔になったドーラさんは


最後に私の背中を叩いて気合を入れてくれた


それは少しだけ痛かったけど


なんだかとっても嬉しかったの




 食事中、今日は掃除と洗濯をするって聞いた


二階から布団も持ち出して、全部綺麗にするって


だから時間が掛かるって言ってた


それを知ってるはずなのに、


主さんが私を誘ってきた


「グラ、一緒に湖に出掛けてくれる?」


「…え、えっと…皆で…?」


「ううん、二人で」


二人という言葉にドキッとした


でも、掃除もあるし困ってたら


魔女さんが行ってきなさいって言ったの


「魔女もああ言ってるから大丈夫じゃ

 …でも嫌なら、わしが行ってあげてもよいのじゃ」


「…い、嫌じゃないの…!

 …主さんと一緒に、お出かけするの…」


「…仕方ないのじゃ…

 …まぁ、一日だけ主を貸してあげるのじゃ」


ただし、暗くなる前に必ず帰って来いって


それだけは念を押されたの




 手を振る皆にお辞儀をして扉を閉める


外には私と主さんしか居なくて、


気持ちを伝えてから、初めて二人きりになった


「ほら、手を繋ごうよ」


「…う、うん…」


日差しの中で見る主さんの手は綺麗で、


傷だらけの私の手とは正反対だ


触れていいのか躊躇してると


皆みたいに、指を絡めるように握ってくれた


「グラの手は大きくて温かいね」


「…ありがと、なの…」


お礼を伝えるだけで限界だった


ほんとは主さんの手も温かいって


そう言いたかったけど、


これ以上喋ったら多分、


泣くのを我慢できなくなるから


必死に必死に、口を閉じていたの


…。

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