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モグラと過ごした夜

 布団が小さいなら仕方ない


今日はオスと二人で寝るつもりだったが


モグラが困ってたし、


話も途中だったからちょうどいい


「たまにはグラと一緒に寝るのじゃ」


「いいんですか?

 主さんと二人じゃなくて…」


「ん~、よく考えたら

 明日の明るいうちの方がよいのじゃ」


話も決まったし、


すぐにモグラの手を引いて寝室に向かった


モグラは暗い寝室に戸惑っていたが


オスが声を掛けると


ゆっくり足を踏み入れてくれた




 話もしたいし、温もりも感じたいから


オスには背中側から抱き着いてもらって


モグラと向かい合った


「こうしてると本当にグラは大きいのじゃ」


「…ごめんなさいなの…」


「責めてるわけじゃないのじゃ

 確かに狭いが、居心地は良いのじゃ」


モグラは来たばかりの頃、ガリガリに痩せてたが


沢山食べさせたおかげで


少し肉付きが良くなってきた


こうして触れてると何処も柔らかくて


オスもこういう身体が好きなのかな?と


少々妬ましくなりそうだったが、


後ろで尻尾に夢中になってるからすぐに落ち着けた




 尻尾でオスをからかいつつ、


再びモグラとの話に夢中になっていく


オスにも当時の感想や


何を考えていたかも聞けて、予想外の収穫もあった


「僕は最初からドーラの傍に居たいなって

 思ってたよ」


「そうなのじゃ?

 早く言って欲しかったのじゃ」


「あはは、一緒に居たかったけど

 それ以上に迷惑になるのが嫌だったんだ」


「あんなに悩んで損したのじゃ」


それから話は続いたが


やはりオスは早々に眠ってしまった


少し話し足りないがここまでにしよう


「…主が寝てしまったのじゃ

 わしらもそろそろ眠るのじゃ」


「…今日はありがとうなの…

 …誘って貰えて、嬉しかったの…」


「普段ならリーフが譲らないと思うから

 一緒に眠れてよかったのじゃ」


こうして話し相手が変わるのも面白い


行商と寝ると隙を見てはオスに甘えるし、


自分より口が上手いから大変なのだが、


モグラは大人しくて気が楽だった




 翌朝、先に起きたオスとモグラの


小さな話声で目が覚めた


「…皆にね、恩返ししたいけど…

 …何もできないから悩んでるの…」


「色々手伝ってくれてるから十分だよ」


「…でも…昨日主さんが言ってた…

 …此処に、いつまで居れるかなって…

 …私もずっとね…不安なの…」


モグラも昔のオスと同じ悩みを抱えている


別にいつまで居てくれても構わないが


拠り所がないと不安なんだろう




 オスに助け舟を出すこともできた


でも、一人でなんて答えるか興味が沸いた


「グラの気持ちはよくわかる

 僕も帰る場所がわからなくて不安だった」


「…うん…」


「でもすぐに悩みが変わったんだ

 ドーラと一緒に居たい、嫌われたくないって

 グラは違う?」


「…そうなの…

 …皆に、嫌われたくないの…」


「なら、きっと大丈夫

 僕達は皆グラが好きだよ」


「…。」


モグラは好きという言葉に困っているようだ


思ってもみない事を言われたので


受け入れがたいのかもしれない


「好きじゃなければ

 ドーラが一緒に寝ようなんて誘わないよ」


「その通りじゃ」


「あれ?おはようドーラ

 いつから起きてたの?」


自分が起きたとわかった途端、


待ってましたと言わんばかりに


尻尾をすぐに触ってくる


「尻尾、そんなに好きじゃ?」


「好き、ずっと触ってたい」


「前は寝てる時も触られたのじゃ」


「あはは、あれから我慢してるよ」


行商が居ないから止められる事もなく、


久しぶりにゆっくりとベッドでじゃれ合った




 濃厚なキスを交わして満足した後、


ふと我に返り、モグラも居た事を思い出して


オスと一緒に謝った


「グラが居るって忘れてたのじゃ」


「…う、ううん…気にしなくていいの…」


「リーフが邪魔しないから

 ついつい甘えてしまったのじゃ」


「…私も邪魔してない…?」


「してなかったじゃろ?

 リーフよりグラの方が良いのじゃ

 また今度一緒に寝るのじゃ」


「…いいの…?

 …よろしくなの…」


その後、魔女が起こしに来るまで


モグラと話しつつ、オスに甘える事が出来た




 魔女の散歩に行商が付いていったので


代わりにモグラが食事の準備を手伝ってくれた


「それじゃグラには芋の皮を…

 …グラ?顔が赤いんじゃけど大丈夫じゃ?」


「…だって…あんなに近くで二人して…」


あの程度のじゃれ合いで照れているようだ


たった一夜を過ごしただけだが、


モグラの事をよく知れた気がする


それに気が弱いからどうかなと思ったけど


意外とオスと気が合うかもしれない


…。

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