残された二人
魔女さん達を見送った後、
ドーラさんは皆が消えた方をじっと見つめてた
しばらくすると大きくため息を吐いたから、
私のせいかもしれないから、謝ったの
「…私と二人きりでごめんなさい…」
「グラと二人なのが嫌な訳じゃないのじゃ
…主が居ない事だけが嫌なのじゃ…」
「…元気出して欲しいの…
…主さんとどうやって出会ったか…
…よければ、教えて欲しいの…」
「主との出会いじゃ?
…そうじゃなぁ、それは長くなるからお茶を淹れて…
グラ、まずは一緒にお茶を淹れるのじゃ」
「…や、やった事ないけど頑張るの…」
「葉を選んでお湯を注ぐだけじゃから簡単じゃ」
主さんの事を聞いたら少しだけ元気になってくれた
ドーラさんと一緒に大樹に入り、
まずは初めてのお茶に挑戦することになった
私が主さんについて知ってる事は
魔女さんの子供で
ドーラさんが一番好きな事だけど、
でも、他の二人とも恋人みたいだった
よく考えれば不思議な関係だけど、
皆幸せそうだから気にならなかった
「わしがどれだけ主を好きかは前に話したじゃろ?」
「…うん…
…主さんがドーラさんを一番好きなのも…」
「そうなのじゃ
ちゃんと覚えててえらいのじゃ」
そこから時間を掛けて
出会ってから仲良くなって、
リーフさんと友達になったところまで聞いた
元気づけるのが目的だったのに
こうして聞いていると物語みたいで、
いつの間にか話に夢中になっていたの
でも、魔女さんが現れるまで
ずっと不安で、よく眠れなかったらしい
その頃、主さんについて何もわかってなくて、
自分は恐れられているから、
いつ逃げられてもおかしくないし、
帰る場所を思い出すかもしれないって
好きな人が居なくなる恐怖に、毎日耐えていたって
そう言ったの
「まぁ、リーフが居てくれるようになって
少しは気持ちに余裕が…
…どうしてグラが泣くのじゃ?」
「…だ、だって…
…辛かったんだろうなって…」
ほんの少しだけ気持ちがわかった
私もいつか、皆から嫌われるかもと
そんな不安を抱いているから
ドーラさんの辛さが、少しだけ理解できた
話の途中なのに泣いてしまった
でもドーラさんは怒るどころか
優しく頭を撫でてくれた
それに今は幸せだから
泣かなくて平気だよって、そう言ってくれたの
「グラは優しい奴じゃ」
「…そんな事ないの…
…でもね、そんなに主さんが好きなら、どうして…」
どうしてあの二人とも仲いいのか
それを聞こうと思ったけど、
関係ない私が聞いていいのか躊躇った
「どうして、リーフ達にも許しているかじゃ?」
「…い、言わなくていいの…
…つい、思った事が口に出ちゃったの…」
「…リーフは半ば仕方ないのじゃ…
なぜこうなったかと言うとじゃな?」
そこでドーラさんは溜まっていた不満を
吐き出すように、一気に色々話してくれた
その中で人間さんが滅んだ理由と、
主さんが皆とキスをする理由を知れたの
主さんの姿が変わらない様に
その為に皆とキスをする必要があって、
後一人必要だって、ドーラさんが言ったの
「…主さん…いつ変わっちゃうの…?」
「安心するのじゃ
魔女が時間には余裕はあるって言ってたのじゃ」
「…そ、そうなんだ…
…。
…あの…あのね…」
「…あっ!
主が帰って来たのじゃ!」
窓から皆が帰ってくるのが見えたのか、
ドーラさんは飛び出して行った
私は今、自分が何を言おうとしたのか気付いて、
すごく恥ずかしくなったの
帰って来た魔女さん達は機嫌が良くて、
沢山褒めてもらえたの
「グラが話をいっぱい聞いてくれたから
一日があっという間だったのじゃ」
「それはよかった
ありがとうグラ、また頼むよ」
皆にお礼を言われると嬉しくて
役に立てたんだと思って安心できた
でも、ドーラさんが言ってた事が
ずっと心の端っこに引っかかってる感じがする
もう少し詳しく話を聞きたいけど、
ドーラさんは主さんに夢中だったから諦めたの
今日はドーラさん達を二人にする為に
リーフさんも一緒に一階で寝る予定だった
ただ、いざ寝ようとした時に
私が大きいせいで
一組の布団だとちょっと厳しそうだったの
「私とグラだけで精一杯だね」
「魔女さんも二番目に大きいですもんね
…私、森で寝てきましょうか?」
「いや、それなら私が行くよ」
そんな相談をしてたから
私、布団がなくても平気なのって
そう言おう思ったの
でも、言うより早く
ドーラさんが私の手を掴んで
一緒に眠ろうって誘ってくれたの
…。




