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監視と尾行

 魔女にベッドを貸した夜


驚いた事に同じ食事を欲しがった


今まで、同席はしていたけど


水と、何もしてない木の実を


数個食べるだけだった


「ああ、久しぶりに美味しいよ

 腕を上げたね」


「そうじゃ?

 魔女にそう言ってもらえると嬉しいのじゃ」


どうやら味覚も治ったようだ


美味しそうに食べる姿を見るのは


素直に嬉しかった




 ただ、気になる事がある


さっき起こしに行った時


オスと抱き合って眠っていた


これについて問い詰めたかったのだが


一応、体調が悪いと言っていたから


一日だけ様子を見てあげようと、


そう、森人と話し合って決めていた


「そうそう、主くん

 さっきは一緒に眠ってくれてありがとう」


「…!」


此方から話題を振らずとも、魔女自ら口にした


森人を見れば


あっちも食事をする手を止めて


聞き耳を立てている


「フローラも眠れた?」


「君のおかげでね

 …今思えば、眠くても寝れないのは辛かったし、

 ずっと続けば倒れていたかもしれない…

 …本当に助かったよ、ありがとう」


「役に立てたなら嬉しいな」


「君は早々に眠ってしまったけど…

 主くんの呼吸を真似てるうちに眠れたんだ」


会話を聞いていると


なんだか想像していた感じとだいぶ違う


魔女がオスをたぶらかし、


ベッドに誘ったのかと思っていた


首を傾げながら森人を見ると


小さくコクコクと頷いて


冷静に食事を再開している


どうやら勘違いだったようだ




 オスがトイレに席を立った


その時を待っていたのか、


魔女に相談を持ち掛けられた


魔女は皆が寝静まった後、


外で森を散策しているが


眠れるようになったらしく、


大樹で寝てもよいか、というものだった


「それに ベッドじゃなくて

 この広間の隅っこでいい」


「いいに決まってるじゃろ?

 後、ベッドは一個余ってるから

 使ってよいのじゃ」


「余ってる?

 だってドーラは主くんと寝てて…」


「私もご一緒させてもらってます!」


「おや、リーフはお風呂もベッドも

 なかなか積極的だね」


「頑張ってます!

 …一緒に寝ても何もしてくれないんですけど…」


「そうなんじゃ!

 …主にはその…

 …そういう事は、教えてないのじゃ?」


「まだだね

 なんなら、私の身体で教えとこうか?」


「ダメじゃ!」

「ダメです!」


「ハハッ、冗談だよ」


まったく冗談に聞こえない


戻ってきたオスと魔女が話してる隙に


森人が小声で


さっきのは本気でしたよ、と言ってきた


大樹で眠るのを許可した事を


さっそく後悔しそうだった




 しばらく魔女を警戒していた


寝室で眠るようになっても


特に変わった様子はないし


仕方なくオスとキスを許しているが


魔女は日に一度を守り、


森人と違いおかわりを要求してこなかった


やはり、森人の方を警戒すべきだ


そう思っていたある日


「僕達、木の実を集めに行くけど…」


「いってらっしゃい主くん」


「…また一緒に来ないの?」


「私は私でやる事があるんだ」


最近の魔女は一人を好んだ


森人のように攻められても堪らないが


魔女のように誘いを断り、


オスに寂しそうな顔をさせるのは


もっと嫌だった




 夜、オスが寝静まった頃合いで


森人にそのことを相談した


すると、オスと魔女を二人で出掛けさせて


様子を見ようと提案してきた


「…何か間違いが起きたらどうするのじゃ…?

 …この前じゃって、身体で教えるって…」


「…こっそり後をつけましょう…

 …流石に二人にするのは怖いですからね…」


なるほど、それなら安心だ


魔女にご執心なのは引っかかるけど、


それでオスが元気になってくれるなら嬉しい




 いつも食事をしながら


今日の予定を考える事が多かった


でも、昨日森人と話した通り


オスと魔女を出掛けさせなければいけない


「…あ~、えっとじゃな~…

 …魔女、主と二人で出掛けてほしいのじゃ」


「おや、どういう風の吹き回しだ?

 ドーラの方からそんなことを言い出すなんて」


「…リーフに色々相談があるのじゃ

 …嫌なら、別によいんじゃけど…」


全員の視線が魔女に集まった


魔女が頷くと嬉しそうにオスが笑う


その姿を見ると少しだけ胸が痛むが


これも、オスの為だ




 食事が終わり、


魔女がなぜか浴室に着替えに行った


それからしばらく経ち


二人は揃って玄関に並んだ


「それじゃ、行ってくるよ」


「変な事しちゃダメじゃからな」


「お前達を差し置いてしないよ」


出掛ける準備をした魔女は


普段より綺麗な感じがしたし、


普段よりいい匂いがした


何をしたのか気になるが


とりあえず、後回しだ


二人を窓から観察し、


見えなくなったのを確認してから


音を立てずに追いかける




 森人が先導し、二人の後をつけた


気付かれないぎりぎりの距離を


森人が慎重に見極め、


手振り身振りで指示をくれる


そうして無事見つかることなく


丘まで付いて行く事が出来た


「…丘だと隠れる場所がないので近寄れないですね」


「…何話してるかわからないじゃ?」


「…うーん、流石にこの距離では…」


森人の長い耳を持ってしても聞こえないようだ


結局、遠巻きに二人を見ることしか出来ない


まぁとにかく


魔女が変な事をしないように観察を続けよう


…。

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