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助けを求める声

 僕を見ているというよりは


睨んでいる、と言った方が正しいようだ


急に声を掛けたから怒ったのかもしれない


もしそうだとしたら


僕の鱗だという事を伝えてすぐ立ち去ろう


そんな風に考えていると


向こうから話しかけてきた


「…貴方は、こんなところで何してるんですか?」


「僕は、えっと…」


「ここは龍人様の住処なんですよ?」


「龍人様?」


「いつから此処にいるんですか?」

 

「ま、待って待って…」


説明しようにも隙が無い


矢継ぎ早に次々に質問が飛んでくるので


僕はたじたじになり、上手く受け答えができない


そんな僕を怪しんだのか


すごい剣幕で詰め寄ってきた




 行商人は小柄な女の子だった


金髪で緑の服を着ていて


僕やドーラより耳が尖っているのが印象的だ


そんな彼女は言葉に詰まる僕に対して


臨戦態勢をとっていた


「何処から来たんですか?お名前は?」


「えっと…」


「どうしてここに?目的は?」


「…目的…?…なんて言えばいいか…」


「はぁー…

 …とにかく、来てください」


自分の事はほとんどわからない


だから説明できず、言葉を濁してしまった


結局、それで更に警戒されてしまったようだ


彼女は呆れた顔でため息を吐くと


強引に僕の手を握った


そしてそのまま、玄関に向かって歩き出す




 外に連れ出そうとしているのがわかった


でも、約束したから外に出るわけにはいかない


踏ん張って抵抗を見せると彼女は再び僕を睨む


「もう…何してるんです?

 龍人様の怒りを買ったらどうするんですか?

 とにかく、言い訳は外で聞きますから…」


「…僕は外に行けない…」


「変な事言っても誤魔化されませんよ

 ほら、こっちにきてください」


彼女は力を込めて僕を引っ張った


本気を出されると僕より力が強いらしく


抵抗空しく身体が引きずられた




  それでもなんとかしなければと


壁に捕まって最後の抵抗を試みた


「往生際が悪いですよ!」


「ごめん!最初から話すから外には…」


「もう遅いです…!」


彼女が両手で僕を腕を掴んで引っ張る


壁から指が離れ始め、抵抗も時間の問題だ


なら諦めて外に出てから説明し、


なるべく早く中に戻ろうと決めた時


彼女は小さな悲鳴を上げて僕の腕を離した




 彼女の様子がおかしい


顔面蒼白で上を確認した後、再び僕の腕を掴んだ


先ほどと雰囲気が全然違う


「…逃げますよ、早く!」


「急にどうしたの?」


「いいから!」


そう叫んだのと同時だ


二階から凄まじい咆哮が聞こえ、


彼女は腰を抜かしたのか


耳を塞いでその場に座り込んでしまった




 階段を駆け足で下るような音がした


そしてすぐに四つ足で移動するドーラが現れる


その目は普段の優しいものではなく


獲物を狙うように鋭くて、鈍い光を放っていた


「…あっ…あのっ…」


彼女が口を開いた瞬間に


ドーラは此方に向かって突進してきた




 そこからの出来事は一瞬に思えた


突進してくるドーラは僕を見ていない


多分、座り込んでいる彼女を目指している


あの勢いだ


数秒後には飛び掛かるのが僕にもわかった


その時、確かにはっきりと


彼女の助けを求める声が聞こえてきた


…。

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