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追放された悪役令嬢(♂)に転生した俺、チートを隠して辺境でスローライフするつもりが世界最適解になっていた件  作者: 南蛇井


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第96話:商品第一号

ラザールは机の上に置かれた魔道具を見つめていた。


手のひらほどの小さな装置。


金属の筒に、簡単な魔法陣。


見た目は、拍子抜けするほど地味だった。


「……これが?」


秘書が小声で聞く。


「はい」


ラザールは頷く。


「浄水魔導具です」


秘書は首を傾げる。


「ただの水の浄化ですよね?」


レオンが横で言う。


「ただのじゃない」


秘書


「え?」


レオンは淡々と説明する。


「魔力消費少ない」


「誰でも使える」


「壊れない」


ラザールが補足する。


「そして」


装置を持ち上げる。


「安い」


秘書は理解できていない顔だった。


ラザールは椅子から立ち上がる。


窓の外を見る。


井戸。


村人たち。


水を汲んでいる。


「世の中の井戸水は」


ラザールは静かに言う。


「全部きれいだと思いますか?」


秘書


「……いえ」


「地方は汚れていることも」


ラザールは頷く。


「そうです」


「水で病気になる人間は多い」


装置を机に置く。


「だが」


軽く叩く。


カン、と音がした。


「これがあれば」


「水は安全になる」


秘書の目が少し開く。


「……あ」


ラザールは続ける。


「しかも」


「魔力が少しでも使えれば」


「誰でも使える」


「修理もほぼ不要」


レオンが言う。


「壊れない」


秘書


「……」


ラザールは言った。


「わかりますか」


秘書


「はい」


ゆっくり。


「革命ですね」


ラザールは笑う。


「その通り」


普通の魔道具は


・高い

・壊れる

・貴族専用


しかしこれは違う。


「農民でも買える」


「村でも使える」


「街でも売れる」


ラザールは静かに言った。


「つまり」


机の上の魔導具を見る。


「世界中に売れる」


レオンはパンを食べていた。


「へえ」


ラザールは振り返る。


「レオン殿」


レオン


「何」


「これ」


魔導具を持ち上げる。


「どれくらい作れます?」


レオンは少し考えた。


「村の工房なら」


「一日二十くらい」


秘書が驚く。


「そんなに!?」


レオン


「簡単だから」


ラザールは静かに笑う。


「素晴らしい」


秘書


「でも会長」


「これ安いんですよね?」


ラザールは頷く。


「はい」


秘書


「儲かりますか?」


ラザールは言った。


「大量に売れば」


間。


「とんでもなく儲かる」


秘書の背筋が震えた。


ラザールは窓の外を見た。


辺境の村。


小さな工房。


だが――


彼の目には違うものが見えていた。


王都。


大陸。


世界。


ラザールは呟いた。


「商品第一号」


浄水魔導具。


安い。

簡単。

壊れない。


それは――


世界を変える小さな革命だった。


そしてレオンは言う。


「次は」


ラザール


「はい?」


レオン


「畑のやつ作る」


ラザールは目を細めた。


「……畑?」


レオンは答える。


「収穫増えるやつ」


ラザールは思った。


(これは)


静かに笑う。


(世界どころじゃない)


(文明が変わる)


辺境の小さな村で。


次の革命が


もう始まっていた。

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