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追放された悪役令嬢(♂)に転生した俺、チートを隠して辺境でスローライフするつもりが世界最適解になっていた件  作者: 南蛇井


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第68話:それでも日常

 朝は、

 何事もなかったかのように来た。


 レオンは、

 自分で起きる。


 誰にも呼ばれず、

 誰にも急かされず。


 昨日見たもの――

 UIの微かな警告は、

 意識しなければ思い出せないほど

 静かに、

 記憶の底に沈んでいた。


(……まあ、いいか)


 そう思える自分に、

 少しだけ驚く。


 以前なら、

 些細な違和感でも

 一日中引きずっていた。


 対策を考え、

 最悪を想定し、

 勝手に疲弊していた。


 だが今は違う。


 外に出る。


 空気は冷たく、

 土の匂いがする。


 畑では、

 リィナが既に動いていた。


 目が合うと、

 小さく会釈する。


 それだけ。


 命令も、

 確認も、

 評価もない。


 セラは川辺で、

 剣を洗っている。


 振るうためではなく、

 錆を落とすために。


 剣士としては、

 間違っているのかもしれない。


 だが、

 それを咎める者はいない。


 エルナは、

 木箱の上で帳面を広げていた。


 顔は真剣だが、

 眉間に力は入っていない。


 必要なことだけを書き、

 余計な管理はしない。


 それが、

 この村のやり方になっていた。


 レオンは、

 薪を割る。


 単調な作業。

 頭を空っぽにするには、

 ちょうどいい。


 UIを、

 あえて見ない。


 意識を向けなければ、

 存在しないのと同じだ。


 数値も、

 補正も、

 警告も。


 ――今は、

 関係ない。


 昼。


 簡単な食事。


 味は、

 昨日と大差ない。


 だが、

 不満は出ない。


 誰も「もっと良くしろ」と言わない。


 午後。


 畑の端を少し広げる。


 成果は、

 すぐには出ない。


 それでも、

 手を止めない。


 「将来のため」でも、

 「期待に応えるため」でもない。


 ただ、

 今日やりたいからやる。


 夕方。


 空が赤く染まる。


 昨日と同じ色。

 同じ静けさ。


 違和感は、

 完全には消えない。


 世界が、

 こちらを見ている気配も、

 ゼロではない。


 それでも。


(今は今だ)


 レオンは、

 そう決める。


 明日の問題は、

 明日の自分が考える。


 世界の都合は、

 世界に任せる。


 今ここで、

 自分が生きているという事実を、

 優先する。


 夜。


 灯りを落とし、

 横になる。


 心拍は安定している。


 眠れる。


 それだけで、

 十分だ。


 警告は、

 確かにあった。


 だが――

 今日という一日は、

 壊れなかった。


 レオンは、

 目を閉じる。


 それでも日常は続く。


 静かに、

 確かに。


 今は、

 それでいい。

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