第104話:竜族の試験
グレイウッドの外れ。
森の中。
レオンはしゃがみ込んでいた。
手には工具。
目の前には壊れた魔導具。
「……」
ネジを外す。
中を見る。
「詰まりか」
軽く叩く。
カチッ。
魔力が流れる。
装置が動き出した。
「よし」
それだけだった。
その時。
森の奥から声がした。
「……お前が」
レオンは振り向く。
そこにいたのは――
一人の青年。
黒い髪。
金色の目。
整った顔立ち。
だが普通の人間ではない。
背中から小さな翼が伸びていた。
そして。
空気が重い。
レオンは言う。
「誰」
青年は少し笑った。
「竜族だ」
レオン
「へえ」
興味なさそうだった。
青年は肩をすくめる。
「反応薄いな」
レオン
「そう?」
青年は一歩前に出る。
「俺は様子を見に来た」
レオン
「何の」
青年は答える。
「お前」
沈黙。
風が吹く。
青年は腕を組んだ。
「最近、変な噂が多い」
・人間の街が急成長
・魔族と共存
・獣人も住んでいる
「全部お前が原因らしい」
レオン
「そうか」
青年は笑う。
「だから」
拳を軽く握る。
「試す」
レオン
「何を」
青年の瞳が光る。
「お前」
次の瞬間。
空気が裂けた。
竜族の速度。
人間では反応できない速さ。
拳がレオンへ向かう。
だが。
レオンは動かなかった。
ただ。
手に持っていた魔導具を少し傾ける。
カチッ。
魔法陣が光った。
地面が光る。
次の瞬間。
ドンッ!!
青年の体が地面に叩きつけられた。
土煙。
静寂。
数秒後。
青年が顔を上げる。
「……は?」
体が動かない。
重い。
地面が重力魔法陣になっていた。
しかも。
異常な強度。
レオンは言う。
「危ない」
青年
「……」
レオンは続ける。
「踏むな」
足元を見る。
青年が踏んだ場所には、小さな札が刺さっていた。
試作:超重力固定陣
青年は呟いた。
「……」
レオンは魔法陣を止める。
重さが消える。
青年は起き上がる。
服は泥だらけ。
数秒沈黙。
そして。
青年は空を見上げた。
「……」
深く息を吐く。
そして言った。
「やばい」
レオン
「何が」
青年は笑った。
「本当に」
頭を掻く。
「やばいやつだ」
レオンは首を傾げた。
「そう?」
青年は真顔で言う。
「うん」
間違いなく。
竜族の感覚が告げていた。
この人間は――
普通じゃない。




