35話 『二割の意味』
河川敷から石段を上がると、町の音が戻ってきた。
荷車の軋み。物売りの声。どこかを駆けていく子供の足音。地下の静けさに慣れた耳には、その全部が一度に押し寄せてくる。
昼の光の下では、俺はただの黒髪の若い男だ。肩に古びた鞄をひとつ提げただけの、どこにでもいる青年。すれ違う誰も、二度は振り返らない。仮面をつけていた時とは、何もかもが逆だった。
川沿いを少し行くと、見慣れた建物の正面へ出る。
王立アウレリア歌劇場。
大扉は開け放たれ、職人が忙しなく出入りしていた。正面には足場が組まれ、荷車から石材や木材が下ろされていく。剥がれた装飾を検分する者、据えたばかりの看板を見上げる者。表向きには、長く眠っていた旧都の歌劇場が、ようやく再建に動き出した――そう見えるはずだ。
地下で進むものと、表で進むもの。同じ建物が、二つの顔で動いている。
俺は足を緩めず、その前を通り過ぎた。黒仮面なら、この場ではただの異物だろう。だが今の俺は、何者でもない通行人にすぎない。自分の持ち物を、他人の顔のまま、外から眺めて通る。
歌劇場を背に、商業区の方へ足を向けた。
買うべきものがある。そして――ひとつ、見ておきたい相手がいた。
商業区を奥へ進むほど、通りの色が変わっていった。
安い食料を並べた露店が減り、代わりに石造りの商館が増える。布地を扱う店の軒先には染めの良い反物が吊られ、金物屋の棚には農具よりも飾り金具や燭台の方が目立った。通りを歩く人間の靴も、外套の布も、さっきまでの区画とは質が違う。
貴族街へ続く大通りの手前。
商業地区でありながら、半分ほど貴族街に食い込んだような一画だ。金を持つ者が不便なく買い物をし、金を持たない者が足を踏み入れにくい場所。
その中でも、ひときわ目立つ商館があった。
カーライル商会本店。
立派な石造りの三階建てで、正面には磨かれた扉と大きな硝子窓が並んでいる。入口の上には、絡み合う蔓と硬貨を模した商会章。古い格式を持つ店というより、近年の勢いをそのまま石と金具に変えたような建物だった。
正面には、身なりのいい客が出入りしている。
貴族本人ではない。だが、貴族家の使いか、それに近い立場の者だろう。仕立ての良い上着、磨かれた靴、家紋入りの小さな留め具。富裕商人らしい男もいる。店先で待つ従者、荷を受け取る小間使い、帳面を抱えた番頭風の男。
貧しそうな者は、ほとんど見えない。
裏手へ目をやると、荷車の出入りも途切れていなかった。人足が木箱を運び、帳付け役がそれを一つずつ確認している。荷の流れは整っている。人の配置も無駄が少ない。少なくとも、表から見える範囲では、かなりよく回っている商会だった。
それが、余計に目につく。
ここへ来るまでに見た商業区は、どこも少しずつ疲れていた。店は開いている。声も出ている。だが、客足は鈍く、荷の量も細い。商人の笑顔にも、余裕より計算の色が濃かった。
その中で、ここだけが別の町のように賑わっている。
強い商会があること自体は、悪ではない。
品を集め、道を作り、人を動かし、町に必要なものを届ける。それができる商人は、むしろ貴重だ。戦時には、剣よりも荷車の方が人を救う場面もある。
だが、表の商いが一つの商会へ偏りすぎれば、下に歪みが出る。
買えない者が増える。仕事を奪われる者が出る。正規の道から弾かれた荷物は、消えるわけではない。見えない場所へ押し込まれるだけだ。
カーライルは、その中心にいる。
俺は店の正面で足を止めた。
立派な扉。磨かれた硝子。行き交う富裕層の客。
なるほど。
ヴァレリスが痩せていく間に、こちらはずいぶん太ったらしい。
俺は表情を変えず、肩の鞄を掛け直した。
今日は、ただの客として入る。
品を見て、値を見て、人を見る。
その上で、この商会がどれほど町の血流を握っているのかを確かめる。
俺はカーライル商会本店の扉を押した。
扉を押すと、外の喧騒が、種類の違うざわめきに変わった。
中は広く、品が多い。手前には客に見せるための品――香油、上質な布、銀細工。その奥に、保存具や灯り、職人向けの道具、旅支度の品まで並んでいる。表で富裕層を掴み、奥で暮らしの土台を押さえる。金を持つ者にも、物を運ぶ者にも、手を伸ばしている店だ。
なるほど。強い。
棚を見て回っていると、若い店員が寄ってきた。
「何かお探しでしょうか」
言葉は丁寧だが、こちらを見る目には、わずかに値踏みが混じっている。当然だろう。俺は貴族にも富裕商人にも見えない。古びた鞄を提げた、ただの若い男だ。追い払うほど貧しくは見えず、大口の客にも見えない。扱いを決めかねる、というところか。
「水の保存に使う品を、見せてもらえますか」
「清め石ですね。こちらへ」
案内された木箱に、布で仕切られた小石が並んでいた。白っぽいもの、淡く青みを帯びたもの。見た目だけなら、川原に落ちていてもおかしくない。
清め石。神聖な力を宿した、ただの石だ。聖域や神殿のように聖なる力の強い場所へ長く置かれた石が、ひとりでにそうなる。秘術で作ることもできる。主な作り手は秘術を扱う教会勢力ということになるだろう。元手はただの石ころ、置いておくだけで仕上がることもあるとなれば、これほど手堅い実入りもない。
水袋や水瓶、井戸や貯蔵庫に入れておけば、飲み水を長く保ち、軽い濁りや臭みを抑える。食料庫に置けば、傷みも少し遅くなる。毒や強い汚染まで消す万能の品ではないが、人々の生活には欠かせない代物だ。
値札を見て、片眉が上がりかけた。
「……あいにく、今は少々値が張っております。リーメスの教会が焼けた影響で、教会経由の品の入りが鈍っておりまして」
「そうですか。では水瓶用を二つ、貯蔵庫用を三つ。小さいものも、いくつか」
高い。だが、買えない額ではない。伝手を辿って待つより、多少高くても、今ここで現物を押さえる方が早い。
「まとまった数ですね。ありがとうございます、お包み致します」
「灯りも見せてください。できれば火を使わないものを」
「でしたら、苔蝋がございます」
案内された棚には、硝子の筒と、細長い包みが並んでいた。
見本用の硝子筒の中で、芯のない、色の薄い棒状の蝋が淡く光っている。売り物の方は、空気を通しにくい薄い蝋布に包まれ、蓋付きの木箱に収められていた。
灯り苔を乾かし、蝋で固めたものだ。
「空気に触れると、その中に含まれる魔力に反応して、淡く光ります。硝子の灯具に納めて、空気穴を開ければ光り、塞げばほどなく消える。火も煙も出ませんので、火気を嫌う蔵や木造建築に向きます」
使い方は知っている。
問題は、品質と値段だ。苔蝋は便利だが、普通の蝋燭の感覚で数を揃える品ではない。火を使わず、煙も出ず、開閉だけで明かりを落とせる。その分、値は張る。
だが、今の地下には向いている。地下通路や倉庫区画に火を増やすより、よほど扱いやすい。劇場側でも、舞台袖や衣装部屋、古い木材の多い場所に置ける。
「短いものを五本、長いものを二本。納める灯具も、いくつかお願いします」
店員の応対が、少し丁寧になった。清め石と苔蝋――ただの冷やかしではない、と値踏みを改めたのだろう。
最後に、奥の棚を見る。革紐、手袋、携帯用の砥石。その隣に、子供向けの魔術練習具がまとめられていた。
手のひらに収まる、透明度の低い小さな水晶。表面に、簡単な術式が刻まれている。
「それは?」
「魔力流しの練習水晶です。魔力を通すと、弱く光ります。お子様の初歩訓練に使われる品ですね」
お子様、か。悪意はない。商売用の言葉だ。それでも、少しだけ刺さる。
「丈夫なものですか?」
「はい。落としても割れにくく、反応も弱いので、暴発の心配もまずございません」
俺の適性は、限りなく零に近い。だが、零ではない。伸び率も最低だが、伸びないわけではない。なら、やらない理由にはならない。いつか簡単な魔道具のひとつでも起動できれば、それだけ打てる手が増える。可能性があるのなら、挑戦する価値はあるはずだ。
「では、それを一つ。それと、そこの錘と握り棒も」
握り手のついた小さな鋳鉄の錘。硬い木の握り棒。初歩的な訓練用具だ。
「どちらもお子様用ですが、よろしいですか?」
「……はい」
顔色は変えなかった。
今の俺のステータスは、子供のそれにも届かない。だが、子供がそこから始めるのなら、俺が同じところから始めて、何の不都合がある。
店員が、品を布に包んでいく。
清め石。苔蝋。練習水晶。鋳鉄の錘。握り棒。見事に、色気のない買い物だった。香油も飾り布もない。自室に置く品と言うには、どれも実用に寄りすぎている。
だが、それでいい。俺の部屋に要るのは、飾りではない。眠る場所と、考える机と、できることを少しでも増やすための道具だ。
持ち帰るにはやや重い。だが、店を出るまでは包ませておけばいい。人前で魔法の鞄を使うわけにもいかない以上、収めるのは外へ出てからだ。
会計の札が整えられていく。俺は包みを確かめながら、ふと思い出したように顔を上げた。
「それと――王立アウレリア歌劇場の改築について、少し話をさせていただけませんか?」
若い店員の手が、止まった。
さっきまでの、客あしらいの愛想とは違う。値踏みが、別の色の警戒に変わっている。
「……失礼ですが、どちらの」
「王立アウレリア歌劇場。支配人ユリアン・エヴェレットの使いです」
名を出した途端、店員の表情が変わった。改築、という一語の重さが、ようやく像を結んだらしい。
「少々、お待ちください」
言うが早いか、店員は包みかけの品を脇へ寄せ、近くにいた別の店員へ短く声をかけた。それから、奥へ下がっていく。
残された俺は、包みを確かめる振りをしながら、店の動きを眺めた。
奥で、短いやり取りがあった。
声は聞こえないが、人の動きでわかる。話がひとつ上の段へ渡され、そこからまた、さらに上へ。流れに淀みがない。よく躾けられた店だ。
ほどなく、年かさの男が出てきた。
仕立ての良い上着。手には何も持たない。若い店員より、明らかに格が上だ。番頭格だろう。
「お待たせいたしました。王立アウレリア歌劇場の、ご改築の件と伺いましたが」
「はい。支配人の使いで参りました。相談と、見積もりのお話を」
番頭は、俺の身なりを一度だけ確かめた。
だが、若い店員のような値踏みはしない。見ているのは、俺ではなく、俺が背負ってきた名前の方だった。
王立アウレリア歌劇場の再建。旧都に長く眠っていた大きな箱が、また動き出す。そこへ納める一式となれば、数も額も、並の取引ではない。
番頭が、すっと姿勢を正した。
「その件でしたら……少々、お時間を頂戴できますか。手前どもの主に、直に話を通した方が、早うございましょう」
主。
つまり、エドワルド・カーライル本人だ。
番頭は若い店員に何事か言い置くと、自ら奥へ消えていった。
たかが品の相談で、当主が出てくる。
王立アウレリア歌劇場の名は、それだけの重さを持っているらしい。
――あるいは、名前だけでは、ないのかもしれないが。
俺は包みの傍らで、ただ待った。
少しして、奥の扉が開いた。
現れたのは、三十代半ばほどの男だ。仕立ては良いが、華美ではない上着。撫でつけた髪。物腰は穏やかで、急いで呼ばれた様子もない。一見、有能な商人に見えた。
「お待たせしました。カーライル商会の主、エドワルド・カーライルです」
名乗りは丁寧で、番頭への目配せも、俺への会釈も、淀みがない。
だが、その丁寧さは、どこか後から身につけたもののように見えた。隙がなさすぎる。生まれ持った余裕なら、ここまで克明に隙を消そうとはしない。磨いて、磨いて、ようやく手に入れた滑らかさだ。
その視線が、俺の服と鞄、包みを一度だけなぞった。
値踏みは、それで済んだらしい。
「王立アウレリア歌劇場改築の件ですね。ええ、把握しています」
聞いている、でも、噂に聞いた、でもない。把握している、と言った。
「そして、ヴァレリスに声がかかったことも。……ようやく、こちらへ来られたわけですね」
ヴァレリスにも、ではない。
ヴァレリスに、だ。
その一語に、いくつもの色が滲んでいた。先に声がかかったのが自分でなかったことへの、薄い不快。それでいて、最後にはここへ来るしかないと知る者の、揺るがぬ自信。そして、ヴァレリスという古い名へ向けた、隠しきれない苛立ち。
「失礼ながら」
エドワルドは、穏やかな声のまま続けた。
「支配人殿は、舞台にはお詳しくとも、商いには、あまり明るくないご様子だ」
ユリアン・エヴェレットへの評を、隠そうともしない。
「周りにひとりでも商いの分かる者がいれば、古い名だけを頼る前に、お止めしたでしょうに。……不幸なことです。劇場にとっても、この町にとっても」
丁寧な言葉だった。
だが、含んでいるものは明白だ。
支配人も、その周囲も、劇場の改築という大きな仕事を動かすには足りていない。そう言っている。
そして俺も、その足りない側の一人として見られている。
俺は表情を変えなかった。
口論する気も、気を悪くする必要もない。目的はあくまで偵察だ。この男が何をどう見て、何を欲しがるのか。それを確かめに来た。
「……はあ、そうですか。それで、見積もりの件なのですが」
「見積もり、ですか」
エドワルドは、傍らの番頭へ目をやった。
「書かなくていい」
番頭の手が、一度止まった。だが、すぐに引く。主の言葉に、問い返す立場ではない。
「数や品目を並べた紙は、後でいくらでも作れます。今、必要なのは、そこではない」
エドワルドが、俺へ向き直った。
「ヴァレリスは、いくらで出すと言いましたか」
「……それは」
「教えていただければ、こちらは、それより二割、安く出しましょう」
二割。
品も数も、まだ何ひとつ詰めていない。それなのに、二割安いと言い切った。
「品目も、数量も、確かめないのですか?」
俺が問うと、エドワルドは薄く笑った。
「そこは、問題ではありません」
穏やかな声のまま、続ける。
「条件は、一つだけ」
エドワルドは、そこで一度言葉を切った。
それから半歩だけ近づき、店先のざわめきに紛れるほど声を落とす。
「ヴァレリスを、外すことです」
そこで、ようやく腑に落ちた。
この男は、品を売りたいのではない。本当に欲しいのは、別のものだ。
歌劇場の改築という、誰の目にも触れる大きな仕事から、ヴァレリスという名を、消すこと。
二割安は、そのための値だ。品の値引きではない。名前を一つ、表の取引から拭い去るために積んだ、買収の額だった。
俺は、表情を動かさない。怒りも驚きも見せない。今ここで返すべきは、感情ではなく、確認だ。
「……つまり」
言葉を選ぶ振りをして、一度、口をつぐむ。
「ヴァレリス商会を外せば、カーライル商会が、歌劇場改築の一式を、二割安で請ける。そう、支配人にお伝えすればよろしいのでしょうか」
「ええ。そのとおりです」
即答だった。
「その話、書面でいただくことは」
訊くと、エドワルドは、初めて少しだけ、笑みを深くした。
「いいえ。口頭でお伝えいただくだけで、結構です」
なるほど。
書けば、証文が残る。古い商会を名指しで取引から外せと迫った証が、形になってしまう。だから書かない。利を匂わせる言葉だけを、使いの口に乗せて持たせる。後でいくらでも、言を翻せるように。知らぬ顔ができるように。
商人としての、抜け目のなさ。あるいは、嫌らしさ。
「……承知しました」
「ええ、お願いしますね」
エドワルドは、もう用は済んだという顔をしていた。
「それでは。色よいお返事を、お待ちしております」
それだけ残すと、主は番頭に短く言い置き、奥へ戻っていく。最後まで、俺という個人には、ほとんど目を向けないままだった。
後に残ったのは、若い店員と、先に選んでおいた品だ。歌劇場の話とは、何の関わりもない。清め石、苔蝋、鋳鉄の錘――ただの買い物の方を、店員が手際よく包みにまとめていく。
会計を済ませ、包みを受け取った。
店を出ると、午後の光がまだ高かった。
包みを二つ抱えて、商業区の人波へ戻る。買い物帰りの客に紛れれば、俺はただの、使い走りの若造だ。
通りを一本外れ、荷車も人もまばらな路地に入る。壁際で足を止め、左右を確かめた。誰も、こちらを見ていない。
肩の鞄の口を開け、包みを順に落とし込む。鋳鉄の錘も、清め石も、苔蝋の小箱も、底の見えない暗がりへ吸い込まれて、鞄はもとの薄さに戻った。
肩が軽くなる。これで、両手が空いた。
歩きながら、頭の中で、今日見たものを並べていく。
カーライル商会は、強い。
品揃えは広く、客のさばき方には淀みがない。番頭から主まで、話がひとつ上の段へ渡る流れに、無駄がなかった。店先に積まれた荷の量、出入りする人の数――あの店は、この町で人が日々口にするもの、使うものの、流れの太いところを握っている。
町の血流を、どれだけ押さえているか。確かめに来た答えは、出た。かなりのところまで、だ。
だが。
その強い男が、たった一つの名前に、あれだけ反応した。
品も数も詰めずに二割を投げ、半歩踏み込んで声を落とし、書面は残すなと言った。落ち目の、古いだけの商会。表向きは、もう大した相手ではないはずの名だ。
軽んじている相手に、人はああはしない。
軽んじる相手は、放っておく。値引きも、内緒話も、口止めも要らない。気にも留めない。
わざわざ二割を積んで、名を消しにかかる。それは、相手をまだ、生きた脅威として数えているということだ。
――カーライルは、ヴァレリスを軽んじているのではない。
恐れている。
その意味は、大きい。
ただの没落商会なら、恐れる必要はない。古い名にすがるだけの家なら、二割を払ってまで表の仕事から消そうとはしない。
カーライルは、ヴァレリスが戻る可能性を見ている。
それも、無視できない程度には。
ならば、王印状は完全には失われていない。
カーライルの手の内にあり、二度と戻らないと確信できる状態でもない。もしそうなら、ヴァレリスの名など放っておけばいい。歌劇場の改築に噛んだところで、最後の一線は越えられない。
だが、エドワルド・カーライルは動いた。
ヴァレリスの名が表に出る前に、金を払ってでも消そうとした。
ゲームの知識と、今見た反応。その二つを重ねれば、これはほとんど答えに近い。
王印状は、まだある。
どこかに。
問題は、それを誰が握っているかだ。
一度、整理する必要がある。
この世界の筋書きと、ヴァレリスの役割と、俺が知っているゲームの流れを。
包みの消えた鞄を肩にかけ直し、俺は人波の中を、ねぐらへ向かって歩き出した。




