第四十一話「ワイルドポポ」
わたしは使用人の物置から庭先に移動した。
たしかにポポちゃんが目を覚ましている。
両翼を広げて、鳴き声を発していた。
「おねえさ~ん! ルビィおねえさ~ん!」
どうも、わたしを呼んでいるみたいだ。
「ポポちゃん、どうしたの?」
「あ、おねえさん~!」
こちらの姿を捉えたポポちゃんが、眼前に猛ダッシュしてくる。
「ぼくね、たいへんなことにきがついて、めがさめちゃったんだよ!」
「あらら、大変なことって?」
「うん、それはね……」
ポポちゃんがグッと顔を寄せてくる。
「ぼく……おなかがすいたんだよ」
なぜか内緒話をするような口調で言われてしまった。
うーん、ポポちゃんのぶんも夕飯を用意するべきだった。
屋敷に帰って来るなり眠っちゃったから、てっきりお腹は空いてないんだとばかり。
「ごめんね、気がつかなくて」
「おねえさんは、わるくないよ~」
ポポちゃんの優しみ。
「じゃあ、なにか食べる物を持ってくるね」
「わーいわーい」
「なにか食べたい物ってあるかな。昼間の干し肉とか?」
「うーん……おねえさんは、ばんごはんたべたの?」
「えっとね」
料理を作って食べたと説明する。
「ぼく、それがたべたいよ~!」
「それって……」
「おねえさんのてりょうりだよ~!」
ポポちゃんはなぜか涙目で懇願してくる。
明日の朝食用にと思って、ポトフはまだ残してあるけど。
「人間の食事だけど……平気?」
「まったくもんだいないよ~。ぼく、わりとなんでもたべるから。とりにくは、ちょっとあれだけど……」
どれだろう。まあ、ポトフに使ったのは牛肉だから大丈夫か。
「それじゃ、持ってくるね」
「うんっ」
わたしは急ぎ足で厨房へ向かった。
厨房でポトフを温めて、庭先に戻ってくる。
ポポちゃんがどれくらい食べるかわからないので、鍋ごとワゴンに乗せて持ってきた。
「お待たせ」
「いいにおいがするよ~」
ポポちゃんがワゴンの上に乗った鍋へと吸い寄せられるように近づく。
「今、お皿によそるからね」
そう言って、わたしは鍋のフタを持ち上げる。
「わ~いただきま~す」
「えっ、ちょ……」
止める間もなくポポちゃんは鍋に嘴を突っ込んだ。
そのままムシャムシャと中身を食べ始める。
ワ、ワイルド〜。
「おいしい〜、ルビィおねえさんは、おりょうりじょうずだね!」
「あ、ありがとう」
結局、ポポちゃんはポトフを綺麗に平らげてしまった。




