第三十九話「メイドといえば」
夕食と、その後片づけを終えたあと。
わたしはサロンで休憩するクロウに質問をぶつけた。
「メイド服ってありますか」
「……なんだと?」
やはりメイドをやるなら、着なくてはいけないでしょう。
形から入るのって、わりと大切だと思う。
「名称から察するに、メイドの仕事着か?」
あ、もしかしてメイド服とは呼ばないのか。
「そうです。仕事着があれば、頂けないかなと」
「おそらくメイドたちが使っていた部屋があるフロアの物置にあるだろう。自分に合う物を選んで、好きに持って行くといい……部屋まで案内が必要か?」
「いえ、場所さえ教えくだされば」
「わかった、場所は――」
クロウに教わって、わたしはメイドが生活していたという部屋がある場所まで来た。
大半の使用人は、屋敷に住み込みで働いていたらしい。
ちゃんと一人につき一部屋が与えられていたみたいだ。
「さてと、物置ってどこだろ」
廊下には結構な数の部屋が並んでいる。
とりあえず、片っ端から確認していくしかないかな。
――何部屋か扉を開こうとしたけど、鍵がかかっていて無理だった。
「あ、ここは開くみたい」
ようやく施錠されていない扉に行き当たる。
扉を開いて、中を覗いてみた。
「お、たぶん当たりかな」
部屋の中は棚が並んでいて、床には色々な物が整然と置かれてある。
よく整頓された物置だった。
こういう光景を見ると、心が落ち着く。
誰かさんの散らかった部屋を思い出しつつ、一人で「うんうん」と首を上下させた。
よし、メイド服を探そう。
「お邪魔しまーす」
なんとなく口に出してから、部屋に入った。
メイド服がありそうなのは……やっぱりクローゼットだよね。
部屋の一番奥にあるクローゼットの前まで進む。
「よいしょ」
クローゼットの戸を開いて、中を確認する。
「おお……」
思った通り、メイド服がずらりと掛けられていた。
「サイズ合うのがあればいいけど」
さすがに、これだけあれば大丈夫かな。
「……これがよさそう」
着られそうなメイド服を見つけたので、クローゼットから引っ張り出す。
フリルがふんだんにあしらわれたエプロンドレスだ。これまたフリルがついた白いカチューシャもセットになってる。
「か、可愛い……」
はたしてこの可愛らしい衣服が自分に似合うのだろうか。
……ちょっと心配になる。
でも単純に着てみたいという好奇心もたしかにあった。
実は前世でも興味があったんだよね。結局、着る機会はなかったけど。
「……よし」
覚悟を決めて、着替えを開始した。




