第二十一話「町」
鳥さん――ポポちゃんの案内で、わたしとシャルティアさんは森を進む。
時間はシャルティアさんによると、まだ朝らしい。
わたしたちが森で目を覚ましたのは、早朝だったみたいだ。
「ちゃんとついてきてね~」
ポポちゃんが、はりきって先頭を進んでいく。
わたしの隣を歩くシャルティアさんの腰には、細身の剣が提げられていた。たしか、レイピアっていう剣だっけ。
「これが気になりますか?」
わたしの視線に気がついたシャルティアさんが、そう訊いてくる。
「はい、まあ」
「並の人間や魔物が相手ならば素手でも問題ないでしょうが、なにがあるかわかりませんからね。用心に越したことはないでしょう」
森を進むこと十数分。
「さ、ここからさきはもうかいどうだよ~」
わたしたちは、森の外までやってきた。
「ぼくはここでまってるからね~」
「え、ポポちゃんは来てくれないの?」
「あはは、おねえさん、おもしろいね~」
また面白いって言われた。
「ぼくがまちにいったら、おおさわぎになっちゃうよ~」
「そうなの?」
「うん、いちおう、ぼくはにんげんにとってはこわいそんざいみたいなんだ。まあ、かわいくておおさわぎになっちゃうかのうせいもあるけど~」
「あはは」
その光景、ちょっと見てみたい気がするな。
「じゃあポポちゃん、行ってくるね」
「うん、まちはかいどうをすすんでいればみえてくるはずだよ~」
「わかった、ありがとう」
ポポちゃんを残して、わたしとシャルティアさんは街道を進む。
「魔物とか、出たりしないですよね……?」
「どうでしょう。気配は感じないようですが……しかし」
シャルティアさんが、周囲を見渡す。
「やはり、まるで見たことがない風景ですね」
「そう、ですね」
わたしはゲーム上での設定を思い出す。
元々インバーテッド家の屋敷があったのは、大きな都市の一角だったはず。
今さっき通ってきた森や、こんな街道が存在するのは変だ。
「やっぱり、あの仮説が正しいんでしょうか」
「個人的には、その可能性が高いと思っていますが……ともかく町に行けば、なにか掴めるでしょう」
その後、わたしたちは特に何事もなく町の入口まで辿り着いた。
二人で、開かれた門を見上げる。
「それなりに栄えた町のようですね」
「ええ」
シャルティアさんの感想に、わたしは同意を返す。
門の脇に、槍を手にした番兵らしき人が立っている。どうやら、わたしとシャルティアさんに注意を向けているみたいだ。
「いつまでも立ち止まっていたら、怪しまれてしまいますね……進みましょう」
「あ、はい」
シャルティアさんとわたしは、門番の近くまで歩いていく。
「旅の方ですか?」
目の前まで来ると、門番がそう声をかけてきた。
立ち止まり、シャルティアさんが門番に笑顔を向ける。
「ええ、そうです」
わたしたちは今、共に外套を羽織っている。旅人に見えなくもないはず。
「町には滞在するご予定で?」
「どうでしょう、まだわかりません」
「そうですか……ここはいい町ですから、どうぞごゆっくり」
「ええ、ありがとうございます」
門番は普通にいい人って感じだ。特に怪しまれている様子もなさそう。
わたしも小さく会釈をして、そのまま門を通過する。
ちょっと緊張したけど、町に入れてよかった。
「わあ……」
町は全体的に石造りで、いかにもファンタジーっぽい。
人も結構いて、活気のありそうな雰囲気だ。
「ルベーリアさん、観光に来たわけではありません。さっそく情報を集めましょう」
あちこち眺めていると、シャルティアさんに窘められてしまった。
「はい、すみません……でも、情報を集めるってどうやってですか?」
「こういう時はやはり、あそこでしょう」
……どこ?




