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加護についての説明を

 そこで僕ははたと、ティエル女王が重要な事を口にしたことに気がついた。

 

「ティエル女王、今“自分の力で退ける”と仰っていましたけど、あなたは僕のマナ吸収の影響を受けない力をお持ちなのですか?」


 すると、女王はキョトンとした顔でマジマジと僕の顔を見つめてきた。

 

「何を言っているんですか、勇者殿。我々には創造神様に頂いたご加護があるでしょう?」


「えっ!? 加護って一人一つじゃないんですか?」


「私も加護持ちの統計を取ったわけではないので解りませんが、少なくとも私自身は複数賜っていますよ?」


 その言葉に驚いたのはリアもまた同じだった。

 

「わ、私も加護は一つしか賜ってないわ!」


「あら? あらあら、おかしいですねえ……。勇者殿はその莫大な力と引き換えに加護が一つになってしまったのかと思っていましたが、勇者リアまで加護一つとは……?」


 これは、直接問いただしに行かなければならないようだ。付近にいる三人を順繰りに見つめ、僕は宣言した。


「これはどういうことなのか、ちょっと確認してきます」


「確認って、一体どうなさるおつもりなんです?」


 一体何をする気なのかと、ティエル女王が訝しがっていると、ハッと気がついたのはリアだった。

 

「マサヤの力を使うのね? でも、そんなことをしたら、またこの周囲のマナが全て吸いつくされて大混乱にならないかしら?」


「んー、女神様に会いに行く程度なら、多分消費量はそんなに多くないと思うんだ」


「そういうものなのかしら……?」


「マサヤどこかに行っちゃうのです?」


 ふと気づくと、僕の服をひしっと掴んだモモが潤んだ瞳で見上げてくる。凶悪的なまでに反則技だった。

 

「モモ、僕はどこにも行かないよ!」


「マサヤ!? 創造神様に確認しにいくんでしょ?」


「ハッ、そうだった。モモのあまりの可愛さについつい自我を見失ってしまった」


 そこへトラムスが茶々を入れた。

 

「勇者はいつでも自分の方向音痴だと思うがな」


「“よしよしなのですー”」


「ぬぐぁっ!?」


 モモの声色を真似て、トラムスをからかうと想像通りの効果が入った。ふふふ、強がりな年頃の子供には耐えられまい。


「こらっ! トラムスで遊んでるんじゃないの!」


「あいたっ!?」


 ごいんっ、とリアの拳が頭に落ちた。手加減はしてくれてるんだろうが頭が割れるような痛さだった。

 

「今のはマサヤが悪いのですー!」


 自分のモノマネをされて若干不機嫌なモモも擁護ようごしてくれることはなかった。僕はバカな真似をやめて、ティエル女王へと向き直る。

 

「では女王、この周囲で一時的にマナ及び魔法道具が使用出来なくなりますけどいいですか?」


「いいですよー、なんとかしておきますのでー」


「女王、そんなあっさりと――!」


 衛士の二人が色めき立ったが、彼女は視線だけで黙らせてしまう。

 

「では、行ってらっしゃいませ、勇者殿。創造神様によろしくお願いしますね」


「はい。じゃあ、リア。真摯に願って」


「……解ったわよ」


 不承不承ながら、リアは真摯な願いを捧げる。


「お願いします、マサヤを創造神様の所へお導きください……!」


 すると、僕の体からまたマナの光が爆発するように発せられ、一瞬後には見慣れた天界の床へと降り立っていた。見回すまでもなく、僕の視界には既に馴染みとなってしまった創造の女神様が悠然と待ち構えていた。いつものだらけた姿とは大違いで、一瞬誰なのかと疑ってしまったくらいだ。

 

「ようこそ、カガリ・マサヤさん。あたなたをお待ちしておりました」


 それはいつか見たような光景の焼き直しのようだった――。


次回は13時更新です

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