第53話
「二人とも大丈夫みたいだね」
プリシラとルミナリスがやってくると、ウェルドレッドに目を落とす。
「こいつは生きているみたいだな」
「わしのコドクを見て気絶しおったしもうデカい顔もせんじゃろう。しかし久しぶりの強敵じゃったな」
ウェルドレッドの顔を足で軽く蹴って反応を見るが、微動だにしない。
「魔力量が大分増えてたもんね」
「確かに強いが頭は悪くなってたみたいだぞ」
「確かにいいことばかりでは無さそうじゃな。お、そういえばもしかしたら……」
ウェルドレッドの背中に手を入れてごそごそと動かすと、一冊の書物を取り出した。表紙にはこちらを見る表情のない悪魔が映る。
「無限の書……」
「大事なものじゃないのか?」
ハルシウスがきょとんとすると、プリシラはそれを手に取り表紙を見つめる。
「うーん、どうなんだろうね。わかんないや」
中身を開き、パラパラとページをめくる。三人もそれを覗き込んだ。
「全く意味が分からん。ここに魔獣が入っているのか」
一ページ一ページがびっしりとアルファベットで埋められていて、ハルシウスとルミナリスが苦い顔をする。
「そうみたいだね……でも大半は空白だよ?」
すかすかのページを両手で開いて見せる。
「よくわからぬが取り合えずこれはお主が持つべきじゃろう」
プリシラが無限の書をしまうのを見ると、ハルシウスが切り出す。
「さて、ルミオも帰ってきて、プリシラの敵討ちもできてめでたしめでたしと……それで、みなはどうするのじゃ? まあルミオは決まっておるが」
ルミオの方を笑顔で見る。
「もちろん。僕はハルさんにずっと着いていきます!」
「うむ。それで二人は?」
ルミナリスがニヤリと笑う。
「俺はお前らについて行きたい。真の強さを見つめ直したい。それに一緒に居ると強いやつと戦えそうだしな」
「そうか、好きにするがよい。それでプリシラはどうする?」
「私は、そうだね……」
再び無限の書を取り出す。
「両親は死ぬまでこれを渡さなかったらしい。それにここに収められていた魔獣が色んな研究所に散らばっているとも言っていた」
さっきの空白のページを見せる。そのページを見る目は少し笑っていた。
「私はこれを埋めようかなって思う」
ハルシウスが安心した顔をする。
「やりたいことが見つかって良かったな」
「うん。ハルはどうするの?」
ハルシウスは後ろを振り向き、大きく息を吸う。
「もちろん、決まっておる!!」




