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第45話

落ちてくる岩をかわし、ルミナリスは続けた。

「それは構わないが見下す必要もないだろう」

言葉は既に届いておらず、がむしゃらに地面を破壊して崖を削っていく。

「オマエラハココデ、オワリダァ!!」

以前と同じ瓶を取り出し、蓋を開けずに瓶ごと飲み込んだ。プリシラがしまったと口を手に当てるが、切り替えて崖を上がる。

「今がチャンスだよ!」

「様子がおかしい、待て!!」

横を通り過ぎようとするプリシラを突き飛ばした。

「……ガァァッ!!」

両肩が光だし、呼応するように黒い風が巻き起こる。それは一瞬で大きくなり、ルミナリスの右腕を巻き込んだ。

 

 突き飛ばされて倒れたプリシラが顔をあげる。目の前には無くなった右腕のつなぎ目を左手で抑えるルミナリスと右腕を消した黒い壁が立っていた。風は吹き飛ぶ石ころを飲み込み、一瞬で消滅させる。更に奥を見るとルミナリスの右腕が既に骨が見える程消失していた。

「ご……、ごめんなさい……」

へたりと両手を前につき、顔を落とす。依然としてチェスリンを中心に大きく回る風は回り続けて空間を断絶している。ルミナリスは右腕の残った部分を左手で強く抑えて淡々と尋ねる。

「お前が立てた作戦に乗るんだから冷静になれ。何をすれば奴に勝てるか教えろ」

しかし、プリシラは顔を上げずにぼそぼそと呟く。

「もう、無理だよ」

「は?」

「魔力の質が桁違いに上がった。それに一人で殺しをやってきたからどう協力すればいいかなんてわかんないよ……」

ルミナリスは後ろを見る。壁はこちらに侵食することなく、むしろチェスリンのもとへ狭まっていく。

 再びプリシラの方を向くと、大部分が欠けた右腕を見せた。

「この程度ならいくらでも見てきただろ。確かに『仲間の』怪我なのかもしれないが」

左手で切られた根本を強く抑え続け、出血が次第に止まってゆく。

「協力なんぞ俺にも分からんが作戦には期待している。代わりに怪我をしてくれるやつがいると思って気楽にやれ」

ルミナリスは自分の血がべっとりとついた左手を差し出した。その顔はいつも以上に変化が無く、表情が読み取れない。

 

 プリシラは少し顔をほころばせると、その腕を取った。

「そうだね、一緒に協力ってやつがなんなのか探っていこう」

ベリトも袖から出てきて、二人のつないだ手に乗る。

「……あの滝の下に少しでいいからおびき出して欲しい。一瞬でも近づければこの子が動きを止めるから、後は私がなんとかするよ」

「分かった。あの風はなんとかしなくて大丈夫なのか?」

「うん。一瞬凍らせて止める。その時を狙うからそのままでも大丈夫だよ」

「分かった、飛んで行った右腕を見ていたが消えるまで時間がかかるようだ。俺は俺で考えがあるが、一応言っておくぞ」

「うん、ありがとう。それじゃあ、今度こそ『協力』していこうか」

風がやみ、二人はチェスリンと向き合った。


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