お片付け
今、佐倉さんと僕は司さんの部屋にいる。
司さんから部屋の活付けを手伝ってほしいと言われたからだ。
部屋の中には、オリジナルの司さんのコレクションで埋め尽くされている。
「売ればそれなりの金になると思うのだが、とにかく量が多くてな。
オリジナルの記憶で、これらを売る手配などはできそうなのだ。
仕分けや片づけを手伝ってもらえぬか」
司さんがそういう。
なるほど確かに膨大なコレクションだ・・・
僕は部屋を見てちょっとうんざりしてしまった。
「うーん・・・まずは本から手を付ける?」
佐倉さんがそう言う。
「そうですね。一番売るのも片付けるのもやりやすそうですし」
僕はそう答える。
ふと本棚に懐かしいマンガを見つけ、手を伸ばす。
本棚の奥行が深めで、本を奥行方向2列に収納しているようだ。
マンガを取ると背面から、同じマンガの背表紙が出てきた。
「???」
僕はちょっと戸惑った。
ああ。昔どこかで聞いたことがある。
保存用と鑑賞用で二冊買う人がいる、って。
奥から出てきた本にはビニールがついたままだ。
「これ全部二冊ずつあるんですか?」
僕の問いかけに司さんが首を振る。
「いや。なにやら思い入れの強いものだけだ。
今、深山が触っている本棚は思い入れの強い本を入れてある」
司さんが隣の本棚を差し
「こちらは一冊ずつのモノが入っている本棚だ」
と説明を続ける。
「几帳面な人だったんですね」
「うむ。そうなのだ。なかなかきれいに収納しておる」
「古本は古本屋で、新品はオークションにしましょうか」
佐倉さんがそういう。
佐倉さんなんだか司さんには敬語なんだよね。
三人とも20代半ばで多少の年齢差はあるだろうけど、僕のへの態度とだいぶ違う・・・
「bookonなら箱で送って代金振り込んでくれるサービスあるし」
「たしかに新品の方はオークションのほうが高く売れそうですね」
僕も同意する。
というわけで僕らは黙々と本を箱に詰める作業を始めた。
いや。
黙々、というのはうそだ。
雑談しながらだ。
「そういえば司さん、初めて私を見たとき『似たような身の上か』って言いましたよね?
もしかして転生者は見てわかるんですか?」
佐倉さんが司さんに問いかける。
ガムテープで箱を止めながら司さんが答える。
「そうじゃ。
どのような身の上かなどはわからぬが、転生者であることだけは分かる」
佐倉さんの目が輝く。
「どんな風に見えるんですか?」
「うっすら光っておる」
司さんの答えは短い。
「なるほどなるほど!
司さん今度、私が休みの日に人の多い場所に出かけましょう!
この世の中に慣れるために、あちこち出かけて見聞を広めるんですよ!」
うそだ。
絶対そんなこと思ってない。
僕はそう思ったけれど黙って本の箱詰めを続ける。
「そうか!それは良いな。
佐倉がガイドしてくれるというのは大変ありがたい」
司さんはすっかり騙されている。
まぁ、話し方もおかしいし少し世間になれるのは良いと思うけど・・・
でも絶対佐倉さんの目的はあれだ!
美優さんの恋人の勇者を探すこと・・・




