最後のミルク
いつもの通りにいつものぶち猫が座っている。
俺が通るとじっと見てくる。
以前触ろうとして手を出したら威嚇してきて、引っかかれた。
でも、いつも俺が通るとそこに居るんだ。
そんなある日のこと。
その日は朝から雨が凄かった。
流石にこんな雨の中居るわけがなかった。
夕方。
雨はまだ止まない。
いつもの場所に差し掛かったとき、突然俺の足にすり寄ってきた猫がいた。
その猫は泥まみれでずぶ濡れだった。
気になった俺は、その猫を抱きかかえて家まで連れ帰った。
*
俺は猫を洗ってやり乾かしてやると、そいつはいつも俺を見ていたぶち猫だった。
なぜか今日に限って足下にすり寄ってくるので、俺は何か食べられるものをお皿に入れて出してみた。
ぶち猫は食べなかった。
もう一つのお皿に、少しだけ温めたミルクを入れて出してやった。
ぶち猫は一度鳴いてから匂いを嗅いで、ミルクを小さな舌を使って飲み出した。
俺はしばらくその様子を眺めてから部屋へ戻り、ソファーに腰を掛けてテレビを見始めた。
ぶち猫は満足した様子で、部屋へ入ってきてから俺を見上げ、もう一度「ニャオン」と鳴いて俺の膝の上に座って丸くなった。
テレビを見ながら、俺はいつの間にか寝ていたらしい。
ぶち猫は俺の膝の上で丸くなったままだ。
俺はぶち猫を起こそうとして触った。
ぶち猫は反応しなかった。
俺は異変に気がついて、ぶち猫を揺すった。
しかし、ぶち猫は目を開けて、起き上がることは二度と無かった――。
最後のミルク 完




