プラモデラー出来太!
俺は久美縦 出来太、プラモ大好きプラモデラーだ。
今から長年の夢である、ある物をフルスクラッチで作ることにした。
出来たらみんなに見せてやるんだ!
まずはプラ板からカットだ!
図面? そんなものは頭の中に全て書かれているぜ!
瞬間接着剤、パテ盛り、穴開け、ヤスリがけ、工程通りに組み上げていく! 俺の手さばきは神の手さばきだ!
「いくぜええええええええええ!」
気合いを入れたヤスリがけ!
慎重な接着!
バランスのとれたパテ盛り!
これぞ神の配分!
これぞ究極の穴開け!
シンナーの香りが漂う部屋は換気も十分! 抜かりなし!
「ふはははははははははは!!」
形になってきたぜ!
俺は時間も忘れて没頭する。
部組みは完成だ!
さぁ、サーフェイサーを吹き付けるぜ!
「コンプレッサアアアア! スイッチオン!」
ハンドピースから吹き出すサーフェイサーを、ビームライフルのように狙い定めて吹き付ける!
俺の周りには宇宙空間が見える!
部品が一機、また一機と色を変えて沈んでいく。
「量産機なんていい的だぜ」
面倒だぜ! まとめて仕留める!
大気に飛び交う粒子を一点に集約して解き放つ必殺兵器を使用する。
「いけえええええ! サクショォォォォォン! ブラストオオオオオ!」
改造塗装ブースのファンの威力を最大に上げていく。
全てのパーツにサーフェイサーを吹きつけ終わり、乾燥機の中へ設置していく。
タイマー――セッツ! オン!
……チーン。
「ついに来たぜ――この時がよぉ」
俺は一つずつ、手に取り、仕上がりを確認する。
「よし! 異物は無し! いつでも出撃可能だ!」
再びコンプレッサが作動する。
「しびれるぜ! このサウンド! この振動! 俺の中のソウルが叫び出すぜ!」
俺はパーツにマスキングを施し、中には筋彫りが必要なパーツが出てきて悔し涙を流したりしながら作業を進めていく。
そして――。
「ついに……ついに塗装の完了だ!」
黒く塗られた各パーツ。
赤いラインに金のアクセント。
俺は塗装し終わったパーツを、万感の思いで並べていった。
「ここからだ……ここから新たな機体に命が吹き込まれるんだ……」
俺は精神統一をしてから、一気に組み上げる。
「か……完成だ……ついに完成したのだ」
机の上には一つの箱形の物体が置かれていた。
「名付けよう……お前の名前は、フデバッコーンだ!」
俺は長年の夢だった変形筆箱をついに完成させたのだった。
「この美しいフォルム、計算され尽くしたディテール、そして――目玉の機構、変形機構だ! この筆箱は変形する! しかも鉛筆一本と消しゴム一個が収納可能だ!」
これで明日からクラスの人気者だぜ。 へへへ……。
俺は鼻の下を指で擦りながら明日からの事を想像した。
翌日――。
「久美縦、これは没収する。 放課後職員室まで来るように」
フデバッコーンのピンチ!
心ない先生に奪われてしまった。
「先生! それは俺の筆箱だ! 返してくれ!」
必死の反論――。
だが、返ってきた言葉は冷徹な物だった。
「普通の筆箱はロボットに変形なんてしない。 それに筆箱は鉛筆を剣みたいに持ったり、消しゴムを盾のように構えたりしません」
糞! 反論の余地がねえええ!
プラモデラー出来太! 完




