炎獄の火山、2時間攻略
翌朝、武器屋で魔法強化された槍を購入した。
マリアに持たせると、彼女は懐かしそうに微笑みながら、槍を構えた。
「うん……久しぶりだな、この感覚」
「昔は槍使いだったのか?」
「ああ。5年前まではな」
それ以上は語らない。きっと、死んだ仲間との思い出があるんだろうな。
炎獄の火山へは馬車で3時間。到着した時には既に灼熱だった。
「あつ、暑っ……熱い‼︎」
「火耐性ポーションを飲め、死ぬぞ‼︎」
三人でポーションを飲み、ダンジョンへ突入。
内部は溶岩だらけの蒸し風呂地獄といえるな。一歩間違えれば即死の地形。
「【万能解析】、全力起動」
『ダンジョン構造解析
•全20層、マグマ流動パターン解析済
•安全ルート算出完了
•推定攻略時間:2時間8分』
「行くぞ」
俺は溶岩の流れを読みながら、岩から岩へ飛び移る。
「ちょっと、そのルート危険すぎ!」
「大丈夫、あと3秒でマグマの流れが変わるからな」
言った通り、およそ3秒後にマグマが引いて安全な道のりができた。
「なんで……ここまでとは」
「全部計算してるからな」
10層のボス部屋。マグマゴーレムが立ち塞がる。
「エリス、氷結魔法!」
「はい!」
ゴーレムの核に氷柱が深々と突き刺さり、一撃で粉砕された。
「次」
15層。ボルケーノエレメンタルの群れ。
「マリア、槍で薙ぎ払え。エレメンタルの核は胸の中央、7センチの深さにある」
「了解!」
マリアの槍が炎を貫く。一振りで5体同時撃破。
「凄いな……体が勝手に動く。これがお前の解析か」
「最適解を教えてるだけだ」
そして20層、最奥部。
巨体で悠然したファイアドラゴンが耳を劈く様な雄叫びをあげた。
「クッハ、来たか、人間どもよ!」
「喋るのか」
「我が地獄の業火に身を委ねろ。」
ドラゴンが火炎ブレスを放つ――が、俺はその軌道を予測済み。
「左に3メートル移動っと」
ブレスが空を切る。
「なに!?」
「マリア、今だ。右翼の付け根!」
マリアが跳躍し、槍で翼を貫く。
「ギャアアア!」
ドラゴンが呆気なく墜落した。
その瞬間、俺は【万能解析】を発動。
『スキル複製開始:対象=ファイアドラゴン
•【火炎ブレス LV7】複製成功
•【飛行 LV6】複製成功
•【火炎耐性 LV9】複製成功』
「複製完了。エリス、氷結魔法で頭部を!」
凍てつく氷がドラゴンの頭部を覆い隠す。
「グ……ガア……」
崩れ落ちるドラゴン。
「はい、終わり」
『獲得経験値:レベル28→レベル42』
「2時間……本当に2時間で終わった……」
エリスが信じられないという顔をしている。
「次、行くぞ」
「次!? まだやるの!?体が保たんぞ!」
「今日中にあと2つ。体より時間‼︎時間がないんだ」
マリアが笑った。
「はぁ...お前、本当に帰る気しかないんだな」
「当たり前だ。月曜のプレゼン、間に合わないかもしれないけど、せめて来週中には帰りたい」
マリアはわずかに頬を引きつらせた。
「ずいぶんとその“プレゼン”がお気に入りらしいな。その執念、たいしたものだ」
こうして、俺たちの爆速ダンジョン攻略は続く。




