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異世界帰還RTA:レイドイベント、録画したアニメ、待ってる猫のために秒速で世界を救って帰ることにした。  作者: イチジク浣腸


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18/20

エリスの告白と、世界の果てへ

【世界の果て】は、ダンジョンというより異空間だった。

 入口に立った瞬間、全ての感覚が狂い始める。

 空は下にあり、大地は上にある。光は闇で、闇は光だ。【万能解析】が警告を発し続ける。

『警告:通常の空間理論が適用不可

 警告:スキル効果が不安定

 警告:精神への干渉を検知』

「これは……きつい」

「大丈夫ですか?」

「なんとか。お前は?」

「正直、気持ち悪いです」

 歪んだ空間を進む。

 罠は至る所にあった。進む度に空間が書き換えられ、来た道が消え、行く手が閉ざされる。

「落ち着いて解析する。焦らなければ突破できる」

 一歩一歩、丁寧に道を見極めながら進んでいく。

 30分後、少し慣れてきた頃。

「ケンタさん、一つ聞いてもいいですか」

「何だ?」

「帰ったら……私のことを覚えていてくれますか?」

「忘れるわけないだろ」

「でも、元の生活に戻ったら……この2ヶ月が夢みたいに薄れていくかもしれないじゃないですか」

「薄れない」

「どうしてそう言えるんですか」

「お前のことを忘れたくないと思ってるから。俺の意志の問題だ」

 エリスが黙った。

 しばらく歩いてから、彼女が言った。

「私、ケンタさんのことが好きです」

 足が止まった。

「……知ってた」

「え!?」

「【万能解析】で、ずっと前から」

「な、なんですかそれ!? 知ってて何も言わなかったんですか!?」

「言ったら、お前が気まずくなって戦闘に支障が出ると思った」

「そういう計算で……!」

 エリスが頬を真っ赤にして俺を睨んだ。

「最悪です、ケンタさん!」

「そうだな、最悪だな。ごめん」

「……謝れば済む話じゃないです」

「俺も……お前のことを、特別だと思ってた」

 エリスの動きが止まった。

「それは……どういう意味ですか」

「この世界で出会った人間の中で、お前が一番大切だった。帰ってからも、お前のことを考えると思う」

「……でも、帰ったら会えないじゃないですか」

「そうだな」

「世界が違うんですよ。もう二度と会えないかもしれないのに、それでも……」

「それでも、お前は大切だ。感情に嘘はつけない」

 エリスの目から涙が溢れた。

「……バカです、ケンタさんは。そんなこと言ったら、私、もっと辛くなるじゃないですか」

「ごめんな」

「謝らないでください。……嬉しいから。辛いけど、嬉しい」

 俺はエリスの頭を一度だけ撫でた。

「行こう。全部終わったら、ゆっくり話せる」

「……はい」

 俺たちは再び歩き始めた。

 最奥部まで、あと少し。

 3時間後、俺たちは【世界の果て】の最深部に到達した。

 そこに待ち構えていたのは、予想通り管理者だった。

「よくぞ来た」

 白い影が俺たちの前に立つ。

「残りダンジョン全制覇。見事だ。しかし……」

 管理者が指を鳴らした。

「最後の試練がある」

「言ったな、お前。全部クリアしたら帰してくれるって」

「そう約束した。だから帰す。しかし、試練は別だ。これは、お前が本当に帰る価値があるかどうかを測るものだ」

「帰る価値?」

「お前は2ヶ月でこの世界の最強となり、魔王を倒し、全ダンジョンを制覇した。お前の力は、この世界にとって計り知れない価値がある。それでも帰るのか、という問いだ」

「帰る」

「即答するな。よく考えろ。この世界にはまだ問題が山積みだ。魔王は倒れたが、その残党は各地に残っている。お前が残れば、何万人もの命が救える」

 俺は少し考えた。

 確かに、そうかもしれない。

 俺が残れば、この世界はより安全になる。多くの人が死なずに済む。

 でも――

「帰る」

「なぜだ」

「俺が残ることで救える命はある。でも、俺にしかできないことは、この世界には何一つない。魔王を倒した今、強い冒険者は他にもいる。レオンたちがいる、マリアがいる、エリスがいる。彼らで十分だ」

「お前の【万能解析】は唯一無二だろう」

「スキルは俺のものだが、俺自身はこの世界の人間じゃない。俺には俺の場所がある。帰る場所がある。それを捨てることは、俺にはできない」

 管理者が沈黙した。

「……よかろう」

 扉が開く音がした。

「試練の内容を告げる。扉の向こうにいる存在を倒せ。それで全てが終わる」

『帰還解析進捗:99%』

 あと1つ。

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