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異世界帰還RTA:レイドイベント、録画したアニメ、待ってる猫のために秒速で世界を救って帰ることにした。  作者: イチジク浣腸


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残り10ダンジョン、仲間の限界

2ヶ月が経過していた。

俺たちは90個のダンジョンを制覇した。

最初の1週間で魔王を倒し、その後8週間かけて全国のダンジョンを回り続けた。馬で移動し、飛行スキルで山を越え、船で海を渡り、時には一日に3つのダンジョンを連続攻略した。

休んだのは合計で10日もなかった。

「ごめん……俺、もう無理だ……」

レオンが膝をついた。

彼の全身には包帯が巻かれ、顔色は蒼白だ。後ろでは、他の追放勇者パーティーのメンバーたちも限界の表情を見せている。

「休め。お前らはよくやった」

「でも、残り10個じゃないか。ここまで来たのに……」

「ここまで来れたのは、お前らのおかげだ」

俺は本気でそう思っている。

後半のダンジョンは、俺とマリアとエリスだけでは物理的に対処できない場面が多かった。マリアが前衛で壁を作り、エリスが砲台として魔法を撃ち続け、レオンたちが雑魚を刈り取ることで、俺は本命のボスへ集中できた。

「お前らは今日でお役御免だ。一番近い街で治療を受けてゆっくり休め」

「……佐藤」

レオンが俺を見上げる。

「絶対に帰れよ。俺たちのためにも」

「帰るよ。必ず」

追放勇者パーティーと別れ、俺たちは残り10ダンジョンに向かう。

最初の3つ、【終焉の塔】【奈落の底】【時空の狭間】は比較的スムーズだった。

【終焉の塔】は100層ある縦型ダンジョンで、各層に強力なボスが陣取っている。通常なら1ヶ月かかる攻略を、俺たちは6時間でやり遂げた。

ポイントは、【万能解析】による各ボスの弱点特定と、最適な戦闘順序のシミュレーション。無駄な戦いを一切排除した結果、消耗を最小限に抑えながら全100ボスを撃破できた。

「残り7個……」

次の【奈落の底】は地下500層の逆ダンジョン。深く潜るほど酸素が薄くなり、魔物が強くなる設計だ。

「魔力で酸素を生成する。エリス、【空気生成魔法】を切らさないでくれ」

「わかりました。でも、長時間は厳しいです……」

「4時間で終わらせる」

その言葉通り、4時間で攻略。

「残り6個……」

そして【時空の狭間】。このダンジョンだけは、俺の【万能解析】も最初は機能しなかった。時間が歪んで情報が錯綜するため、正確な解析ができないのだ。

「くそ、解析がブレる……」

「ケンタさん、落ち着いてください。時間の流れを1つに絞って解析すれば……」

エリスのアドバイスが刺さった。

「そうか。時間軸を一本に固定して解析すれば――」

『解析方法変更:単一時間軸固定モード』

『ダンジョン構造解析完了』

「見えた。行くぞ」

3時間で攻略。

「残り5個……」

そこでマリアが倒れた。

「……すまん」

彼女は声も出なかった。ただ、消えそうな目で俺を見上げている。

全身の傷は深い。魔法で治療を繰り返してきたが、回復が追いつかなくなっていた。2ヶ月間、前衛として体を張り続けた結果だ。

「マリア」

俺は彼女の横に膝をついた。

「よく頑張った。本当によく頑張った」

「……帰るまで、ついていくつもりだったんだが」

「十分だ。あとは俺とエリスでやれる」

「本当か?」

「ああ。お前がいなかったら、魔王城の時点で詰んでた。もう十分すぎるくらい力を借りた」

マリアが力なく笑った。

「……お前、本当に帰れよ。私を連れていくって約束、忘れるなよ」

「忘れるわけないだろ」

「それと……エリスのこと、大切にしてやれよ。あの子は……本当にお前のことが……」

「わかってる」

マリアを近くの街の宿に預け、俺とエリスの二人だけになった。

「……残り5個です」

「ああ」

「私、最後まで一緒に行きます。倒れても、引きずっていってください」

「引きずりはしない。でも、一緒に行く」

エリスが微笑んだ。

俺たちは次のダンジョンへ向かった。

残り5個。ゴールはもう目の前だ。

『帰還解析進捗:92%』

『残りダンジョン:5個』

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