魔王城突入、四天王瞬殺
翌朝。魔王城へ向かう馬車の中。
「緊張してる?」
エリスがそっと覗き込む。
「してない。成功率は79%。勝てる」
「わ、私は緊張してます……」
「大丈夫だ。お前の魔法は完璧だ」
向かいで、マリアが槍を研ぎながら低く呟く。
「ここに来るのは……五年ぶりだな」
「前回とは違う。今回は俺がいる」
「ずいぶんな自信だな」
「自信じゃない。計算だ」
やがて、魔王城が視界に入る。
黒い尖塔が空を突き刺す、禍々しい城。
「よし、行くぞ」
馬車を降り、城門を蹴破る。
「侵入者だ!」
雑魚の魔物が群がる――が。
「【火炎ブレス】」
口から放った炎が廊下を薙ぎ払い、一掃した。
「えっ、ドラゴンのスキル使えるの!?」
「複製した」
城内を駆ける。【万能解析】が罠も敵配置もすべて映し出している。
最短ルートで第一の間へ。
「よくぞ来た。我は四天王筆頭、剣鬼ガルド!」
巨大な剣を携えた魔族が立ちはだかる。
「マリア、任せた」
「は?」
「三十秒で倒せる。弱点は左脇腹。古い矢傷の跡だ」
「……了解」
ガルドが斬りかかる。
だが一瞬早く、マリアの槍が脇腹を貫いた。
「ガ……ハッ……」
崩れ落ちるガルド。
二十八秒。
「次」
第二の間。魔術師フェリシア。
「エリス」
「はい!」
「詠唱パターンは三種。全部読んでる。カウンターで氷結魔法」
「了解!」
フェリシアが詠唱を始めた瞬間、エリスの氷柱が一直線に突き刺さる。
「きゃあ!」
一撃で沈黙。
第三の間。獣王バロウ。
「俺がやる。【怪力】【火炎ブレス】【飛行】」
全スキル発動。
空中から炎を浴びせ、急降下。バロウの頭部を掴み、そのまま地面へ叩きつける。
「ギャアアア!」
決着。
第四の間。暗殺者シャドウ。
「姿を消して……」
「左後方三メートル。天井だ」
マリアの槍が影を射抜く。
「……なぜだ」
「全部、見えてる」
四天王、全滅。
所要時間、十二分。
「え……これで終わり?」
「まだだ。本番はここから」
最奥の扉を押し開ける。
巨大な玉座。
そこに座すは魔王ザルゴス。
「よくぞここまで来た、人間どもよ。だが、お前たちの旅もここで――」
「うるさい。始めるぞ」
「……なんだと?」
【万能解析】を最大出力。
――最終解析:魔王ザルゴス
真の弱点:心臓部の魔核
致命条件:聖属性+精神攻撃+物理貫通の三段攻撃
成功率:82%
「マリア、エリス。作戦通りだ」
「了解!」
こうして――史上最速の魔王戦が幕を開けた。




