【第八話】死線と、コンビネーションの真髄
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それでは、本編をお楽しみください!
「くっ……!」
2体目のゴブリンの胴を薙ぎ払った直後、頭上から再び酸の弾が降ってくる。
私は舌打ちをして後ろに跳んだが、避けた隙を突いて別のゴブリンが短剣を突き出してきた。剣で受け流すものの、完全に防戦一方だ。
(このままじゃジリ貧になる……!)
前衛の私が足を止められれば、後衛のあんさんが狙われるのは時間の問題だ。
「しおんさん! 上は私が引き受けるから、前をお願い!」
焦る私の背中越しに、凛としたあんさんの声が響いた。
「でも、魔法の狙いを定めてる間にゴブリンが……!」
「大丈夫、しおんさんが護ってくれるって信じてるから!」
その言葉に、ハッとした。
そうだ、私たちはお互いの弱点を補い合うためにパーティーを組んだんだ。
「……了解っ! 前は全部引き受ける!」
私は覚悟を決め、天井のスライムから完全に意識を切り離した。目の前のゴブリン3体のみに集中し、一歩深く踏み込む。
ゴブリンの剣をギリギリで躱し、すれ違いざまに首元を斬り裂く。
『ビチャッ!』
頭上から酸が吐き出される音がしたが、私は避けなかった。
「『ファイアーボール』!!」
私に酸が届くより早く、あんさんの放った巨大な炎が上空を駆け抜け、酸の弾ごとスライムを焼き払ったのだ。
ジュワァァァッ! という断末魔と共に、スライムが炭化してポロポロと崩れ落ちる。
背後への憂いがなくなったことで、私の剣は水を得た魚のように躍動した。
「ハァッ!」
気合いと共に残るゴブリンの武器を弾き飛ばし、袈裟懸けに両断する。
「しおんさん、避けてっ!」
あんさんの声に反応し、私は大きく横へ跳躍した。
直後、残っていた2体のスライムと最後のゴブリンを巻き込むように、特大の『ファイアーボール』が炸裂した。
轟音と熱風が広間を吹き抜け、後には黒焦げになった床と、静寂だけが残った。
「はあ……はあ……」
「やっ、やったぁ……!」
二人して床にへたり込み、荒い息を吐く。
「ゴブリンとスライムが一緒に襲ってくるなんて聞いてないよぉ……」
「ほんとだね。組合の人も、混成部隊がいるなんて言ってなかった」
もし一人だったら。もし息が合っていなかったら。間違いなくどちらかが重傷を負っていただろう。
だけど、私たちは無傷で乗り切った。
「あんさんのおかげだよ。上がいなくなって、すっごく戦いやすかった」
「しおんさんこそ、前を全部止めてくれたから魔法に集中できたんだよ。……私たち、最強のコンビかもね!」
顔を見合わせて、思わず二人で笑い合う。
広間には、ゴブリンの魔石5つと、希少価値の高いスライムの魔石が3つも転がっていた。
(アインさんたちのパーティーに入らなくて本当によかった)
拾い集めた魔石の温かさを掌に感じながら、私は改めて隣で笑う相棒の存在を心強く思っていた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
最近流行りの「現代ダンジョンもの」ですが、すでにギルドやルールが整備された数年後の世界が多いなと思い、あえて「誰も何も分からない初日(黎明期)」を書いてみました。
ファンタジー知識ゼロの大人たちが右往左往する中、アニメ好きの女子たちがテンプレ知識だけでうっかり無双してしまう……そんな手探り感とすれ違いを楽しんでいただけたら嬉しいです。




