【第九話】戦果と反省、そして次への課題
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それでは、本編をお楽しみください!
「はあ……はあ……」
「やっ、やったぁ……!」
二人して床にへたり込み、荒い息を吐く。
広間には、ゴブリンの魔石5つと、スライムの魔石が3つ転がっていた。
もし一人だったら。もし息が合っていなかったら。間違いなくどちらかが重傷を負っていただろう。
「あんさんのおかげだよ。上がいなくなって、すっごく戦いやすかった」
「しおんさんこそ、前を全部止めてくれたから魔法に集中できたんだよ。……私たち、最強のコンビかもね!」
顔を見合わせて笑い合いながら、戦利品を回収していく。
しかし、転がっているスライムの魔石を拾い上げた時、私はある重大な事実に気がついてしまった。
「……あ」
「ん? どうしたの、しおんさん」
魔石の周りには、あんさんの特大『ファイアーボール』によって完全に黒焦げになり、炭化してボロボロと崩れる何かが散乱していた。
先ほどまで天井に張り付いていた、スライムだったもの、である。
「ねえ、あんさん。少しだけ、見直しましょう」
「え? 何を?」
「昨日、組合の人から、スライムの『死体』も持ち帰るように依頼されてたよね」
「あっ……!!」
あんさんが、ポンッと手を打って目を見開いた。
「そ、そうだった! 研究の素材不足だから回収してきてって言われてたのに……私、焦って思いっきり焼き払っちゃった!」
「うん。これじゃあ死体が残らないから、依頼達成にはならないね……」
二人して、炭化したスライムの残骸を前にお通夜のような空気になる。
だが、すぐに私は気を取り直して顔を上げた。
「でも、今回はあそこから無傷で生き残れたんだから大金星だよ。ただ、次からは私たちの『役割』を少し見直した方がいいかもね」
「役割の見直し?」
「うん。基本は『私が前衛でゴブリンの相手、あんさんが後衛から魔法』でいいんだけど、スライムの死体を残さなきゃいけない時は、魔法じゃなくて剣で倒す必要があるでしょ?」
「あ、そっか。スライムを剣で倒せるなら、そうした方がいいんだ」
私の言葉に、あんさんが真剣な顔で頷く。
「だから、もしまた混成部隊が出たら、今度はあんさんが魔法でゴブリンたちを足止めして。その隙に、私が遊撃に回ってスライムを斬る。そういう戦い方に変えよう」
「なるほど……! ただ闇雲に戦うだけじゃなくて、目的に合わせて戦い方と役割をスイッチするんだね。それ、すごく冒険者っぽくてかっこいいかも!」
「でしょ? 今回は魔石だけで我慢して、次は絶対に綺麗なスライムを持ち帰って、組合の人を驚かせてやろう!」
お互いに「おーっ!」と拳を合わせる。
固定の役割にこだわるのではなく、状況に応じて戦術を変える。一つの失敗から新しい連携の形を見つけた私たちは、ダンジョンの奥地でまた一歩、本物のパーティーへと成長していた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
最近流行りの「現代ダンジョンもの」ですが、すでにギルドやルールが整備された数年後の世界が多いなと思い、あえて「誰も何も分からない初日(黎明期)」を書いてみました。
ファンタジー知識ゼロの大人たちが右往左往する中、アニメ好きの女子たちがテンプレ知識だけでうっかり無双してしまう……そんな手探り感とすれ違いを楽しんでいただけたら嬉しいです。




