【第七話】未知の領域と混成の罠
いつもお読みいただき、ありがとうございます!
それでは、本編をお楽しみください!
サイクロプスの恐怖から逃れ、未知の通路をどれくらい歩いただろうか。
土のトンネルだった壁は、いつの間にか石造りの遺跡のような冷たい質感に変わっていた。
「さっきのサイクロプス、ここまで追ってきてないみたいね」
「うん。でも、景色が変わったってことは、もっと深い場所に来ちゃったのかもしれない」
息を潜めながら進むと、通路の先が少し開けた広間に出た。
広間の中央には、見慣れた醜い小鬼――ゴブリンが5体たむろしている。手には錆びた剣や短剣を握りしめていた。
「いつものゴブリンだね。あんさん、さっきみたいに魔法で先制お願いできる?」
「まかせて。あの密集してる真ん中に撃ち込むね」
あんさんがスッと右手を前に出し、魔力を練り上げる。
「『ファイアーボール』っ!」
ゴォッ! という音と共に炎の玉が放たれようとした、まさにその瞬間だった。
広間の天井付近から、あの嫌な音が響いた。
『ブシュッ!』
「――あんさん、危ないっ!」
私は咄嗟にあんさんの体を突き飛ばした。放たれたファイアーボールは狙いを逸れ、何もない床に着弾して弾ける。
それとほぼ同時。さっきまであんさんが立っていた場所の床に、半透明の粘液が降り注ぎ、石の床をシュウシュウと溶かして嫌な煙を上げた。
「えっ……!?」
「上を見て! スライムよ!」
天井や柱の陰。そこに、半透明のドロドロとした塊――スライムが3体も張り付いていたのだ。
驚く暇もない。スライムの酸を合図にしたかのように、ゴブリンたちが奇声を上げて一斉にこちらへ斬りかかってきた。
「キシャァァッ!」
「うそ、あいつら連携してるの!?」
慌てて剣を構え、先頭のゴブリンが振り下ろした刃をガァンッ!と弾き返す。
ゴブリンの近接攻撃と、死角からのスライムの酸。
単体なら大したことのないクリーチャーが、混成部隊になることでこれほど厄介な罠に変わるとは思ってもみなかった。
最後までお読みいただきありがとうございます。
最近流行りの「現代ダンジョンもの」ですが、すでにギルドやルールが整備された数年後の世界が多いなと思い、あえて「誰も何も分からない初日(黎明期)」を書いてみました。
ファンタジー知識ゼロの大人たちが右往左往する中、アニメ好きの女子たちがテンプレ知識だけでうっかり無双してしまう……そんな手探り感とすれ違いを楽しんでいただけたら嬉しいです。




