【第五話】トップランナーの誘いと、救う覚悟
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それでは、本編をお楽しみください!
翌朝、ダンジョンの入り口は異様な熱気に包まれていた。
「ねえ、なんかサインしてる人が居るよ。芸能人とか?」
「そうみたいね」
素通りしようとした私たちの背中に、声が投げかけられた。
「アインさん、彼女たちですよ。初日でスライムを討伐して、魔法でダンジョンを蹂躙したっていう二人組は」
「「えええっ」」
見事に声がハモってしまった。蹂躙なんてしていないし、デマを流さないでほしい。
すると、日本一の覚醒者として名を馳せるアインが、尊大な態度で近づいてきた。
「なるほど、君たちが魔法を使えるという覚醒者か。うん、見た目も悪くない。君たち、私のパーティー『剣舞』への加入を認めよう。早速今日から参加しなさい」
「「はぁ?」」
周囲が「おおーっ!」とどよめくが、私たちの心は信じられないほど冷え切っていた。
「いきなり意味不明なことを言われても困ります。どこの誰様でも関係ありません。私たちは2人で大丈夫ですから。では、ご機嫌よう」
踵を返す私たちに、アインは懲りずに声を張る。
「いいのかい!? 剣舞に入れることは栄誉なのだ。トップに立つことができるのだよ!」
「興味ないので結構です。それじゃ、日本の代表さんとして頑張ってください。応援してますね」
絶句するアインを放置して、私たちは足早にダンジョンへと潜った。
「あーあ、あいつらに魔法見せたら、大事になっちゃったね」
「そうね。やっぱり、魔法取得のきっかけとか、しおんさんのギフトの話は秘密にした方がよさそうね」
薄暗い通路を歩きながら、あんさんが真剣なトーンで口を開いた。
「隠すためには、覚悟がいるかもよ、しおんさん。また別の覚醒者が瀕死の状態で倒れていた時、隠すためにその人を見殺しにしなきゃならない。その覚悟ある?」
私は少し上を見上げて考え込んだ。
もし公になれば、アインの比じゃない騒ぎになる。だけど、秘密を守るために目の前の命を見捨てれば、後で露見した時のバッシングは凄まじいものになるだろう。何より、そんな自分に耐えられない。
「あんさん、ありがとう。教えてくれたから決心がついたわ。私は、隠すために見殺しにはできない」
「うん、私はしおんさんの意志を尊重するよ」
「いずれ発覚するのは避けられないと思うの。その時に、あんさんまで『見殺しにしてきた冷酷な奴』って罵倒されるのは絶対に嫌。だから、怪我人がいたら騒がれるのを覚悟で助けましょう」
私の言葉に、あんさんはホッとしたように柔らかく微笑んだ。
「そっか。一瞬なのに本当によく考えたんだね。分かった、その方針で探索を続けましょう!」
「おーっ」
私たちが笑顔で歩き出した、その直後のことだった。
『ドゴォォォォンッ!!』
最後までお読みいただきありがとうございます。
最近流行りの「現代ダンジョンもの」ですが、すでにギルドやルールが整備された数年後の世界が多いなと思い、あえて「誰も何も分からない初日(黎明期)」を書いてみました。
ファンタジー知識ゼロの大人たちが右往左往する中、アニメ好きの女子たちがテンプレ知識だけでうっかり無双してしまう……そんな手探り感とすれ違いを楽しんでいただけたら嬉しいです。




