【第二十四話】魔鉱石の部屋と、硬牢なる守護者
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それでは、本編をお楽しみください!
巨大な蛾から無傷の羽と鱗粉を回収した私たちは、さらに新潟ダンジョンの奥へと足を進めていた。
「もう袋がパンパンだよ、しおんさん。魔鉱石もいっぱいだし、そろそろ入りきらないかも」
「そうだね。これ以上大物が出たら、袋をズルズル引きずって帰らないといけなくなるかも」
そんな軽口を叩きながら歩いていた時だった。
ずっと人一人がやっと通れるほど狭かった通路が、唐突に終わりを迎えた。
「あ……行き止まり?」
いや、違う。通路を抜けた先は、天井が丸くドーム状に広がった、体育館ほどの広さがある巨大な空洞になっていたのだ。
そして、その空洞に足を踏み入れた瞬間、私たちは思わず息を呑んだ。
「しおんさん……これ……っ!」
「嘘でしょ……壁一面が、魔鉱石……!」
私たちのヘッドライトが照らし出したのは、空洞の壁という壁、そして天井にまで群生する、見渡す限りの巨大な青白い結晶――純度の高い魔鉱石の群れだった。
まるで星空のように青白く発光するその光景は、息を呑むほどに美しい。
だが、同時にそれは『とんでもない金額のお札の山』にしか見えなかった。
「あ、あんさん……ここを全部掘り尽くしたら、私たち一生遊んで暮らせるんじゃ……」
「お寿司どころか、毎日新潟の高級旅館に泊まれるよ……!」
欲に目が眩んだ私たちが、カマキリの双鎌を構えて駆け出そうとした、その時だ。
ゴガァァンッ……!
空洞の奥の暗がりから、地響きのような重い足音と共に、巨大な岩の塊のような『それ』が姿を現した。
「……ひっ!?」
あんさんが息を呑んで立ち止まる。
現れたのは、軽自動車ほどもある巨大なサソリ型のクリーチャーだった。
全身を黒光りする分厚い重装甲に覆われ、前面には人間の胴体など容易く両断できそうな巨大なハサミが二つ。そして背後には、紫色のヤバそうな液体を滴らせる、太く鋭い毒針の尻尾がそびえ立っている。
「……なるほど。このお宝の山の『主』ってわけね」
「しおんさん、あれヤバいよ! サイクロプスより硬そう!」
確かに、あの分厚い甲殻はこれまでの虫たちとはレベルが違う。ただの剣の斬撃では弾き返されるのがオチだろう。
逃げるか?
いや、私たちの背後には、一生遊んで暮らせるレベルの魔鉱石の山があるのだ。
「あんさん、逃げる?」
「……ううん。あのハサミと毒針の素材、絶対に持ち帰りたい」
「だよね! じゃあ、やるしかないわね!」
私たちは武器を構え、強敵――いや、最高級の特大素材へと向き直った。
『シャゴォォォッ!!』
こちらの戦意を察知した巨大サソリが、岩を砕きながら猛烈なスピードで突進してきた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
最近流行りの「現代ダンジョンもの」ですが、すでにギルドやルールが整備された数年後の世界が多いなと思い、あえて「誰も何も分からない初日(黎明期)」を書いてみました。
ファンタジー知識ゼロの大人たちが右往左往する中、アニメ好きの女子たちがテンプレ知識だけでうっかり無双してしまう……そんな手探り感とすれ違いを楽しんでいただけたら嬉しいです。




