↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『ダンジョン発生からまだ数日ですが、ファンタジー好きの素人女子が最強パーティーになってしまった件』  作者: さらん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/28

【第十三話】全国ダンジョン時代と、新潟への出張依頼

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


『――ニュースをお伝えします。昨日未明、新たに北海道、新潟、福岡の三箇所において、巨大な建造物「ゲート」の出現が確認されました。政府はこれを全国的なダンジョン多発現象と断定し――』


テレビから流れるキャスターの緊迫した声をBGMに、私は朝食のトーストを齧っていた。

東京、名古屋、京都だけだったゲートが、ついに他の県にも現れ始めたらしい。それに伴い、組合(ギルド)も慌ただしく動いている。


アイン氏の率いる『剣舞』のような大型パーティーが、政府の要請を受けて次々と新しいダンジョンの初期調査へと派遣されているというニュースも連日報じられていた。


「まあ、私たちには関係ないお話だよね」


そう思って、いつも通りにあんさんと待ち合わせて名古屋の組合へ向かったのだが――。


「しおん様、あん様。本日はダンジョンへ潜る前に、少しお時間をいただけないでしょうか?」


組合に足を踏み入れるなり、いつもの組合員さんに声を掛けられた。

しかも、案内されたのはいつもの騒がしいロビーではなく、ふかふかのソファが置かれた静かな応接室だった。


「あの、私たち何か怒られるようなことしました……?」

「いえいえ! とんでもない!」


あんさんが恐る恐る尋ねると、向かいに座った組合の支部長を名乗る恰幅の良い男性が、慌てて両手を振った。


「実はお二人に、折り入ってご相談がありまして。……単刀直入に申し上げます。新潟に新しく出現したダンジョンへ、遠征していただけないでしょうか」

「……え? 新潟、ですか?」


突然の地名に、私とあんさんは顔を見合わせた。


「はい。ニュースでご存知かと思いますが、現在各地のダンジョンへ大型パーティーを派遣し、初期調査を進めています。ですが、新潟のダンジョンは内部の通路が狭く入り組んでおり、大人数での行動がひどく制限される構造であることが判明しまして」

「なるほど。だから、少人数で動けるパーティーを探していると」

「その通りです。そして、少数精鋭で高い機動力と突破力を持ち、何よりサイクロプスを討伐するほどの実力を持つお二人以上に、この任務に適任な方はおりません」


支部長さんは身を乗り出し、真剣な眼差しで私たちを見つめた。

過大評価されているような気もするが、ダンジョンの中で立ち回りを工夫してきた私たちのコンビネーションが評価されたのは、少しだけ誇らしい。


「でも、新潟って遠いですよね……。私たち、学生気分のノリでやってるただの二人組ですよ? それに、遠征なんてお金もかかりますし……」

「そうですよぉ。私たち、まだ名古屋のダンジョンでも十分稼げてますし」


私とあんさんが難色を示すと、支部長さんはニヤリと口角を上げた。


「ご心配なく。今回の遠征にかかる交通費、宿泊費、およびお食事代などの『出張費』は、すべて組合が全額負担いたします」

「「……え?」」

「新潟といえば、日本海で獲れる新鮮な海の幸、そして美味しいお米と日本酒。宿泊先には、源泉掛け流しの素晴らしい温泉旅館を手配させていただきます。もちろん、討伐した魔石の報酬は別でお支払いしますよ」


海の幸。温泉旅館。出張費は組合もち。

その魅惑のワードが応接室に響き渡った瞬間、私とあんさんの頭の中で、何かが完全に一致した。


(しおんさん……これってつまり、タダで温泉旅行に行けるってことだよね?)

(うん……しかも、美味しいご飯付きで、お小遣い(魔石代)も稼げちゃうってことだね……)

私たちは視線だけで会話を交わし、同時に深くコクリと頷いた。


「「……謹んで、お受けいたします」」

「おお! ありがとうございます! さすがは名古屋の誇る最強の二人組、話が早い!」


支部長さんが嬉しそうに手を叩く。

最強だからじゃない。温泉と海鮮に釣られただけだ、とは口が裂けても言えなかった。

こうして、私たちは急遽ダンジョン攻略をお休みにし、新潟遠征の準備に取り掛かることになった。


「まさか、覚醒者になって県外に出張することになるなんてね」

「うん。でも、ちょっと楽しみになってきちゃった。新潟のダンジョン、どんなクリーチャーがいるのかな?」

「スライムとゴブリン以外も見てみたいよね。あ、でもその前に旅館の夕食メニュー調べなきゃ!」


キャリーバッグに荷物を詰めながら、私たちは旅行前の学生のように浮き足立っていた。

未知の土地、新潟ダンジョン。

居心地の悪かった名古屋を少しだけ離れ、私たちの初めての『出張攻略』が始まろうとしていた。


最後までお読みいただきありがとうございます。


最近流行りの「現代ダンジョンもの」ですが、すでにギルドやルールが整備された数年後の世界が多いなと思い、あえて「誰も何も分からない初日(黎明期)」を書いてみました。


ファンタジー知識ゼロの大人たちが右往左往する中、アニメ好きの女子たちがテンプレ知識だけでうっかり無双してしまう……そんな手探り感とすれ違いを楽しんでいただけたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。