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魔王に転生したけど私、解釈違いです!~完璧な従者と最強の魔王の関係性を拗らせたオタク、自らの存在が解釈違いすぎる~  作者: 片吟堂
第3章:推しと世界

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3-8:オタクはとにかく情報が欲しい

 スカルの話によれば、セブはスカルの部屋に転移装置をセットしてくれてたようです。

 でも私、さっき間違いなくそれを水の上級術で部屋ごと破壊しちゃってる。


「ごめん、スカルの部屋なんだけど、ちょっといろいろあって……派手に壊しちゃって……」

「ええっ!? じゃ、じゃあ転移装置も?」

「ごめんなさい……」


 慈雨(じう)の巫女だから水系の術にしとこ~とか舐めた考えで戦闘に臨んだせいです。本当にごめんなさい。


「……そんなに大変な目に遭ってたんですね。部屋のことは気にしないでください。由紀さんが無事でよかったです」


 いい子だ……! ありがとうスカル……!

 セブにはあとで謝っとくとして、今は心おきなく話の続きを聞かせてもらおう。


「それで、転移装置を置いたあとは?」

「魔王様からヴァニア兄さんと巫女さんのことを聞かれて、ナチュリアでも二人の行方はつかめてないのでわからないってお答えして、そうしたら……」

「そうしたら?」


 私が続きを促すと、スカルはその時のことを思い出そうとするみたいにゆっくり考えながら語りだした。


「魔王様が突然窓の方を見て、何かに警戒しているようで、ぼく、どうしたんだろうって思ったんです。それで、魔王様にお声がけしようとしたら、いきなり突風に巻き込まれて。きっとヴァニア兄さんの術だと思います。あっ、でも、声も姿も確認してないので間違ってるかもしれません」


 たぶんスカルの予想通り、ヴァニアだ。私と同じで、スカルもあいつの術でここに飛ばされたんだ。


「風でよく見えなかったんですけど、魔王様も巻き込まれたと思います。そのまま二人とも飛ばされて、気がついたら……ぼくだけがこの牢屋にいました」

「じゃあ、セブがどこに飛ばされたのかは」

「すみません、ぼくにはわかりません」


 手がかりなし、か。でも、セブがスカルと会っていたことは確定したし、ヴァニアの術でどこかに飛ばされたこともわかった。


「じゃあ、ここがどこかはわかる?」


 せめてこの謎洞窟のことだけでももうちょっと知っておきたい。


「えっと……確かなことはわからないんですけど……」

「大丈夫、ちょっとしたことでもいいから教えて」

「たぶんここはマテリアのどこかだと思います。さっき術をかけたとき、土や岩の感じがいつもと違ったんです」


 牢屋の壁に出入り口錬成したときかな? マテリアとナチュリアで土の感じって違うもんなんだね。


「牢屋の外はどんな感じだったの? 巫女とかヴァニアはいた?」


 わざわざ出入り口作ったぐらいだし、いろいろ見に行ってるはず。詳しく突っ込んで聞いてみよう。


「巫女さんはいました。この牢屋で目を覚ましたとき、巫女さんが鉄格子の向こうに立ってたんです」


 えっ怖っ。ホラーじゃん。


「そ、それで……?」

「どうも、ぼくが本当に()()なのか確認しに来たみたいです」


 なるほどね? セブがスカルの姿になってたから、とりあえずまとめて二人さらいましたってことか……って、ちょっと待って。


「……スカルなんだよね?」

「そうですよ! 由紀さんなら契りの紐でわかるでしょう?」


 本来はね? 今はわからないから私もモルも困って探しに来てるわけなんですが。


「巫女さんは、魔王様とモルさんの魂の契りを解消させると言っていました。ぼくは嫌だって言ったんですけど、『そのときが来たら必ず協力してもらいます』って」


 ん? 待って? 巫女の話だと、スカルは好感度のパワーで手懐けたんじゃなかった? 全然そんな感じはしないんですが。


「巫女はそのときが来るまでスカルをここに閉じ込めておくつもりだったってこと?」

「たぶん、そうだと思います。それで、ぼくはとにかくここから出ようと思って、ダメもとで出入り口を作ってみたら出来てしまって……」


 器用だな……原作ではそんな術なかったと思うけど……。


「それで外に出てみたのはいいんですけど、この洞窟、けっこう広くて。魔王様も巫女さんもヴァニア兄さんも見当たらないし、出口も見つからないし、迷子になりかけてしまって。結局、途中で戻ってきてしまいました」

「そうだったんだ」


 最悪の場合、出口がなくて外に出られないってことね。まずいかも。

 とにかくセブを見つけよう。ここから出られるのかも確認しないと。どっちもモルが来るまでに済ませたい。


「お話聞かせてくれてありがとう。私はセブを探しに行ってみる。スカルも一緒に来てくれる?」


 一度牢屋から出たことのあるスカルがついて来てくれると、正直めちゃくちゃ助かるんだけど。

 スカルはこっちを見ずに俯いて、そっと首を横に振った。


「ごめんなさい。ぼくはここに残ります」

「えっ」


 そうなの!? てっきり来てくれると思ってた。


「巫女さんが戻ってきたときに、ぼくがいないと怪しまれてしまいます。そうなったら、由紀さんまで危ない目に遭うかもしれません」


 それもそうか。スカルなりに考えてくれたんだ。残念だけど、一人で行くしかなさそう。


「わかった。じゃあ私はもう行くね」

「由紀さん、どうかお気をつけて」


 ずいぶん話し込んじゃった。びしょ濡れだった服も、絞っても水が出ない程度には乾いてきてる。急いでセブを探さないと。

 牢屋のわきにスカルが作った出入り口に体をねじ込んで、私はなんとか外に出た。

 そのまま数歩歩いたところで思い出した。ハンカチ、借りっぱなしだ。


「これ、今度洗って返すからー!」

「わかりましたー!」


 鉄格子の向こうで手を振っているスカルをちらりと確認しつつ、私は急ぎ足でその場を後にした。

 ――だから私は気づかなかった。スカルが振っていた手を下ろしながら、小さな声でぽつりとつぶやいた言葉に。


「……これでよかったんですよね」



由紀の服ちょっと乾いてきてて安心


次回更新は土曜!

引き続きよろしくお願いします~!

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