表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王に転生したけど私、解釈違いです!~完璧な従者と最強の魔王の関係性を拗らせたオタク、自らの存在が解釈違いすぎる~  作者: 片吟堂
第2章:推しと対話

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
34/38

2-15:激闘! 水の精霊 水龍たん

 水龍たんの猛攻がセブと巫女を追い詰めていく。止めどなく押し寄せる水柱をセブは軽々と往なしてるけど、巫女は防ぎきれてない。その分をセブがカバーしてる。


(さすがにこの数は堪えるな……)

(頑張って! もうそろそろ止まるはずだから!)


 しばらくすると、水龍たんは周囲の水柱を全部一斉に撃ち放った。渦と渦が重なり、巨大な一匹の龍となってこっちに向かってくる。


「セブ様!」

「任せろ」


 さすがにこれを巫女の力で防ぐのは無理。セブもそこはわかってたのか、巫女を庇うように前に立ち魔剣を構えた。


(これを防げたら水龍たんに隙ができる。セブ、いけそう?)

(おいおい、俺を誰だと思ってやがる)


 ですよね~!


「裂け」


 まるで剣に命じるみたいにセブが低い声で囁いた。その声に応じたのか、魔剣ダモクレスに闇の魔力が集まっていく。

 水でできた巨大な龍はもうすぐ近くまで迫ってる。セブはそれをギリギリまで引き寄せると、斜め下から斬り上げるように魔剣を振るった。

 その瞬間、魔剣に集まった闇の魔力が巨大な刃になって放出され、龍の体を裂いていく。水龍たんが放った巨大な水の龍は、すぐにその形を保てなくなって崩壊した。


「わぁー! すごいねー!」


 技を破られた水龍たんは楽しそうに跳ねてる。今がチャンスだ。


「今だよセブ様!」


 巫女がタイミングよく加護の力でバフをかけてくれたみたい。

 セブは一気に踏み込んだ。魔剣の一撃が水龍たんを捉える。


「うわわぁー!」


 水龍たんが慌てて避けようと飛び退いた。水龍たんの周りを囲うように水が噴き上がって、盾みたいにセブの剣を阻む。


「無駄だ」


 闇の魔力を纏った魔剣が水の盾を切り裂く。その切っ先が、僅かに水龍たんの体を傷つけた。


「いたいよー!」


 水龍たんが涙目になってる。まずい。私も巫女もきっと今同じことを考えた。


「セブ様離れて!」


 先に巫女が叫んだ。その声に反応してセブはすぐに水龍たんから距離をとる。


(セブ、もっと巫女の近くに行って。急いで)

(何が来る?)

(すっごいカウンター攻撃)


 水龍たん戦で一番気をつけなきゃいけないポイント。水龍たんはこちらの攻撃全てにすっごいカウンター攻撃をしてくるから、絶対まともに喰らっちゃダメ。


 たちまちセブと巫女を水の壁が取り囲んだ。大量の水が集まり、見上げる高さの壁となり、その全てがこの後一斉にセブと巫女に襲いかかる。


「絶対にあたしから離れないで」


 巫女は杖を握りしめ、集中して詠唱を始めた。聖なる力が巫女に集まっていく。


(大丈夫なのか?)

(大丈夫。巫女はちゃんとわかってる)


 水龍たんのカウンターに対抗するには、暁光(ぎょうこう)の巫女の奥義をタイミングよく発動させないといけない。

 この巫女ならその辺はちゃんとわかってるだろうし、任せて大丈夫。


「来るぞ」


 セブの言葉通り、周囲の水壁が一斉にこっちへ雪崩れ込んだ。


「――お願い、みんなを守って」


 来た。巫女の奥義「聖女の守り」だ。光のベールが巫女と近くにいる仲間を覆う。このベールは相手の攻撃を一撃だけ無効化してくれる。

 押し寄せる水壁はベールに阻まれ、あっという間に蒸発してしまった。


「っ……」


 突然、巫女ががくりと膝をついた。


「おい、大丈夫か」

「大丈夫……ちょっとフラついただけ……」


 ピンチかも。この巫女、たぶん育成足りてない。ここは本来二年目以降に来るようなダンジョンだし、普通のプレイヤーと比べたら十分育ってるとは思うけど、それでもやっぱり厳しいんだ。

 聖女の守りはかなりの魔力を消費する。この分だともう一回使えるかどうか怪しいってとこ。


 だけど、水龍たんのカウンターはこっちが攻撃する度に発動する。このままだと聖女の守り無しでカウンターを受けなきゃいけなくなっちゃう。いくら最強の魔王でもかなりキツいし、何より巫女本人が間違いなく耐えきれない。


 だから、今取るべき策は一つ。やられる前に、やる。


(セブ聞いて。次の攻撃でケリをつけたい)

(気が合うな。同意見だ)


 カウンター後の水龍たんはまた水柱を使った攻撃パターンに戻る。つまり、もう一度同じタイミングで隙ができる。そこを狙う。


「暁光の巫女、お前に頼みがある」


 巫女がこっちを見てる。私はセブに頼んで作戦を伝えてもらった。

 本当はこんなことしたくなかった。セブの口から作戦を聞いた巫女は、これを考えたのが私だって気づくかもしれない。最悪の場合、私がセブの中からずっと聞き耳を立ててることまでバレちゃうかも。

 でも今はそんなこと言ってられない。このバトルから生き残ることが最優先。


「いくよー!」


 来る。噴き上がった水柱が龍の形になって、何本も何本も襲い掛かる。セブの魔剣と巫女の杖がそれらをはじき、往なし、断つ。

 繰り返された猛攻が再び集大成を迎える。水柱の群れが巨大な一匹の龍となり、セブと巫女に今一度牙を剥いた。


「ここはあたしが!」


 作戦通り、巫女が前に出た。当然巫女の力だけじゃこの攻撃は防ぎきれない。


「助けて、お人形さん!」


 その呼びかけに応えるように、巫女の前に人影が現れた。水龍たんの攻撃は全て、その人影に集約されていく。


 身代わり案山子。マテリア侵攻のジルコン戦で大活躍したアイテムだ。この巫女のことだから持ってきてるだろうと思ってはいたけど、本当にあってよかった。これがあるのとないのとで作戦の安定感がだいぶ変わってくる。


「あれれー? はずれちゃった?」


 水龍たんが困ったようにくねくね動いてる。その死角から、セブの斬撃が閃いた。


「わぁあっ!?」


 咄嗟に水龍たんは水を纏って身を守ろうとする。その水が、集まってこない。


「我が魔剣の贄となれ、水龍」


 水龍たんの真下に、闇の魔法陣が描かれていた。気づいた水龍たんが焦ってその場を離れようとすると、魔法陣から無数の黒い荊が生え、逃がさないよう捕らえる。


「終わりだ」


 魔法陣の効果で水を集めることを封じられた水龍たんに、魔剣に込められた魔力が解き放たれる。数えきれないほどの斬撃を叩き込まれ、あっという間に水龍たんは力尽きた。


「こ、こうさん~」


 水龍たん、目が×印になってる。戦闘終了。私たちの勝ちだ。


「では聞かせてもらおう。慈雨(じう)の巫女について」


 セブ、容赦ないな。まだ戦闘終わったばっかで本来なら経験値とかいろいろ確認してるタイミングですけど。というかたぶん隣の巫女は実際に今いろいろ確認中だと思うけど。


「あめのみこはね、すいりゅのおともだち」


 水龍たん、一人称が「すいりゅ」なんですよね。たまりませんね。連れて帰ったらだめですかね。


「あめのみこは、まてりあのせいれいとおともだち。おひさまのみこは、なちゅりあのせいれいとおともだち」


 おっ、もしかしてちょっとストーリーの根幹っぽいとこに触れそうな感じ?


「だけど、まてりあのせいれい、みんないなくなっちゃった」

「原因は?」


 セブの問いかけに水龍たんはしょんぼりと俯きながら体を左右に振っている。


「わかんないの」


 原因不明。だけどマテリアの精霊が姿を消したから慈雨の巫女が顕現できなくなったってのは合ってるみたい。


「みこはね、せいれいが『おねがい』したらきてくれるの。すいりゅも『おねがい』したけど、まてりあのせいれいじゃないと、だめなの」


(要はマテリアの精霊を全員叩き起こせば慈雨の巫女を顕現できるってことか)

(でも、どこにいるかわかんないし、酸の雨で探索も無理だし……)


「水龍、マテリアの精霊の居場所に心当たりはないか?」

「しらないの……あめのみこがもどってきたら、みんなまたでてくるとおもう」


 その慈雨の巫女を顕現するためにマテリアの精霊に会いたいって言ってるんだけどな? これ堂々巡りじゃない?


「他に手掛かりはないのか?」


 セブも若干苛立ってるっぽい。それを敏感に察知した水龍たんが怯えて柱の陰に身を隠してる。


「怖がらないで。慈雨の巫女から貰ったものとか、何かないかな?」


 巫女が水龍たんに手を差し伸べてる。圧倒的聖女パワーはこういうとき本当に便利だなって思う。


「あるよ!」


 自分で聞いた巫女本人が一番驚いてるように見えた。私も驚いた。あるんだ。


「それをさっさと寄越……見せてくれないか?」


 セブの最大限優しそうに配慮した問いかけに、水龍たんは柱からそっと出てくると、小さなアクセサリーをセブに渡した。


「はい、どーぞ!」


 耳飾りだ。真珠の飾りが揺れる小さな耳飾りが、一つ。


「おともだちのあかし、もらったの。いいでしょー」


 自慢げに胸を張る水龍たん。けど私の目は今受け取った耳飾りに釘付けだった。


(セブ、それもっと近くで見せて)

(こうか?)


 間違いない。これ、パッケージのイメージイラストに描かれた慈雨の巫女がつけてたやつだ。描かれたっていってもシルエットだけだけど、その耳には小さな耳飾りがぶら下がってた。

 巫女も同じことに気づいたっぽい。隣から「それ……まさか……」って声が聞こえてくる。


 これがあれば、もしかしたら慈雨の巫女顕現に大きく近づけるかもしれない。

 水龍たんの大事なものだし貰うのはさすがに無理だけど、何とかして借りれないかな。



めちゃくちゃ日付変わっておりすみません!


次回更新は日曜です!

引き続きよろしくお願いします~!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ